マクドナルド店長は管理監督者に非ず 750万の支払い認める地裁判決
東京地裁前判決後にメディアの取材に答える高野夫妻。「同じような境遇で働いている人たちに良い影響が出るものと確信している」 |
会社側は翌29日に控訴したが、この判決は全国約1,700人のマック直営店の店長のみならず、残業代が支払われず長時間労働を強いられている同業・異業の店長職に大きな影響を与えるはずだ。
28日午前10時に始まった裁判で裁判官が主文を読み終え閉廷すると、原告の高野廣志さん(46歳)は弁護団と固い握手を交わした。2005年12月の提訴から約2年、現職の店長が退職することなくハンバーガーチェーン最大手の大企業との裁判に勝利した瞬間だった。一方の被告席には、日本マクドナルドの弁護団の姿は初めからなかった。
高野さんの裁判を支援してきた東京管理職ユニオンの安部誠氏によれば、「会社側が負けると予想していたので、判決文を受け取ってから2週間という控訴期限を少しでも延ばしたいのと、敗訴の判決を目の前で読み上げられるのを嫌ったためだろう」とのことだった。
高野さんは1987年に同社に入社し1999年に店長に昇格したが、人件費の削減や適切な人事異動がされなかったため長時間労働を強いられることになった。
■高野さんの勝訴となった判決文。 原告弁護団によれば「とてもオーソドックスで手堅い判決」とのことで、新たな司法判断が示されたわけではないが、業界のリーディン グカンパニーへの判決という点で波及効果は大きい。 |
それにも関わらず、店長は管理職であるという理由で残業代は支払われず、年収は店長になる以前よりも低くなるという待遇の中で、無報酬な長時間労働の是正を求めて、日本マクドナルドを被告として裁判に訴えた(マクドナルドは残業代800万円を支払え!過労死寸前、現役店長が未払賃金請求の訴え )。
労働基準法は規定の労働時間(1日8時間、週40時間)を超える労働や休日出勤には残業代を支払うよう義務づけているが、第41条により、「管理監督者」にはこの規定が適用されない。高野さんの裁判では、日本マクドナルドの直営店店長が管理監督者に当たるかどうかが最大の争点となった。
◇店舗内限定の場合、管理監督者に該当せず
判決は、「管理監督者は、経営者と一体的な立場で活動することを要請されてもやむを得ない重要な職務と権限を付与されている立場にある」と指摘し、日本マクドナルドの直営店店長については「権限は店舗内に限られ、企業全体の経営方針などの決定過程に関与している事実は認められない」「勤務実態からすると、労働時間に関する自由裁量性があったとは認められない」として、管理監督者には当たらないとした。
その上で、原告側が求めた2年分の未払い残業代や慰謝料など約1350万円の支払いのうち、未払い残業代など約755万円の支払いを命じた。
高野さんの弁護団の一員である小川英郎弁護士は、この判決の意義を次のように解説した。
「権限が店舗内に限られる場合は管理監督者に該当しないという判断は非常に重要。高野さんの請求は、残業代が欲しいというのではなくて、長時間労働に対する歯止めがないことを訴えたのであり、長時間労働へのブレーキをかける判決といえる。
退職していない現職の店長が裁判を起こしたという稀なケースであり、働きながらでも、みなさんの支援を得て、自分たちの働き方を社会に問うていくことができる、ということを示した点も大きい」
◇唯一の会社側協力証人も勝訴を予想
今回の裁判で会社側から唯一、原告の高野さん側の証人として証言をした元日本マクドナルドの社員でOC(オペレーションコンサルタント:店長を統括する役職)だった鶴亀徳之介さん(45歳)に、判決が出る数日前に話を伺った
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(上)判決後、西新宿にあるマック本社前で街頭の人々に呼びかける高野さん。行き交う人々からは、「あの判決の人だ」などの声があがり、関心の高さが伝わってきた。(下)高野さんが加入している東京管理職ユニオンが日本マクドナルド本社へ提出した申入書。控訴することなく本判決を受け入れるよう要求するとともに、団体交渉を申し入れている。
支援者約60人が集まった判決報告集会で発言する高野夫妻。妻の邦子さんの話に参加者も聞き入っていた。
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読者コメント
それでも店長になれたんだろ。お前の発言は負け犬の遠吠えにしか聞こえない!お前も店長だったんだろうが!同じだよ、同じ!
高野君と仕事を一緒にしたことがありますが、彼は能力が低いマネージャーでした。特に自己責任でけがをしたにも関わず、労災として会社責任にして休暇を取っていました。彼は根本的に仕事ができないため、店長になるにもかなり期間がかかりました。こんな訴訟に勝っても他で雇ってくれるところはありません。
東京管理職ユニオンのHP
で団体交渉のやりとりを
読みました。「マクドナルドの店舗は会社そのもの」という回答があまりにも奇妙でしたね。この
期に及んでまだ店長は管理職と言い張るマクドナルドは、あまりにも見苦しい。これではどんどん
退職者が増え、入社したい人も減るでしょう。
他店の店長たちも次々と残業代を要求する訴訟を
起こすようです。これに
対して、原田(敢えて呼び捨てにします)始め会社は裁判の判決を真摯に受け止めてないようです。原田などは,「店長が管理職でないと、失望が広がる」などとほざき、問題の核心をすり替えようとしています。一度つぶれた方がいいのではないか?
現在の経営者は違法行為を平気で行います。「訴えれば好きにしろ!潰れて困るのはお前らだぞ!」と逆に脅迫もしますよ。当社も残業代4000万円取り返しましたが、その後も厚顔無恥に役員一同居座ってますよ。
今回の判決は今までの判例からして、全然驚くような判決ではないですよ。マクドナルドが今までの判例と照らし合わせて明らかに違法だとわかる行為を続けてきたことが、そしてまともな経営をしていないことが世間一般に明らかになったのはいいことだと思います。経営者は無反省なようですが。確信犯ですね。
従業員は労働者としてだけではなく、家計を支えて子育てをする父母であったり、友人関係や地域社会で社会生活を営む一市民でもあります。趣味を楽しんだり食事をしたり会話を楽しんだり・・・・・・。そういう人間に対する想像力や洞察力が欠如しています。利潤の最大化というものさしとそのための方法しか頭にない「現代の野蛮人」。こういう人間が影響力の大きい会社の経営をするのは危険です。
経営者の顔を見て納得しました。まともでないと・・・・・。会社の経営以前に(特に人の上に立つ者が)人間として持っていなければならない道義・倫理が欠如しています。利潤の最大化をめざす企業の行動は確かによりよいサービスや商品を産み出し社会に寄与しますが、それはまた「人間性の疎外」を生じさせます。
こんなの日本の会社全てに当てはまる事ですよね。「自分は管理職」と思わされている「単なる従業員」が何百万人いることやら。この裁判をきっかけに日本が先進国に一歩近づけるといいですね(笑)
2月7日の原田社長のコメントを読み、腹が立ちました。
こいつ問題の本質がわかってない奴だなとつくづく思いました。この裁判は店長が管理職かどうかとか残業代を払うとかの問題より、会社が平気で社員が体をこわしてまで、死ぬまで働かせるのを止める裁判なのです。原田という男は人間としての血も涙もない
クズだと思います。
当然の結果ですね。ハンバーガー80円で
利益を出すにはこういう裏があると思いましたから。
全員が残業代を請求すると100億を超えそうですね。潰れて下さい。
裁判を始められて2年を超す長い間本当にお疲れ様でした。勝訴となり、私もうれしく思います。私も15年前マクドナルドにいて、この会社のひどさはよくわかっています。この判決に控訴するとは
どういう神経なのでしょう。
昨年業務中に亡くなった店長の遺族に対しても人間らしい
態度が見られません。原田よ、すぐにやめろといいたい。
全国の店長さんが同じように,会社を訴えたらどうなるんでしょうか?
日本マクドナルドは潰れちゃいますか?
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