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関西電力、赤字転落も「待遇変化なし」 嵐の過ぎ去りを待つ日々

情報提供
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B 不良企業予備軍
(仕事2.0、生活3.7、対価3.2)
 原発依存度が発電量比48%(過去10年平均)と高いことから、2012年3月期が過去最悪の赤字(最終赤字2422億円)に転落した関電。3.11の影響で原発の再稼動ができず、代わりに火力発電を増やしたため燃料費負担が増加した。昨年12月に筆頭株主となった橋下徹・大阪市長は、全原発の廃止や送発電分離の促進、そして従業員の削減など、厳しい株主提案も行う。「ぬるま湯」だった1年前までとは、状況が一変してしまった。現状、社員レベルへの影響はまだないが、規制業種だからといって安泰という発想は、もはや通用しなくなっている。
Digest
  • 橋下市長に戦々恐々
  • 「ウチはラクだな」と思いました
  • 海外は燃料調達部門くらい
  • 発送電分離で「経営」が必要に
  • 毎年3月に「住宅積立金」10万円支給
  • まず覚える「関電体操」
  • 有休は取得計画出して全消化!
  • 業務改善は奨励

橋下市長に戦々恐々

「橋下さんは人間としては嫌いじゃないし、行動力があるのもいいけど、やりすぎ。いったん敵と認識したら目の敵にし続けるので、支持しづらいです。協力できるところは協力するが、発送電分離は安定供給の問題があるので受け入れ難いというのがウチの立場」(社員)

2012年2月20日より関電が保有する11基の原発全てが運転停止となり、再稼動のめどは立っていない。大阪市の特別顧問には、脱原発派で知られる環境エネルギー政策研究所所長の飯田哲也氏なども名を連ねる。このまま全停止の状態が続くと、2013年3月期も連続の大幅赤字は必至で、社員への影響も免れない。

関電はボーナスを決める春闘で、4月5日、前年実績より12万1千円減(7%)の160万4千円(組合員平均)で妥結した。減額分の年収(平均806万4千円)に占める比率は1.5%に過ぎず、年収ベースでは、ほぼ前年並みを維持。残業代の多寡のほうが、はるかに影響が大きい。

「今はまだ、われわれ社員の待遇は何も変わっていない感覚です。赤字見通しだったのに、昨冬のボーナスは、もちろんカットされていません。だから、まだ現実的なものとしては捉えられていない。ただ6月の株主総会に向けて、社内は戦々恐々になりつつあります」(同)

過去最悪の赤字見通しでもボーナスは通常通り出てくるところが、普通の民間企業とは感覚が異なる独占企業らしいところだ。膨大な資産や内部留保を抱え、まだまだ余裕たっぷり。5年10年の赤字くらいではビクともしないだけの体力はある。現在は、原発問題という嵐が過ぎ去るのを待っている状況だ。(取締役の報酬は今年3月から10~15%だけカット)

“敵”だけに、選挙で抵抗はしてきた。電力会社労組の上部団体である電力総連は、大阪市長選で現職の平松邦夫氏を支持。組織をあげて橋下の当選阻止を目指した。「労組から名簿を渡されて、社員の家族や関係者も巻き込み、電力総連が推す候補者への投票を電話で依頼するのが通例。業務終了後17:30~20:00まで、ひたすら“電話活動”をしたことが実際にあります。私はたまたま今回は動員されませんでしたが…」(同)

関電の政治活動は、以下に詳しい。現役社員として給料を受け取りながら地方議員も兼務する「関電社員議員」は、少なくとも近畿6府県で25人にも上ることが分かっており、それらには、給与以外に、関電労組を通じて社員の給与天引き(組合費)で、政治献金(もとは電気料金)も流れる仕掛けになっている。

関電社員議員は近畿6府県に24人 議員報酬+関電給与1千万円+関電労組献金=原発大推進

「原発推進」関電労組政治団体が“資金洗浄” 使途不明4163万円、正体不明の無届団体通じ

現職の国会議員では、関電労組執行委員長出身の民主党・参議院議員副会長を務める藤原正司氏がおり、地方議員同様、関電の利益代表として、東日本大震災後も、当然のように原発再稼働推進の姿勢を堅持している。

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関電の採用データ

赤字転落し、株主からも従業員の削減などリストラ策を迫られる関電だが、採用情報では、2012年4月入社の採用実績は事務系80人(計画時75人)、技術系183人(計画時155人)と発表され、かつ来期も事務系80、技術系150の計画となっており、今年並み。既存社員のリストラどころか、新卒採用を絞るつもりも毛頭ない。

関電は近年、250~280人程度を安定的に採用し、うち大卒枠は160人ほどで、おおむね事務系1:技術系2の比率。

2006年からは、短卒採用枠20人(全員女性)も復活した。高専卒枠は100人程度だ。「体育会系は2~3割と多く、外国人はゼロ、女性は事務系の2~3割。出身大学は国立大が多く、一番多いのは京大で10人くらい。私大では早稲田が多め。大阪府庁など地方公務員と掛け持ちで志望してる人が目立ちますね」(社員)

採用プロセスは、「自由応募」と、理系学科の研究室に割り当てられる「学校推薦」とに分かれるが、自由応募の場合、エントリーシートを提出すると、OBから連絡が来て、3回ほど会う。その後、筆記試験を受け、グループディスカッションがあり、面接2回で内定。つまり、事実上のリクルーター制だ。

「ウチはラクだな」と思いました

事務系は全員が、まず各営業所に2~3人ずつ配属。最前線で

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