マクドナルド・パワハラサビ残自殺未遂事件 部長から執拗な罵倒、叱責、サビ残100時間超の末
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写真は原田永幸氏(04年2月13日に日本マクドナルドの副会長兼最高経営責任者、同年5月21日に社長就任。13年8月27日付で社長兼CEOを退任、同社HPより) |
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- 「産休明けには、デスクはないかもな」
- 「そんなことじゃ会社に残れないわよ!!」
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- 取引先社員もパワハラ部長の餌食になり病院送りで退職
- 首つり自殺決行で遺書も…間一髪で救命
- 慰謝料等1344万円求め提訴
「産休明けには、デスクはないかもな」
訴状や証拠書類によると、原告のM氏(40代、女性)は、高校時代から日本マクドナルド(以下、マクドナルド)でアルバイトとして働き、91年に短大を卒業後、新卒でマクドナルドに、正社員として入社した。
最初の1年は、店舗で接客などをする店舗マネージャーを担当。翌年からは、本社の社長室へ異動し、飲食以外の、ライセンス事業、広告、IT業務などに従事した。
98年からは、営業本部「ハンバーガー大学」へ異動した。ハンバーガー大学とは、マクドナルド社内の人材育成の教育機関。M氏はここで、店舗向けマニュアル制作などを手掛け、「チーフ」というランクに昇進した。
心理学の資格「MBTI」「EQプロファイラー」を取得し、「情報デザイン」「心理学」の社内学位を得るなど、充実した日々を送った。
09年9月には、人事本部ピープル・ディベロップメント部に異動。既婚のM氏は、妊娠し、翌10年6月から産休を取り、8月から翌11年4月末までは、育休を取得した。
この時期、最初のパワハラが勃発した。出産前の10年5月頃、M氏は部長のI氏(男性)に挨拶に行った。すると、I部長は、こう言い放ったという。
「産休明けには、デスクはないかもな」
同年12月末の会社のファミリーイベントの席で挨拶したときも、I氏は同様の発言をしたという。
そして育休明けの11年5月、M氏は復職。翌月下旬に、7月1日から異動することが決まった。その決定の翌日午前、I部長は「お前、異動を聞いた?」と言った。「はい、聞きました」とM氏が答えると、I部長はこう言った。
「たくさん働かせてやるからな」
そして、11年7月1日、M氏は、人事本部店舗人材開発部に異動。同日付で、近藤勇子氏(仮名)が新部長に就任した。
同部の業務内容は、店舗で働く人材(新卒社員、中途社員、アルバイト、障害者)の採用などであり、M氏は、アルバイト採用を担当した。仕事の具体的内容は、アルバイトのウェブサイトの運営、新店舗のサイト更新、コールセンターの運営、ポスターなどの開発、発注、取引会社への支払い、各店舗への経費の仕分け請求など、多岐に及んだ。
M氏にとって、これらの仕事は全く未経験だった。だが、前任者からの引き継ぎは、口頭での数回の説明のみで、マニュアルや文書は一切なし。さらに前任者には、アシスタント従業員が一人付いていたが、M氏には付かなかった。
つまり、これまで2人でやっていた業務を、M氏一人で担当することになった。このため、日常的に業務を自宅に持ち帰らざるを得なくなった。
異動から1か月後の11年8月には、近藤部長に、いきなり、こう言われた。
「高校生新卒と障害者の採用をできない?」
そのときM氏は、新しい業務を覚えている真っ最中で、2人分の仕事を一人でこなすよう、工夫を重ねているときだった。だから、「今は無理です」と断った。
すると近藤部長は「あっそう」と言って立ち上がり、背中を向けて立ち去った。
それ以降、近藤部長は一変した。
「そんなことじゃ会社に残れないわよ!!」
11年8月下旬には、ストアインフォメーションという、社内のシステムがダウンした。すると近藤部長が、M氏に向かって、「なんでそんなことになっちゃうの」「ったく、ちゃんとしてよ!」「何とかなるんでしょうね!!」と、周囲に聞こえる大声でM氏を叱責し、あたかもM氏の責任であるかのように脅しつけた。M氏は、恐怖を感じた。
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ハンバーガー大学の概要(同社HPより)![]() |
11年9月には、
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同社HPにある、マクドナルドからのメッセージ。「メニューボードには載っていない、マクドナルドの大切な品質、それは『人』です」「メニューボードには載っていない、マクドナルドの大切な品質、それは『人』です」とある
自殺未遂時につづった遺書の概要。(※筆者が裁判資料をメモして作成したもの=コピーや撮影はできないため)。「パワハラはみとめられず、おとがめなし、私は病院おくり、コンプラは意味なし、去年も一人自殺しているし、労災も、死なないと認められない」とも
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読者コメント
そう。むかしからスーパーバイザが来る時なんぞは、さらに大変だった。ダブルインだけでなく、トリプルインなどというバイト勤務もやったし。店長なんかはほぼ一日中いた。24時間営業になってさらに悪化か?
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