東京ガス 東電の発送電分離議論に戦々恐々の“インカ帝国”
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Baa 優良企業予備軍 【会社と一連托生型】 (仕事3.0、生活4.0、対価3.8) |
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- 東電との微妙な関係
- 振る舞いはフェア
- 背番号「生産」「導管」の声が大きい
- 出身者に社費留学の夏野剛氏
- 30代課長で1300万円
- 「課長のイス」が既得権化
- 社員数を3分の2に
- 8~9割が東ガス関係者の都市対抗野球
- 有休は10日ほど

東電との微妙な関係
政府は、情報公開を通じて企業の削減努力を促すため、地球温暖化対策推進法に基づき、2006年度分から、個別企業の温暖化ガス排出量を公表している。「その際にCO2を算定する基準値で、強引に『原子力も含めた平均値でよい』として認めさせてしまったんです。実際には、電気の使用量を減らすことで調整されるのは火力発電分ですが、全体の平均値にすることで、東電は(ガスを含む)他のエネルギーへの切り替えを抑制することができます」(同)
たとえば企業がCO2削減を進めるため東電供給の電力→自社の太陽光発電に切り替えた場合、実際には火力発電分が減るためCO2削減に大きく貢献するのだが、算定される数値上は小さくなってしまうため、削減努力が正当に評価されない。東電をはじめとする電力会社は、独占的な供給体制を守るべく、CO2削減の促進まで妨害している。(参考→大阪ガスのウェブサイト)
電力VSガスは、真っ向からシェアを食い合うライバルだ。東電の「オール電化」が進めば進むほど、東京ガスは売上を減らしてしまう。しかも、日本国内の市場全体が、今後、人口減や産業の空洞化で縮小していく一方で、争奪戦は激しくなる一方である。
今夏(7月1日~)、大口需要家に対して、前年比で最大電力の値で15%カットを求める使用制限が実施された。「計画停電の影響で、ガスによる自家発電を検討したいという問合せが増え、導入を決めた企業も増えました」(同)。これまで100%東電からの供給だった都庁舎も、3分の1を東京ガスに切り替えることになった。
一方で、同じ規制インフラ業種として東電と共通の利害関係を持つ面もあり、微妙な動きをしている。
「東電には皆、ライバル心は持っていますが、正面から攻撃はしません。原発事故後も、対策本部からの連絡事項で、『お客さんの前でネガティブキャンペーンを張らないように』と緘口令が敷かれ、エネファーム(家庭用燃料電池)のCMも長らく自粛していました」(同)
公益事業者として、露骨な営利活動を行うことは慎み、なるべく目立たないようにすることが賢明だと分かっているのだ。背景には、最大の利権である「地域独占」を守り抜きたいという思惑が見える。
「電力会社の発送電分離の議論は、戦々恐々なんです。社内でも注目しています。当然、うちも同じ構造なので、電力の次には、議論の対象になるでしょう。たとえばイギリスのガス業界は、パイプラインカンパニーと工場が分離しています。製造、導管(パイプライン)、販売(マーケッター)の分離は可能なので、LNG(液化天然ガス)の基地を開放せよ、といった話になっていくでしょう」(同)(参考→①大阪ガスの講義資料 ②週刊ダイヤモンド記事)
そうなると、海外にLNGの権益を持つ商社、石油元売り(JXグループなど)、LNGの輸入量が東京ガスよりも多い東電との競争が始まり、価格の低下によって消費者は利益を得るが、生ぬるい環境ではなくなる。東電とは、お互い叩き合うよりも、大人しく目立たないようにして、独占の権益を守ったほうが得策である。
振る舞いはフェア
東京ガスは、政治力でねじ伏せる東電に比べると、公共事業体としてフェアに振舞おうという気配は強く、コネ入社もほとんど聞かないという。東電が「電通」なら、東ガスは「博報堂」に似ている。
ウェブサイトでもCSR報告書で「公正・公平で、透明性のある採用活動」と題して、年別、学歴別、男女別の採用データを公表。有価証券報告書では記載を求められていない、男女別の平均年齢や平均勤続年数も開示している。
ここ数年は、採用数を増やしており、2009年199人、2010年266人、2011年264人。2011年の大卒・院卒採用は、105人(うち女性14人)だった。逆に高卒は155人と増やしている。これは「団塊の世代」定年の穴埋めと考えられる。
2000年代に入ってからのある年を例に、さらに詳しく見てみると
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東京ガスの現場組織
東京ガスのキャリアパスと報酬水準
30代社員の給与明細(上)と賞与明細(下)。「正直、貰いすぎ感はある」と社員。
東京ガスの意思決定カルチャーなど
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いや東ガスは東電以上にコネ入社多いぞ。安西帝国以来の伝統
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読者コメント
都市ガス会社は原発事故と無関係だが、電力並みに自由化しろ、という話になった。電力の得意技である裏金(元は電気料金)を政治家にジャブジャブ流させるためには電力への「生贄」が必要だからだ。
予言しよう。密室で決められるガス自由化が通れば、10年以内に都市ガス大手は全て消滅する。経営体力が電力とはまるで違うのだから。
電気やガスの料金は安くなるかって?何言ってんだ、何のための裏金だと思ってる?
大手メディアがあまり伝えない審議会に関するいくつかの疑問。①私的勉強会と称して事前に人選されているのか?②事前の人選を行うことで結論をコントロールしているのか?③人選に関わった官僚は公表されるのか?④大企業が子会社のツケで官僚を接待していないのか?⑤人選に関わった官僚は天下りしていないのか?
いまガスを自由化するのは狂気の沙汰。なぜなら電力はガス会社の2倍以上、天然ガスを輸入してる(火力発電の燃料)。つまり電力は都市ガス会社と次元の違うレベルへガス料金を下げても儲かる。10年以内に都市ガス会社は全部潰れ、電力会社は肥え太り、経営改革もフクシマの反省も不要になる。このシナリオは裏金(これまでに数兆円。元は電気料金)の成果。利権サイコー!!
都市ガスは大手4社でも電力の1~2割の資本力。電力は10社で寡占、都市ガスは全国で200社弱。ゆえに圧倒的に強い。
俺が電力会社なら、家庭用まで自由化となれば、まずガス会社を攻め滅ぼす。今の東電でも東京ガスには楽勝。
電気・ガス両方を抑えて値下げ圧力をかわし、時間と資金を稼げれば、どこが新規参入しようと敵ではない。
自由化は結構だが、その前に全国の電力会社を解体し弱らせないと、電力が太るだけ。
フェアというより寝た子を起こしたくないだけだろうな。電力の陰に隠れていたが、次は自分たちが丸裸にされるかもしれない訳で。
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