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「東電社員」杉並区議・安斉あきら氏、政務調査費204万円をマネロンの上“副収入”に 監査委も黙認

情報提供
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政務調査費で補助をもらっている賃貸マンションを転貸しして、4年間で204万円の副収入を得ていることが発覚した東電社員杉並区議(民主)の安斉昭氏(上)。下は問題の事務所の「家賃」として、「安斉あきら後援会」から安斉氏に払われた51万円の領収書。
 東京電力の現役社員でありながら杉並区議も兼務する安斉昭氏(民主)が、杉並区の政務調査費から家賃補助50%を得て借りているマンションを、自身が代表を務める政治団体「安斉あきら後援会」にまた貸しし、4年間で204万円の家賃収入を個人の懐に入れていたことがわかった。税金を“マネーロンダリング”してかすめ取るに等しい行為は、モラルに反するばかりか、政務調査費の使途基準に反する可能性が高い。ところが幹部職員のオイシい天下り先ポストでもある杉並区監査委員は、この「転貸しアルバイト」を容認。安斉氏も「問題だというのなら裁判やればいいじゃない?」と、いかにも「東電」らしい傲慢さを露にしている。(該当する政治資金収支報告書はPDFダウンロード可)
Digest
  • 領収書の但し書きが物語る「転貸し」
  • 見て見ぬふりの議会事務局
  • 「転貸し」を黙認した天下り監査委員
  • 「転貸しじゃない。立て替えただけ」と安斉氏
  • 選挙事務所費の記載漏れも

◇ 政務調査費で事務所費年51万円

東電社員議員・安斉氏の「転貸し」は、いささか複雑だ。「政務調査費収支報告書」と「政治資金収支報告書」という2種類の公文書を調査することで発覚した。順を追って説明したい。

まず政務調査費(政調費)についてだ。

政調費とは議員に与えられる経費で、杉並区議会議員の場合、上限で月額16万円、年間192万円が支給される。税金である以上何にでも使っていいわけはない。「政務活動」のためという目的に限る。使途基準が細かく設けられ、目的外使用を防ぐため、議員は報告書を議長に提出しなければならない。それが「政務調査費収支報告書」である。

安斉昭氏が提出した政務調査費収支報告書をみたところ、年間51万円を事務所家賃として計上しているとの記載があった。報告書には物件の賃貸契約書も添付されている。安斉氏が西荻窪のマンションを月額8万5000円で借りているという内容の契約書だ。政調費で出している51万円とは、この「家賃」の2分1に相当する金額だった。

51万円の事務所家賃支出は、2008年(4月~3月)から2011年まで4年にわたって続く。つまり安斉氏が政調費で払った「事務所費」は4年間で合計204万円にのぼる。

こうした支出が可能なのは、杉並区が政調費で事務所家賃を出すことを認めているからだ。もちろん無制限ではない。事務所費を政調費で出す場合の基準は「使途基準細目」で定められている。

【事務所賃借料について】

自己所有(持ち家)=できない

賃借=事務所専用 事務所賃借料の支出割合の上限は1/2とする

※ 個人(一人会派含む)で契約する事務所賃借料の政務調査費支出金額の上限は月額5万円とする。


事務所費を政調費で計上する場合の上限は「事務所賃借料」の2分の1で、かつ月額5万円以下――というのが使途基準である。これに照らせば、年間51万円、月額にして4万2500円を政調費で払った安斉氏の場合、使途基準のほぼ上限いっぱいを使っている計算となる。

安斉氏は杉並区上井草に一戸建ての自宅を持っている。税金を使ってまで事務所を借りる必要があるのか。筆者は首をかしげたくなった。それでもこの時点までは、明白におかしいという印象は受けなかった。

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安斉昭杉並区議が議員事務所として借り、政務調査費で家賃の半額にあたる年間51万円を支出した事実が記載されている安斉氏の政調費収支報告書。家賃の半額は使途基準の上限いっぱいにあたる。

◇「安斉あきら後援会」でも事務所費年51万円

それが決定的な疑問に変わったのは、「安斉あきら後援会」という政治団体が東京都選挙管理委員会に出した政治資金収支報告が端緒だった。

「安斉あきら後援会」とは安斉氏の政治活動費をまかなう後援会組織である。都選管への届出事項によれば、代表者は安斉昭氏本人、所在地は安斉氏の自宅である。安斉氏には東電労組政治連盟から多額の献金がされているが、その受け皿となっている団体でもある。東電労組は、周知のとおり、原発推進を掲げてやまない電力総連傘下の労使協調組合だ。

この安斉あきら後援会の2008年分政治資金収支報告書の一節に筆者はひっかかった。

「事務所賃借料」として年間51万円(1月~12月)を支出――

そうした記載があったからだ。51万円という金額は、先に説明した政務調査費の「事務所費」と同じ。また、「51万円」の支出は、09年分、10年分、11年分の収支報告書にも書かれていた。政務調査費の報告書にあった「事務所費」の記載と妙に似ている。

加えて後援会が年51万円の家賃を払っている、その支払い先も気になった。支払い先が安斉昭氏だったからだ。後援会の所在地は安斉氏の自宅である。本来家賃は発生しないはずだ。それなのに、安斉氏に年51万円の「家賃」を払っている。

安斉氏は賃貸マンションのオーナーではなく、不動産業を営んでいるわけでもない。それなのに家賃をもらっているというのはどういうことなのか――疑問は深まった。

領収書の但し書きが物語る「転貸し」

疑問は「領収書」を調べることで解けた。真相を探るため、筆者は「安斉あきら後援会」の収支報告書に添付された領収書を確認した

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安斉昭氏が政務調査費から家賃補助を得るため杉並区議会議長に提出した事務所の契約書。同じ物件を転貸しして収入を得ている事実は、いっさい議長に報告されていない。

政務調査費から家賃補助を得るため、安斉氏が議長に提出した賃貸マンションの領収書。年間102万円分あり、この半額が税金で払われた。政調費の収支報告書を見る限り、残りの家賃は安斉氏が自己負担しているとしか理解できない。

転貸しが発覚した問題の事務所。何度か訪れたが安斉氏がいたことはない。「選挙のときにしかほとんど使っていないのではないか」と勘ぐる人もいる。

2011年4月の統一地方選では、選挙事務所用に杉並区内の店舗を借りた。だがその収支は、選管に提出する「選挙運動費用収支報告書」に記載されていなかった。ずさんな処理で。公選法の規定に反する恐れがある。

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読者コメント

まぐろのトロさん2014/07/28 08:23
情けは人の為ならず2012/12/24 00:46
世も末だ2012/12/17 22:49
労働者の声2012/12/07 11:02
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