代理店に騙される広告主たち――チラシ65万枚「中抜き」、42万枚は印刷もせず
アルファ・トレンドが入居する大阪市北区の淀川5番館ビル。 |
- Digest
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- チラシ65万枚の「中抜き」被害
- 誰がチラシを「中抜き」したのか?
- チラシの印刷枚数を示す証拠
- ABC部数=実配部数のフィクション
- 「積み紙」理論の破たん
- 読宣の代理人・中坊公平
- 読宣は「質問には一切答えられない」
新聞の折込チラシの一部が、宅配される前の段階で捨てられているらしい――そういう噂は、以前からあった。しかも、このような不正行為を働いている輩は新聞の販売店である、という話が、新聞本社側によって広まっていた。
(株)読宣と(株)マーケティング読宣の事務所がある読売大阪ビルの正面玄関。 |
新聞社の言い分はこうである。チラシの搬入枚数は、新聞の搬入部数に一致させる原則があるため、販売店はより多くの新聞を仕入れることで、チラシの受注枚数も増やそうとする。
たとえ過剰になった新聞の卸代金を負担したとしても、多数のチラシを入れて、新聞1部から得るチラシ収入が新聞の1部の原価を上回れば、いくら過剰な部数があっても、チラシ収入によって損害を相殺した上に、さらに残りの利益を得られるからだ--。
6月4日、わたしは大阪地裁で、従来のこのような説を覆す決定的な証拠を発見した。提訴されたばかりのある裁判に関する資料は、チラシの不正を主導しているのが広告代理店であることを示唆していた。
この裁判の原告は、宝石や貴金属、それにバッグなどのリサイクル販売やレンタルを行っているA商店である。社名を匿名にしたのは、「お客様商売のため、会社のイメージ等を重んじている」(A商店)という被害者の心情に配慮した結果である。
被告は、広告代理店アルファ・トレンド。2005年に設立された会社で、社長の飯干正芳氏は、元読売広告社の社員である。その関係で読売関連企業との取引もある。
今回、訴因となった事件には、読売の関連会社である(株)読宣と(株)マーケティング読宣もかかわっている。ただし、後述するように、両社については法的に見て不正工作への関与はない。
チラシ65万枚の「中抜き」被害
事件の構図は、A商店が2008年6月から2009年3月までの期間にアルファ・トレンドに発注した259万4000枚の折込チラシのうち、194万4000枚しか配達されていなかった、というものである。差異の65万枚は配布されていなかった。しかも、そのうちの、少なくとも42万枚は、印刷すらされていなかった。
それにもかかわらず、アルファ・トレンドは発注した枚数分の代金をそのまま徴収していた。A商店が騙し取られた額は、約249万2868円になる。
裁判は、この損害額に弁護士費用25万円を加えた総計274万2868万円の返済を求めたものである。第1回の口頭弁論は6月12日に開かれる。
次に示すのは、被害の内訳である
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チラシ枚数140万枚を明記したアルファ・トレンドの見積書。
チラシの印刷枚数98万部を示すマーケティング読宣の記録。
チラシの不正の背景には、偽装部数問題がある。写真右側のビニール包装が「押し紙」(偽装部数)。左下の茶紙の包装が、秘密裡に破棄される折込チラシ。
折込チラシをめぐる読宣の裁判に登場した中坊公平氏。
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