新聞業界が新聞に対する軽減税率求め大規模な政界工作、289の地方議会から安倍首相宛の意見書
日本新聞販売協会(日販協)が作成した新聞に対する消費税の軽減税率適用を要請する意見書の例文。 |
- Digest
-
- 税率8%→5%を狙う新聞業界
- 政界工作は公然の事実
- 保守系議員を中心に
- 新聞販売店が地方議員に陳情
- 300委員会という組織
- 日販協への質問状
新築された読売新聞東京本社ビル。読売の渡邉恒雄会長は、政界に強い人脈を持つ。 |
昨年10月、わたしの自宅に匿名の一通の郵便が届いた。封筒に入っていたのは新聞販売店主の同業組合である日本新聞販売協会(以下、日販協)が発行する『日販協月報』(2013年9月1日号)の第1面の全面コピーだった。次のようなメモ書きもあった。
「また政界工作です。黒薮さんに調査求む」
差し出し人に心当たりはなかったが、新聞販売店の関係者に違いないと思った。かつてわたしは「押し紙(偽装部数)」問題を取材していた関係で、多くの販売店主と連絡先を交換していたからだ。
タブロイド版の『日販協月報』第1面に掲載された記事は、いずれも新聞に対する消費税の軽減税率の適用を求める業界の運動を紹介したものである。しかも、記事の内容は、はばかることなく政界工作にまで踏み込んでいる。
●業界一体で請願活動着手
●各自治体から国への「意見書」提出目指す
●軽減導入諦めない
そして紙面の左上には、「内閣総理大臣 安倍晋三 様」に宛てた意見書の文例が掲載されていた(冒頭画像)。この意見書の文例が全国の地方自治体に届いていたことを、わたしは後に知ることになる。
税率8%→5%を狙う新聞業界
消費税率のアップに際して国会では、特定商品に対する軽減税率の適用が議論されている。消費税率は、今年の4月から「5%→8%」に、さらに翌2015年10月からは、「8%→10%」に2段階で引き上げられるスケジュールになっている。軽減税率は、第2ステージにあたる「8%→10%」を導入する際に、特定商品に限り適用される。
新聞業界は、第2ステージの導入時に、新聞に対する税率を8%から5%へ戻すよう求めている。日本新聞協会の白石興二郎会長(読売)は、『新聞協会報』(2014年1月1日)に掲載された念頭書簡で次のように述べた。
|
特定商品として何を指定するかは、これから国会で決定される。
新聞協会の白石興二郎会長の年頭書簡。政界工作の断行を宣言している。出典=『新聞協会報』(2014年1月1日) |
新聞業界は政界に対して請願活動を展開してきた。そのための一端なのかどうかは不明だが、昨年の11月28日に行われた読売新聞社の東京本社ビルの竣工記念式典には、次の政治家が招かれている。
・安倍晋三総理
・中曽根康弘元総理
・福田康夫元総理
・森喜朗元総理
・伊吹文明衆院議長
・青木幹雄
こうした読売と自民党の親密ぶりを象徴するかのように、12月6日には、読売新聞の元記者で自民党新聞販売懇話会の会長を務める丹羽雄哉議員が、自民党税制調査会に新聞に対する軽減税率の適用を求める国会議員署名を提出した。署名した議員は207名にのぼった。
昨年の11月28日に行われた読売新聞社の新社屋竣工記念式典における安倍晋三首相のスピーチ。出典=『新聞之新聞』(2013年12月7日) |
後述するように、このころにはすでに安倍首相の名前を付した意見書の文例が全国の地方自治体に広がっていた。そして、次に示す289の地方自治体が、次々と安倍首相宛に意見書を送ったのである。
この先は会員限定です。
会員の方は下記よりログインいただくとお読みいただけます。
ログインすると画像が拡大可能です。
- ・本文文字数:残り4,329字/全文5,735字
初期の自民党新聞販売懇話会の顔ぶれ。森喜朗、小渕恵三、谷垣禎一、水野清らの議員名がある。出典=『日販協月報』(1987年12月30日)
上から朝霞市、和光市、志木市の意見書。3市は埼玉県南部に位置する。志木市と和光市の意見書は文面がまったく同じ。
Twitterコメント
はてなブックマークコメント
facebookコメント
読者コメント
正義の味方司法書士法人新宿事務所に新聞販売店の方々は解決策を相談しましょう。きっととられたお金のことは解決してくれるでしょう、15年の間売れない新聞代金をとられたのだから。
記者からの追加情報
会員登録をご希望の方はここでご登録下さい
新着のお知らせをメールで受けたい方はここでご登録下さい(無料)
企画「その税金、無駄遣い、するな。」トップページへ
企画「えっ?まだ新聞、定価で読んでるんですか!?」トップページへ
本企画趣旨に賛同いただき、取材協力いただけるかたは、info@mynewsjapan.comまでご連絡下さい。会員ID(1年分)進呈します。