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「セブンイレブンイメージ」の一言でやり放題 加盟店主苦しめる“奴隷契約”にお墨付き与えた東京高裁

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売上高3兆円を誇るセブン―イレブン・ジャパン社。鈴木敏文会長の報酬は1億4800万円に達するという。一方でコンビニ加盟店主からは、24時間営業と収納代行業務の理不尽さに対して悲鳴があがっている。(セブンイレブン各社が入居する東京都千代田区の本社ビル)。
 契約書に明記していなくてもセブンの言うままに黙って働け――そう言わんばかりの理不尽な判決がコンビニ大手「セブンイレブン」をめぐって下された。公共料金やチケット代金の「収納代行業務」と「24時間営業」を強要するのは違法だとして店主ら7人が起こした訴訟の控訴審で、東京高裁(鈴木健太裁判長)は6月20日、一審に続き原告敗訴を言い渡した。判決理由は「イメージ」だからという奇妙な論理。「損をしても、過労死しても、強盗に襲われたとしても、セブンの言いなりにしろというのか。まるで奴隷だ」と店主らは憤る。実際、140店ほどのエリア内で、毎年1人くらいのペースで、現役の店主が心筋梗塞や自殺で亡くなっているのだという。原告の店主らに現場の実態を聞いた。(控訴審判決文はPDFダウンロード可)
Digest
  • 鈴木健太裁判長の手抜き判決
  • もともと契約書になかった「24時間営業」
  • 契約書に一言もない「収納代行」は超薄利
  • 「イメージ」ですべて片付けた手抜き判決
  • セブンイレブンイメージ
  • 新人アルバイトが大金を扱っている現実
  • 収納ミスは「店の責任」という不条理
  • 「不利益はない」を信じた地獄の24時間営業 
  • 収納代行はATMでやればよい

鈴木健太裁判長の手抜き判決

「本件控訴を棄却する」

6月20日午後1時すぎ、東京高裁820号法廷のひな壇に現れた鈴木健太裁判長は、うつむいたまま聞き取りにくい早口で判決を読み上げた。

「主文、本件控訴をいずれも棄却する。控訴費用は控訴人の負担とする」

それだけ言うと鈴木裁判長は顔も上げずに次の事件の判決に移った。傍聴席であっけにとられる原告団をよそに、セブン代理人の飯塚俊則弁護士は足早に法廷を後にした。後を追いかけてコメントを求めたが回答は得られなかった。

24時間営業と収納代行業務の強要は独占禁止法違反(優越的地位の濫用)にあたるとしてコンビニ店主7人がセブン-イレブンジャパン社を訴えた訴訟の控訴審はこうして終わった。一審に続き店主側の敗訴である。

被告・セブン側の筆頭弁護士は元東京地検検事の押切謙徳氏。検事出身の弁護士は、ほかに鶴田千寿子氏と志田至朗氏がいる。ほかに元簡裁判事の多田敏明氏もいた。彼らヤメ検・ヤメ判弁護士の姿は、この日の法廷にはなかった。

参考までに付け加えておけば、志田至朗氏は公正取引委員会に在籍したことがある。かつて大企業を監視していた検事が、退職すると「独禁法違反ではない」とセブンイレブンを守ることで糧を得ているのだった。

控訴審はわずか1度で結審していた。実質審理はなされていない。だから十中八九の確立で原告敗訴だろうと筆者は予想していた。ただ「あるいは」と一縷の望みも持っていた。そう考えた理由は、訴訟記録がほぼ2ヶ月間、裁判官の手元に行ったきりで閲覧できない状態にあったからだ。裁判官が長い時間をかけて記録を読んでいる可能性があった。

鈴木健太裁判長の「噂」もあった。出世と保身しか考えない官僚的な裁判官が多いなかで鈴木健太はまだ話のわかるほうだ、少なくとも昔はそうだった――司法修習生時代を知る弁護士がそう話すのを聞いたことがある。だから、1回の結審だったとしても逆転判決というのがあるのかもしれない。そんな期待があった。

だが結果は前述したとおりである。鈴木健太裁判官には失望した。

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セブンイレブン加盟店に掲げられた公共料金収納代行の看板(上)と、各種チケットの代金収納・発券を行うためのマルチコピー機(下)。手数料はわずかで加盟店の負担はきわめて大きいという。

もともと契約書になかった「24時間営業」

判決文をみて筆者はさらにがっかりした。わずか12頁しかない。苦悩した挙句の敗訴といった感じではまったくない。いい加減に一審判決をなぞって書いただけではないのか。記録をちゃんと読んですらいない手抜き判決ではないか。そう思いたくなる代物だ。

なぜ「手抜き」と思ったのか。以下、裁判で明らかにされた事実をたどりながら説明しよう。

原告の訴えは大きく2つある。「24時間営業」と「収納代行業務」だ。これらを強要するのをやめろという主張である。収納代行というのは、公共料金やチケット代金をコンビニの窓口で受け取る業務のことをさす。

「24時間営業」も「収納代行」も、加盟店主とセブン社が交わした「基本契約」(15年有効)には明記されていなかった。契約書にないにもかかわらず何でもかんでも一方的に仕事を押しつけてくるのはおかしいじゃないか、というのがこの裁判の本質である

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杉並区の発行した公共料金の納付書。裏面にコンビニ各社の名前が列記されている。地方公共団体はNTTデータと収納代行の契約を結び、NTTデータがコンビニ各社と契約をする形になっている。

杉並区とセブンイレブンとの間でかわされた収納代行に関する「協定書」。収納金の紛失や盗難などの事故があった場合、セブン社が賠償する旨書かれている。だが、実際には加盟店が責任を負わされているという。賠償保険の掛け金も加盟店が払っている。

加盟店とセブン―イレブン・ジャパン社の間でかわされたフランチャイズの基本契約書。「24時間営業」も「収納代行」も書かれていない。「セブンイレブンイメージ」を傷つけないようにとの記載があり、そのあいまいな言葉によって際限なく仕事をさせられていると店主は訴える。

収納代行の対象は年を追うごとに増えてきた。加盟店に入る手数料は、本部へのチャージ(上納金)を差し引けば1件あたり実質10円ほどだという。訴訟に出された収納代行の契約状況を示した一覧表。

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