スウォッチ“残業強要”解雇訴訟、解雇撤回し派遣会社に出向命令、本社ビル受付業務配置の仕打ちに
スウォッチグループジャパン現代表取締役社長のクリストフ・サビオ氏(ロンジンHPより) |
- Digest
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- これまでの経緯
- 解雇撤回し派遣会社に出向、1階受付の下請け業務に
- 解雇は撤回したけど解雇は有効…会社の言い分
- 下請け業者として同僚や上司と接する精神的苦痛
- 表面上は原告の全面勝訴判決、裏側は被告主張の全面採用
- 「回答を差し控える」スウォッチ人事部
これまでの経緯
まず、12年11月に掲載した時点までの経緯をざっくり振り返ってみよう。原告の正社員・周防千賀子氏(仮名、現40代前半)は、オメガ、ブレゲ、ロンジン、カルバン・クラインウォッチ、ティソなどのブランドを持つスイスの時計製造グループ「THE SWATCH GROUP LTD」の100%子会社「スウォッチグループジャパン」の人事総務部に在籍していた。
周防氏は09年から違法なサービス残業を強要されたとして会社に是正を求めた。すると5日間で3回の退職勧奨に遭い、拒否すると左遷されて、周防氏だけ人事総務部に所属したまま別フロアで、郵便物の処理や書類の準備、送付の手配、備品発注、入力業務などの雑務に従事させられた。
その上、人事部は11年1月24日に、退職金を上乗せするから12年3月末までに退職するよう迫ったが、周防氏は拒否。すると、会社は、セキュリティカードを取り上げ、会社に来なくていいから自宅で退職勧奨を熟慮するよう、言い渡した。ロックアウトである。
それから約1週間後の2月3日付で、会社は解雇通知書を出した。解雇理由は、就業規則の中の「業務成績又は技能が不良で就業に適さないと認められた場合」に当たる、というのものだった。それから約1か月後、周防氏は解雇された。
一連の会社の仕打ちに全く納得のいっていない周防氏は、11年9月22日、スウォッチグループジャパンを相手取り、地位確認と損害賠償(提訴時9,393,292円)を求め東京地裁に提訴。訴えの概要は以下の通りだった。
「原告が被告に対し、雇用契約上の権利を有する地位にあることを確認する」
「被告は、原告に対し、本判決確定まで毎月25日限り、月額30万1,330円の金員を支払え」(給与)
「被告は、原告に対し、本判決確定まで毎年6月15日限り、月額51万2,650円、毎年12月15日限り金87万1,500円の金員を支払え」(賞与)
「被告は、原告に対し、金200万円の金員を支払え」(精神的苦痛などの損害賠償額)
「訴訟費用は被告の負担とする」
ここまでが前回報じた内容である。以後、何が起きたか――。その後の経緯をお伝えする。
解雇撤回し派遣会社に出向、1階受付の下請け業務に
ちょうど当サイトがこの事件について報じた1か月後の12年12月26日、事態は急変した。会社側は、周防氏に対し、一枚の紙を送付したのだ。
それは「解雇撤回について」と題する文書だった。そこにはこう書いてあった。
会社が突然通告した「解雇撤回について」の概要(※筆者が裁判資料をメモして作成したもの=コピーや撮影はできないため) |
「当社は、平成23年2月3日付け解雇を撤回し、添付の「出向命令書兼異動通知書」及び「出向通知書」のとおり、貴殿を平成25年1月15日付けにて管理本部付けとし、株式会社ザ・アールに出向を命じます」
ザ・アールとは、都内の人材派遣会社のことで
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「出向通知書」の概要
「出向命令書兼異動通知書」の概要
原告による「出向異議通知」の概要
スウォッチグループジャパン本社のあるニコラス・G・ハイエックセンター1F(東京都中央区銀座7-9-18)
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