フジTV産経新聞の労組破壊事件で東京高裁が反リストラ産経労の控訴棄却 松沢弘氏「闘い止めない」
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控訴棄却の判決後、司法記者クラブで会見する松沢弘・反リストラ産経労委員長。 |
- Digest
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- フジTV産経新聞グループの厚い壁
- 産経労組改革に見切りをつけ新たな組合を
- 親会社・産経新聞社が松沢氏懲戒解雇に介入
- 組合の存在そのものを否定する会社
- 組合規約に難癖をつける会社
- 組合員資格を否認するための手口
- 元専務と元編集局長の話が明示する不当労働行為意思
- 日隅一雄弁護団長の死と松沢氏の志
新組合結成後、会社側は「反リストラ産経労」を労組として否認する口実とするため、日本工業新聞社の論説委員だった松沢弘委員長を千葉支局に配転して管理職業務を押し付けようとし、94年9月に懲戒解雇。1994年2月、反リストラ産経労は都労委に不当労働行為の救済を求めたが棄却され、中労委もそれを追認する不当命令を出した。
そのため、中労委(国)を相手取って08年11月に、命令取消しを求める行政訴訟を起こし、10年9月、東京地裁で敗訴していた。その控訴審の判決も、会社側の言い分を裁判所が丸呑みする形で、このほど敗訴となった。
フジTV産経新聞グループの厚い壁
「ただちに上告したい。フジテレビ・産経新聞の組合潰しに徹底的に抵抗する運動を続け、最後までやり遂げたい。これは、私たち組合だけのためでなく、フジ産経グル―プで働く人々や日本全体の労働者のためになるはずだ」
控訴棄却の判決直後、法廷脇にある控室で支援者らを前に松沢氏は、きっぱり上告すると語った。その決意を促したのは、反リストラ産経労が提起した問題は、一労働組合の争議というレベルを超える重大な意味があるからだ。
マスコミ内の記者たちが自由に企画、取材、発言でき、一定の労働条件が満たされていないと、報道内容に悪影響を及ぼしかねない。つまり松沢氏ら反リストラ産経労は、報道機関内の御用組合が社会をゆがめることに歯止めをかけようとしたともいえる。
松沢氏は1971年、フジテレビ・産経新聞グル―プ傘下の日本工業新聞社(現紙名フジサンケイ・ビジネスアイ)に入社。同グループの産経労組は、入社とともに加入が義務付けられているユニオンショップ制であり、産経新聞社(『産経新聞』『夕刊フジ』『サンスポ』『競馬エイト』など)と大阪新聞社(02年休刊)、日本工業新聞社の社員が加盟していた。所属する会社は違っていても同じ産経労組の組合員だ。
産経労組は1960年にスト権を放棄し、昇給や賞与は会社側が全額考課査定する。組合委員長が、産経新聞社の役員会に出席し、経営の執行機関である定例局長会の正式構成員になる。
組合の執行委員長、副委員長、書記長らの役員はもとより、執行委員や大会代議員、末端の職場委員の選挙でも、候補者は全員会社に指名され、得票率100%近くで当選していたという。会社と完全に一体化した文字通りの御用組合というのが事実であり、会社の方針に異を唱える者は容赦なく排除する、労務管理体制が敷かれていた。
そして、「執行委員たちは、連日のように銀座のクラブに呼び出されるなどして籠絡されていたものです」(松沢氏)というありさまだった。
産経労組改革に見切りをつけ新たな組合を
松沢氏は同志とともに産経労組を改革しようと長年努力してきたが、限界を感じ、1994年1月10日、あらたに「反リストラ産経労」(労働組合・反リストラ・マスコミ労働者会議・産経委員会)を結成し、1月28日に社長に会って、正式に組合結成を通告し、団体交渉の開催を要求した
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裁判の焦点の一つは、松沢弘委員長に対する千葉支局長への配転問題。当時の日本工業新聞社千葉支局は、産経新聞社千葉総局内にあった。写真は松沢氏のデスクで、書棚の資料や背後の神棚などは産経新聞社のもの。写真:『フジサンケイ帝国の内乱』(松沢弘著・社会評論社)より。
会社は一貫して団体交渉を拒否してきた。懲戒解雇から間もないころ、東京・大手町の旧サンケイビル内の産経新聞社を訪れ、団交開催を要求する松沢弘氏(中央の眼鏡をかけ腕組み)写真:『フジサンケイ帝国の内乱』松沢弘著・社会評論社)より。
反リストラ産経労と弁護団が判決後ただちに出した声明。これまでの経緯や不当労働行為のポイントが、短い文章の中に凝縮されている。
多数の傍聴希望者が駆けつけ、法廷に入れない人もいた。判決直後に控室で結果の報告などをする松沢弘氏ら。
フジサンケイグループの拠点フジテレビ本社を守るガードマン。1997年春にフジテレビは臨海副都心の台場に移転。同年3月24日には5000人の記念パーティを開催したが、それに合わせて反リストラ産経労や支援する多数の労組が抗議行動を展開。警視庁は500人の機動隊を動員して介入した。
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読者コメント
何か、腐った文科省の役人が「大学ひも付き天下り」に問題が飛び火しないよう、真紀子不認可の「火消し」に躍起となった最近の事に似ている。
更には、大学設置職務権限の職務権限に絡む不正・癒着。贈収賄的な行為をやっている民主党・元文科副大臣・鈴木寛について真紀子も文科省も踏み込まない異常さ。
ネイビー通信でスクープ書いていますが。
こんなにはっきりとした不当労働行為を許してしまうなんて、日本の裁判所は腐りきっている!
それでも闘い続ける松沢さん、反リストラ産経労に拍手!
どこまでも頑張れ!
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