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ボクシング亀田興毅・和毅兄弟がフリージャーナリスト個人に2千万円請求訴訟、『東スポ』は訴外に

情報提供
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(写真上)亀田興毅選手。(写真下)司法記者クラブで記者会見する右から、溝呂木雄浩弁護士、亀田側に訴えられたフリージャーナリストの片岡亮氏、井田光俊弁護士。【写真提供=山田厚俊氏】
 プロボクシング世界王者・亀田興毅と 和毅の兄弟が昨年12月、対戦相手のグローブ選択をめぐるトラブル等を報じたフリージャーナリストの片岡亮氏に対し、2000万円の支払いを求める名誉毀損裁判を起こした。亀田陣営の代理人は、TV出演で稼ぐ北村晴男弁護士だ。片岡側は、今年3月の第2回口頭弁論で、SLAPP(スラップ=恫喝訴訟)とする主張も展開、真っ向から対立している。争点の記事は、片岡氏が主宰するウェブサイト『拳論』に掲載したもので、亀田兄弟がJBCの職員を監禁・恫喝した、とする内容。だが同じ趣旨を伝えた『東京スポーツ』は訴外だ。事実関係をめぐり双方が対立しているが、今年2月、今度は、そのJBC職員が亀田興毅らに対し、監禁・恫喝に対する1000万円の損害賠償を請求する裁判を起こしたことが分かった。視聴率に固執するテレビ局の方針のもと、不祥事を起こしても重宝がられてきた亀田家の過去の汚点も、一連の裁判で検証されそうだ。(訴訟の対象とされた記事はPDFダウンロード可)
Digest
  • 行列の出来る法律相談所
  • グローブの使用をめぐるトラブル
  • JBC職員が興毅と和毅を提訴
  • 北村弁護士は取材拒否
  • 巨大メディアは不問に
  • 争点は真実相当性の評価
  • 亀田家の過去の汚点
  • メディアと格闘技

亀田兄弟といえば、ボクシングに関心がないひとでも、テレビのバラエティー番組などが映しだす三兄弟の野性的な顔を思い浮かべ、「あの兄弟のことか?」とつぶやくだろう。卓球の福原愛とおなじように、少年時代から、その天才ぶりが話題を呼び、テレビの視聴率を押し上げてきた。いわば三兄弟はメディアの寵児(ちょうじ)でもある。

行列の出来る法律相談所

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9月3日のドラブルを報じた『東京スポーツ』の記事。片岡氏の記事と趣旨はほぼ同じだが、亀田兄弟は、訴訟の対象にはしなかった。

その三兄弟のうち長男・亀田興毅選手(以下、興毅)と三男の亀田和毅選手(以下、和毅)が、フリージャーナリストの片岡亮氏に対して、2000万円の金銭支払いなどを求める裁判を起こした。3月18日には、第2回の口頭弁論が開かれ、裁判は本格的に動きはじめた。

大企業によるフリーライターに対する裁判攻撃は過去に起きているが、このケースは、ボクシングの世界王者が、高額訴訟によって言論の抑制を試みたものだ。

興毅と和毅を代理人としてサポートするのは、これもテレビで名を広めた弁護士、「行列のできる法律相談所」のレギュラー・北村晴男氏である。

原告の亀田家の長男・興毅は、1986年大阪市で生まれた。幼いころから父・史郎氏の指導でボクシングを始め、2006年にWBA世界ライトフライ級王者を獲得した。その後、フライ級とバンタム級も制覇した。

注:WBAは、世界ボクシング協会の略。その他、ボクシングの国際団体には、IBF(国際ボクシング連盟)、WBO(世界ボクシング機構)、WBC(世界ボクシング評議会)がある。それぞれの団体で王座を決め、団体相互で統一王者を決める試合も行っている。

一方、もうひとりの原告・和毅は、亀田家の三男で1991年にやはり大阪市で生まれた。2人の兄と同様に父・史郎氏からボクシングを教わった後、メキシコに渡り「修行」を積んだのち、2013年にWBO世界バンタム級王者を獲得した。

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新聞の発行部数世界ランキング08年。『東京スポーツ』は14位。(出典=宝島新書『「押し紙」という新聞のタブー』)

3兄弟が所属する亀田ジムは、JBC(日本ボクシングコミッション)による制裁措置で、現在、国内試合ができなくなっている。次男・大毅が昨年の12月に統一王者を決める試合に負けたにもかかわらず、強引に王座に居座ったことに対して、JBCが亀田ジムの関係者のライセンスを更新しなかったのが原因だ。亀田ジムは提訴も視野に入れているようだ。

いわば亀田一家は現在、係争に次ぐ係争に、巻き込まれ、また引き起こした側でもある。

グローブの使用をめぐるトラブル

片岡亮氏を被告とする裁判の引き金となった事件が起きたのは、昨年(2013年)9月3日のことだった。この日、次男の亀田大毅選手(以下、大毅)は、高松市でIBF世界スーパーフライ級の王座決定戦を控えていた。大毅は同級の3位。フライ級に続く2回級制覇を目指していた。

対戦相手は、メキシコの強豪ロドリゴ・ゲレロだった。

トラブルの原因は、両選手が使用するボクシングのグローブだった。

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「言論・メディア関係高額判決リスト」(03年~07年)。(出典=『ジャーナリストが危ない』)

亀田ジムの活動停止危機を伝える『東京スポーツ』(2014年2月9日付け)の記事。

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記者からの追加情報

記事冒頭の「大毅」は誤りで、正しくは「和毅」でした。慎んでお詫びいたします(2016年2月17日、本文訂正済み)
記事の引用部分で誤りがありました。慎んでお詫びいたします(2016年5月29日、本文訂正済み) (訂正前)
『東京スポーツ』(9月5日付け)の報道によると、王者決定戦が行われる3日の午前11時に、両選手は記者会見を行った。この場でゲレロは、カナダ製のグローブを使うことを主張した。しかし、事前の調印式で、日本製のものを使うことを確認していたために、IBFとJBCは、これを認めなかった。

(訂正後)
『東京スポーツ』(9月5日付け)の報道によると、王者決定戦が行われる3日の前日に、ゲレロはカナダ製のグローブを使うことを主張した。しかし、調印式で、日本製のものを使うことを確認していたために、IBFとJBCは、これを認めなかった。
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