いじめと自殺の因果関係・予見可能性も認定された名古屋・市邨学園事件から見える「親の防御策」
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中学時代に受けたいじめの後遺症によって苦しみ、高校2年生のときに自殺した高橋美桜子(みおこ)さん(当時16歳) |
- Digest
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- 一審判決は、原告側の全面勝訴
- いじめの始まりと学園側の対応
- ショックな担任の対応
- 転学しても苦しむ「いじめ後遺症」
- 解離性同一性障害の発症。そして自殺
- 求めていたのは加害生徒の反省と謝罪
- 「私学の自主性」の壁
一審判決は、原告側の全面勝訴
典子さん=愛知県刈谷市に在住=は、美桜子(みおこ)さんが通っていた市邨学園と、その理事長、担任、加害生徒を訴えた。2011年5月20日の一審判決で、名古屋地裁(長谷川恭弘裁判長)は、以下の事実を認定している(時期を記載していないものは、2002年9月から2003年3月までの間に行なわれたものとして)。
b 毎日のように、教室のロッカーの近くに集まるなどして、美桜子について、「ウザイ」、「キモイ」、「死ね」、「天然パーマ」、「(眉毛が)太すぎなんだよ」、「油ういとるけど」、「毛が濃い」、「毛が濃いのに出さんといて」、「ニキビ」、「汗臭い」、「反吐が出る」などと繰り返し言った。
また、授業中の美桜子の発言に対し、「今日もうざいんだけど」「うるさい」などと言うこともあった。
c 美桜子の机の横に掛けてある鞄を蹴るなどして、スリッパの跡をつけた。d 授業の合間に、机の上に置いてある美桜子の教科書やノートに、「ウザイ」「キモイ」「死ね」などと書いたり、いすの裏側に「死ね」とチョークで書いたりした。
e 教室を掃除する際、美桜子の机の下にわざとごみを集めて、周囲を汚くした。
f 美桜子が自分のロッカーに貼っていた、アイドルグループ「嵐」の相葉雅紀のポスターを破った。
g 美桜子の教科書を隠したり、美桜子の机だけを教室の外に出すなどした。
h 黒板に美桜子の顔を書いて、それに向かってスリッパを投げつけた。
i 03年3月11日ころ、靴箱に入れてあった美桜子の靴の中に画鋲を入れた。
j 「終了式」のあった03年3月20日、美桜子が登校したところ、「臭いから空気の入れ換えをする」などと言い、教室の窓を開けた。
そして、市邨学園に対しては、以下の義務があった、とした。
2)現場の教員の目の届かないところでいじめが行なわれるのを避けるために、トラブルの当事者以外の生徒からも事情を聴くなどしてその実態を的確に把握する。
3)加害者側の生徒に対し、生徒間での行為でも、いたずらや悪ふざけに名を借りた悪質で見過ごし難いものであり、時として重大な結果が生じるおそれがあることを認識、理解させ、直ちにやめるように厳重な指導を継続する。
4)いじめについてのアンケートの調査を実施したり、道徳の時間やホームルームの時間にいじめの問題を取り上げ、クラスでの討論、発表等を通じて、クラスの生徒全体にいじめに対する指導を行なう。
5)生徒間でのトラブルについて、学年会で指導方法について協議して、複数の教員と意見を交換したりするなど教員相互間の共通理解を図って共同で指導に当たったり、中学校担当副校長や校長に報告して指導を仰ぎ、組織的対応をとる。
その上で、美桜子の精神的負担が累積、増大し、心身に大きなダメージが生じるほか、場合によっては自死という結果を招くおそれがあることを予見することも十分可能であった、とした。
学校法人市邨学園と当時の理事長・校長・学級担任に対し、約1490万円の損害賠償を命じる判決となった。
この判決は、いじめと、それに伴う後遺症である解離性同一性障害、そして自殺との因果関係、さらに自殺予見可能性を認めたものとして画期的といえる。
「絶対に勝つと思っていた」という典子さんは、判決について「裁判の進行協議でも、裁判長が判決を確定させたいという思いがあったと思う。弁護団も、これほど原告に寄り添った内容は、ハンセン病訴訟の判決くらいしか見たことがない、と言っていました」と話している。
しかし、判決不服で学校側は名古屋高裁に控訴。12年9月10日に結審した。控訴審判決は12月25日。
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後遺症によってフラッシュバックをすることが頻繁にあった美桜子さん。そのときに筆談したメモ![]() |
いじめの始まりと学園側の対応
美桜子さんはカナダ人の父親と典子さんとの間で生まれた。1歳半のときに両親が離婚。4歳のときに、典子さんと帰国した。小学校は公立に通うが、中学校は私立の市邨学園名古屋経済大学市邨中学に入学した。典子さんは、市邨が運営する短大の准教授だった。
「自分のゼミ生などに市邨出身の学生がいて、みんなおっとりしてて、いい子が多かったんです。受験で苦労させたくないとも思っていました」
市邨での美桜子さんへのいじめを典子さんが知るのは1年生の夏休み、バトンクラブの練習に参加していた頃。二学期になると、さらに顕著になった。「体調が悪い」と言って、美桜子さんが学校に行くのを嫌がった。典子さんはそのとき、甘えているだけだと思った。しかし、美桜子さんはこう叫んだという。
「いじめられてるから行きたくないの!」
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美桜子さんのこと、また裁判のことなどについてインタビューに答える母親の典子さん。
美桜子さんの遺書。真っ赤なペンで「みんな愛してるよ。でも、くるしいよ」と書かれている。
いじめの後遺症として、解離性同一性障害を発症した美桜子さん。「いつになったら、普通の女の子に戻れるの?」と悩んでいた。
文科省からの文書での回答があった。しかし、「私学の自主性」の壁は大きい。
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読者コメント
卒業生として情けない、亡くなった美桜子さんは戻ってこないけど理事長や学園長、いじめに加担した者は被害者の家族に土下座して、謝罪すべき、これからは市邨学園の、名も言いたくない、私立の、恥だ
私財で運営される私学には行政の指導・監督ができぬという、ふざけた話だ。極悪私学の代表市邨学園ホームページをググれば財務情報も一目瞭然。
平成23年度、学園全体の授業料収入がわずか33億に対し、助成金として14億近い税金が投下されている。
さっさと統合、解体すればよい。
多額の公金を投下してまで存続させる社会的意義など、この市邨学園にはない。
被告市邨学園理事長はFRIDAYの取材で臆面もなく「加害生徒たちがいじめじゃないと言ってる以上司法がいじめと認めようがイタズラに過ぎぬ」と言いはなった。
いじめといじめによる解離性同一性障害発症を認定した高裁判決後も市邨はなんら反省などしていない。市邨HP、12/26日付の校長ブログが何よりの証拠だ。
市邨学園側は裁判において「引きこもっているなら、首に縄を付けて引っ張ってこればいい。」と主張したとのテレビ報道があった。いじめを受けて登校できず、学校側は全く助けようとしない状況の中、被害者がとりうる手段は不登校しかない。狂気市邨学園は、裁判で堂々と「首に縄をつけて引っ張ってこい」と自らの異常性を全国に暴露した。つまり、生徒は金儲けの道具であり、首に縄を付けた犬扱いすることが市邨学園の教育だ。
高橋美桜子さんのご冥福をお祈りします。加害者はこの事件はいじめではなく犯罪であると認識せよ。
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