毒物混入のマルハニチロ 危険度合い判断できぬ品質保証部門、虚報垂れ流すマスコミ
自主回収の社告と商品一覧の一部 |
- Digest
-
- 農薬コロッケ「60個食べても安全」と判断したのは誰か?
- 30日の電話取材でも嘘八百の対応
- 品質管理のイロハを知らない品質保証部
- 企業発表を垂れ流したマスコミにも責任
農薬コロッケ「60個食べても安全」と判断したのは誰か?
食品への農薬の残留基準違反などで回収騒ぎになるたびに、企業は「1日に@@個食べないと健康に影響はでません」という説明を繰り返す。具体的な値を示すことでお客に過剰な心配させないための配慮だと説明されるが、その数値に間違いがあったら、企業は本当に信用を失ってしまう。
朝日新聞2013年12月29日の記事。リンク切れしていたので、記事検索サイトから入手した |
マルハニチロホールディングス(以下マルハ)のグループ会社、アクリフーズ群馬工場で生産した冷凍食品の一部から農薬「マラチオン」が検出された事件。今回のマルハニチロホールディング(以下マルハ)は、そうした致命的なミスを犯してしまった。12月29日の最初の記者会見でマルハは「最も多く検出されたコーンクリームコロッケでも、計算上は体重20キロの子どもが一度に60個を食べないと健康に影響がない」と説明していた。
ただ、発表資料を見ても、健康に影響が出る農薬の摂取量や、コロッケ1個当たりの重量、もっと多く検出された濃度など、その根拠となるデータが全く示されていない。これでは検証しようがない。
結論から言うと、その60個というのは、食べた子どもの半数が死んでしまう量だった。実際はコロッケの1/8個食べただけで、急性毒性を起こさないための摂取基準を超えていた。
人を殺しかねない杜撰なリスク評価を、なぜ一流企業であるマルハニチロが行ってしまったのか。
事件の時系列一覧。企業の発表をもとに筆者作成 |
30日の電話取材でも嘘八百の対応
事件を時系列で整理したものが右図だ。筆者は30日の最初の新聞報道でマルハの説明のおかしさに気づき、お客様相談室へ問い合わせを行った。(12月29~31日やり取りは筆者のフェイスブックページにも書いている)
回収やクレームの対応が殺到したためか、なかなか電話が繋がらなかった
この先は会員限定です。
会員の方は下記よりログインいただくとお読みいただけます。
ログインすると画像が拡大可能です。
- ・本文文字数:残り4,224字/全文5,103字
マルハの12月29日の記者発表と30日の電話対応の間違い3点
マルハニチロホールディングスの組織図。会社HPより。
Twitterコメント
はてなブックマークコメント
FOOCOMの松永さんの記事と同様の切口/FBコメントに中村幹雄 さん
facebookコメント
読者コメント
マルハの「お詫びとお知らせ」がでました。http://file.tdx.co.jp/news/20140126_aqli_gunma_nouyaku-kensyutu_owabi2.pdf
「食品安全基準についての認識の誤り」も認めています。今後の品質管理体制については、従業員の労働環境(賃金も含めた)も必須だと思うのですが、何も書かれていません。
記者からの追加情報
会員登録をご希望の方はここでご登録下さい
新着のお知らせをメールで受けたい方はここでご登録下さい(無料)
企画「えっ?まだ新聞、定価で読んでるんですか!?」トップページへ
企画「食の安全」トップページへ
本企画趣旨に賛同いただき、取材協力いただけるかたは、info@mynewsjapan.comまでご連絡下さい。会員ID(1年分)進呈します。