人事権濫用で敗訴したリコーの退職強要マニュアル全文公開!「合理的な説明は不要、何度聞かれても同じ回答で諦めさせろ」
泣く泣く希望退職に応じ、退職後に自殺してしまった元社員Sさん。(近日この件を記事化予定) |
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- 社員に絶望感をもたせる文言
- 子供の教育・親の介護など家族の状況は無視
- 退職勧奨は3回で終わり4回目からはシフトの話?
- 追い出し部屋の夏の暑さと冬の厳しさ
- 経営の失敗を従業員に押し付けるのか
社員に絶望感をもたせる文言
2001年夏、技術職の正社員として長年リコーに務めてきたAさん(当時40代後半)は、業務中にメールを受け取った。
送り主は同じフロアにいる上司だったが、席をはずして社内の別の場所からそのメールを送ったのだった。
《人事の件でお話しがあります。○月×日B会議室に来て下さい》
これがすべての始まりだった。その後の経過をAさん自身に語ってもらう。
「一週間後くらいに、ある事業部内の小さな会議室に行きました。待ちかまえていたのは2人でしたが、前振りがとても長かったのが印象的です。事業の再構築だとか、筋肉質の会社に生まれかわらなければならない、などと一般的な前置きがずっと続きました。
『ところで・・・これからお願いする仕事がないんです。早期退職の希望を募るので応募してください。これは会社の決定です』と切り出されました」
実はこの一言が、入手した「退職勧奨マニュアル」そのものであり、この一言から退職勧奨が始まる。
リコーは2011年5月、グループ内において3年間で1万人規模の人員削減することを発表し、同年夏に希望退職者1600人を募った。
その結果、希望退職を拒否した社員は152人。リコーグループ内のリコーロジスティックなど物流センターや修理回収工場などに配転させられ、それまでのキャリアとはまったく関係のない作業をすることになった。いわゆる“追い出し部屋”である。
同社には労働組合がないため、追い出し部屋に配転させられた社員たちの一部が東京管理職ユニオンに加入、同組合のリコー分会を結成して12年1月に東京地裁に2名の組合員が労働審判を申し立てた。
リコー事件の経過 |
同年5月に出向無効の審判が下されたがリコーは異議申し立てしたため、本訴に(第一次訴訟)。ついで同年7月に新たに5名の組合員が東京地裁に提訴(第二次訴訟)した。
このうち第一次の訴訟で2012年11月、東京地裁は人事権濫用で出向無効の判決を出したのである。リコーは控訴したものの、東京高裁は地裁の判決を前提として和解を勧告し、現在は和解協議に入っている。
東京地裁での社員勝利後まもなく、筆者は「退職勧奨マニュアル」を入手していた。退職を迫られた社員から聞いた話と照らし合わせると、まるで機械のように退職を迫る手の内がわかる。
裁判の社員側弁護人であり、長年にわたり労働争議を取り扱ってきた棗(なつめ)一郎弁護士が語る。
「これまで、さまざまな会社で、退職に追い込むマニュアルのようなものが存在することは分かっていましたが、今回はじめて現物を目にしました。
そして、(第二次訴訟の)証人尋問の中で、こういうものを配って退職強要したのかと法廷で追及したらば、会社は認めました」
マニュアルの核心を示すのは、次の文言である。
《同じ回答を続けるのは心苦しいとは思いますが“論理的に説明して納得いただく”のではなく
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退職勧奨マニュアルの重要部分。精神的に疲弊するのは間違いないだろう。
東京都労働委員会は2014年2月26日、リコーに対し不当労働行為救済申立て事件の命令が交付した。同委員会は同社に対して謝罪文を本社従業員が見やすい場所に10日間掲示することを命じた。しかしリコーは拒否している。
記者会見の案内。リコーの非道ぶりを訴えている。
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読者コメント
近藤史朗様、三浦善司様におきましては、多額の退職金で今頃ウハウハお暮らしなっていらっしゃることでしょう。おめでとうございます。少なからずの当時社員を地獄のような苦しみに落とし入れて命さえ奪われた方々に対し感謝のの一言くらいおっしゃられては如何でしょうか?
うちの会社と同じだ!こんな方法を会社に指南しているコンサルや弁護士は業務資格を剥奪すべき!社会的に糾弾すべきだ。これじゃあアウシュビッツじゃないか!!!!
ユニオンは株主よりも強くなるべし。
解雇権の乱用だ。社長・人事担当役員・人事部長等、本件に関わった連中は退職すべきだ!
リコーは始めてのリストラだったと思う。 このシナリオはリストラ指南会社にコンサルを依頼したみたいだ。
リストラ請負会社などを取材してみてはいかがでしょうか?
もしかして経済団体に裏マニュアルがあって、普通に出回ってるのを利用してるかも知れない?
脅迫行為の書き間違いです。
人権侵害や労基法違反、強要とか挙婦博行為などを適用すべし。
でも裁判官は経営側だからな~
闇カルテルがあれば罰則があるだろう。しかし企業の作成した脱法的マニュアルには罰則があるのだろうか?公表しないから知られていないだけで、経営コンサル、産業医、顧問弁護士、労働局職員のOBを仲間にしながら偽装請負マニュアル、労災・過労死の対応マニュアルなどの脱法的な対応マニュアルを既に作成している企業も多く存在しているのではないだろうか。
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