ほうれん草40gで子どもに急性中毒リスク 国の残留基準緩和案で農薬漬けになる野菜はこれだ!
クロチアニジンの新残留基準値案が施行されると、ほうれん草1.5株(40g)食べただけで、子どもの急性中毒リスクが発生することになる。 |
- Digest
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- 急性参照用量
- ほうれん草2株、レタス半分で急性毒性のリスク発生
- 急性毒性に対する摂取基準値がない日本
- 国際的には基準値強化の流れ
- 厚生労働省へ申し入れ
この問題の背景には、住友化学など農薬メーカーに甘い農水省と、急性中毒リスクに対する理解に欠けた厚労省、それを追認するだけの審議会の御用学者、役人任せの政治家、報道しないマスコミといった、政-官-業-学-報の典型的な癒着がある。
急性参照用量
昨年12月29日に起きたマルハニチロの冷凍食品問題では、子どもに急性中毒が起きかねない量であることが問題になった。当初マルハニチロは、動物実験で半数が死ぬ量をもとに、「一度にコロッケ60個食べない限り大丈夫」と説明し、厚生労働省から即訂正を要求された。
厚労省が12月30に発表した資料によれば、急性中毒が起きかねないケースでは、半数致死量ではなく、急性参照用量(ARfD)という摂取基準値と比較すべきで、それだと大人でもコロッケ8g(3分の1個)で超過してしまう、という説明を行なっている。
事件性のある意図的混入に対しては、厚労省の反応は速かった、と評価できる。
しかしその一方で、驚くべきことに厚労省は、普通の市販の野菜への残留農薬基準の決定に対して、この急性参照量をまったく考慮していないことが分かった。
その結果、現在、厚生労働省の薬事・食品衛生審議会食品衛生分科会農薬・動物用医薬品部会で検討中の残留基準値改正案では、子どもがほうれん草2株(40g)を食べるだけで、この急性参照用量を超えてしまう値を、厚労省は残留基準値として認めようとしているのだ。
特別な犯罪だけではなく、普通の市販のほうれん草が急性中毒を引き起こす可能性が出て来てしまうことになる。
ほうれん草2株、レタス半分で急性毒性のリスク発生
問題になっているのは、ネオニコチノイド系の「クロチアニジン」という農薬で、住友化学が製造している。
まずは、現在、厚労省が認めようとしている残留基準値がどれくらい危険なのかを、お示ししよう。
下の図を見てもらうと分かるが、カブの葉は現在の基準値の0.02ppmから40ppmへと、2000倍もの緩和となる。みつばも、0.02ppmから20ppmへと、1000倍の緩和だ。
新残留農薬基準案で危険になる野菜と摂取量の一覧。筆者作成 |
つまり、今よりも、2000倍、1000倍の量の農薬が残留したまま販売しても合法になる。
ただ単に何千倍の緩和と言っただけだと、どれだけ危険なことなのかピンと来ない。危険性を評価するためには、どれだけ食べても安全かという摂取許容基準と比較する必要がある。
そこで、マルハニチロ事件で使われた急性参照用量と比較したものが左図だ。
新基準案では、ほうれん草だと、一株と半分の量を食べるだけで、急性参照用量を超えてしまう。レタスは、小玉の半分くらいの量だ。1回の食事で食べてしまいかねない量といえる。
ニラは
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各野菜毎の子どもの急性中毒リスクが発生する量。筆者作成
ほうれん草の40ppmなどの残留基準値を承認した厚労省の部会の委員名簿
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住友化学が製造する「クロチアニジン」という農薬の残留基準が改定に必要な手続きを終了。作物によっては最大2000倍も基準値が緩和。高濃度の農薬汚染野菜が合法的にスーパーに並ぶ。市販の普通の野菜で急性中毒。
クロチアニジンのARfDは0.025-0.6mg/kg・BW/dayと幅があり、どの数値を使用したかによって結果が変わる。そう単純に言い切れる話ではない。
資料によると、乳幼児のTMDIが404μg/人/day http://search.e-gov.go.jp/servlet/Public?CLASSNAME=PCMMSTDETAIL&id=495130138&Mode=0 ARfDはUS EPAだとADIの1/4 http://jaccc.jp/pdf/ARfD_gn.pdf かな?
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読者コメント
↓MAXの27ppmでも、2株ちょっと(58.5g)でEUの急性参照用量(ARfD)を超えますね。
言い過ぎです。基準値設定の裏側と、ARfD、ADIの理解が甘い。40ppmのほうれん草に出くわす可能性は宝くじ並に低くルール内で偏った使用法をしてもMAXで27ppm。一般的な散布では1桁が主。40ppmのほうれん草を食べる可能性は低い。基準値が40ppmになったわけは、検査時のMAX量を数倍して設定するからで、基準値から危険だと騒ぎ立てるのは間違い。また、食べても急性中毒になる可能性は非常に低い
クロチアニジンを製造する住友化学は、経団連会長の米倉さんが会長を務める会社です。官と業の癒着の構図。
中国産の食べ物に対する安全性を批判するのも結構だが、それ以上に自国の足元の課題を知るべき。
日本は世界でも有数の農薬使用大国。
昆虫すら寄り付かない、食べない食べ物を人間が食べて安全なわけ無かろう。
さらに農薬の過剰使用のせいで、害虫の天敵が減少した為に返って害虫の増加を招く悪循環にもなる。
日本の消費者も食べ物に対する潔癖症ぶりを改めるべき。
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