新聞も「偽装」発覚で刑事告訴 “折り込め詐欺”でチラシ65万枚を中抜き、250万円の被害
「折り込め詐欺」の被害にあったブランドショップ・バースデーの衣料館。大阪市中央区心斎橋にある。 |
- Digest
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- 1年足らずで250万円の被害
- PR戦略にも重大影響か?
- 新聞の公称部数の偽装が根底に
- 別の広告主も刑事告訴に踏み切っていた
- 大阪府警が捜査しない不思議
- アルファ社とマー読宣は沈黙
新聞に折り込んで配布する契約を交わしていながら折込チラシを配布しない「折り込め詐欺」は、新聞業界のタブーとして隠されてきた。1年たらずの間に、総額約250万円をだまし取られたブランドショップ・(株)バースデーの有田明生社長が、現在の心境を打ち明ける。
「やり方があまりにもえげつないですよ。それが許せません。出来心で魔がさしてなにか悪い事をやったのではなくて、綿密に計算したうえで同じ手口を繰り返していわたけでしょう。だましたヤツとは、食事して酒を飲む仲だったんですよ。実にずるがしこいです。こんなことをされているとは、夢にも思っていませんでした」
日本新聞協会のビル。同協会は「折り込め詐欺」が行われてきたことを絶対に認めない。その一方で、消費税の軽減税率を堂々と要求している。 |
2008年6月から2009年3月までの10ヶ月の間に、バースデーは広告代理店アルファ・トレンドに対して253万枚の折込チラシを発注した。
このチラシは、本来であれば指定されたすべての新聞販売店を通じて配布されなければならない。ところが販売店側には、総計188万枚しか届いていなかった。実に65万枚が物流の過程で「中抜き」されていたのである。
このうち2008年12月に発注した140万枚のチラシについては、驚くべき事実が発覚している。140万部のうち、42万枚は販売店に搬入されるどころか、印刷すらされていなかったのだ。
この42万枚でバーステーが騙し取られた額は166万円にのぼった。「中抜き」されたために、PR戦略の計算が狂ってしまった可能性も高く、被害の実態は計り知れない。
ちなみにこの事件では、チラシの物流はおおむね次のようになっていた。
①(株)アルファ・トレンド・・・チラシの受注・印刷など
②(株)マーケティング読宣・・・チラシ折込の手配など
③(株)読宣・・・販売店へのチラシの搬入など
事件が発覚した経緯は、次の既報に詳しいが、結論を言えば、①から②へ業務委託した時点では、既に「中抜き」が完了していた。つまり責任の所在は、アルファ・トレンドにあることになるが、同社はそれを否定している。
■参考記事:新聞折込チラシ詐欺 大阪地裁が「中抜き」を事実認定、35万枚のうち5万枚を印刷せず料金請求■参考記事:代理店に騙される広告主たち――チラシ65万枚「中抜き」、42万枚は印刷もせず
1年足らずで250万円の被害
バースデーが被った損害をアルファ・トレンドが全額返済することを約した和解調書。返済額は、弁護士料25万円を含む約274万円。 |
バースデーは今年の3月に大阪地裁で民事訴訟を起こし、過払い分の総額約250万円と弁護士費用25万円、総計約274万円の返済を求めた。アルファ・トレンドは当初、「全く預かり知らない事柄」と潔白を主張していたが、早々に全額を返した。こうして6月26日に、和解という形で、事件は一応の決着をみた。
だが、有田社長は10月になって、新たに大阪府警天満警察署への刑事告訴に踏み切った。それは、
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バースデーが被った被害の詳細。
アルファ社がバースデーに送った見積書。問題が発覚した140万枚のチラシの見積額は500万円を超えている。
透明なビニールで包装された束は「押し紙」。新聞で包装された束の中身は折込チラシ。
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読者コメント
最近東京読売会で噂があるそうだ、そろそろ百姓一揆があるかな。
新聞販売店もチラシ料金を水増し詐欺しているんですね。チラシを出しても反応がないわけだ。
ここまで落ちると、この国は文化最低国だね・・!!!
誰かが、世界最高をいくら宣伝しても、足元がなってないね!!!
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