My News Japan My News Japan ニュースの現場にいる誰もが発信者のメディアです

ニュースの現場にいる誰もが発信者のメディアです

伊勢丹が猫を虐待 “目くり抜き&著作権侵害”の看板設置、猫写真家が提訴し一審で原告勝訴

情報提供
ReportsIMG_J20140814163050.jpg
新宿伊勢丹3階の婦人服ブランド・アンダーカバーは12年12月から13年1月末にかけて、猫写真家の写真集に載っている猫を無断で切り抜き、猫の目をくり抜いて看板を作成。三越伊勢丹は当の写真家がそれを発見するまで漫然と、著作権侵害かつ猫虐待の看板を放置した(写真はイメージ、写真素材足成を基に作成)
 伊勢丹新宿店に入る婦人服ブランド「アンダーカバー」は12年12月、猫写真家・新美敬子氏の写真集から猫を無断で切り取った上で目をくり抜き、看板を作成、設置した。それを当の新美氏が、店を立ち寄った際に偶然発見。愛着ある猫の写真が嗜虐的扱いを受け、著作権を侵害されたことにショックを受けた新美氏は13年5月、三越伊勢丹とアンダーカバーを相手取り、著作権侵害、慰謝料など合計1億2150万円を求め、東京地裁に提訴。14年5月の一審判決では、アンダーカバーに292万円の支払いを命じる原告の一部勝訴判決が下った(原告は控訴)。一方、何のお咎めもなしとされた三越伊勢丹は昨年の食品偽装騒動時は、テナントの違法行為にも百貨店に責任があるとして経営陣が謝罪し返金に応じていたが、猫の虐待&著作権侵害には、責任はテナントのみにあると居直り、猫軽視、猫虐待容認の体質を露わにしている。裁判資料に基づき事件を詳報する。
Digest
  • 猫の目がくり抜かれた看板
  • 三越伊勢丹とテナント相手取り1億2150万円の賠償求め提訴
  • 猫虐待看板ができた経緯
  • 一審でテナントに292万円の支払い命令、三越伊勢丹はお咎めなし
  • 食品偽装と同じ構図で正反対の対応、猫虐待容認の三越伊勢丹

猫の目がくり抜かれた看板

訴状や準備書面、一審判決文などの裁判資料等によると、原告の新美敬子氏(50代前半、実名)は、子どもの頃から自宅の猫を撮り始め、高校卒業後にテレビ番組制作の会社に勤め、海外取材の傍ら現地の猫を撮り始めた。

その後独立して、世界中の犬猫との出会いを求め、自腹で世界を旅し、これまでに実に世界55か国、約200地域を回り、「猫s(NEKOS)―世界の猫ポートレート」(93年/誠文堂新光社刊)、「旅猫三昧」(98年/講談社刊)」、「新美流 猫がよろこぶ写真の撮り方」(02年/河出書房新社刊)、「職業 犬猫写真家―猫とわたしの東京物語」(06年/日本カメラ社刊)などの猫本や犬本を計約60冊も手掛けている。その他、雑誌への寄稿、講演会、写真展も行い、フリーの猫写真家(犬も撮影するが近年は主に猫)として生計を立てている数少ない人物である。

その新美氏は、2013年1月29日、信じ難い光景を目の当たりにした。

この日、新美氏は東京都内の「伊勢丹新宿店」3階の婦人服ブランド「アンダーカバー」に立ち寄った。

すると、この店にある、横2m×縦2mと、横3m×縦2mの二面看板に、猫の写真が300~500匹ほど貼り付けられていた。その多くは猫の顔だけ切り抜かれており、なんと猫の目が一様にくり抜かれていた。しかも、猫のなかには、あろうことか、新美氏の写真集にある猫が大量に貼り付けられている。

猫の大量虐待写真といってよいものだった。

もちろん、この写真使用に新美氏の許可はなく、看板に新美氏のクレジットもなかった。そして、この看板には、大きな文字で「UNDERCOVER JUN TAKAHASHI」と記されていた。これはアンダーカバー社長兼デザイナーの高橋盾氏を冠したブランド名だ。

ReportsIMG_I20140814154614.jpg
上は「新宿伊勢丹」。下は同3階の婦人服ブランド「アンダーカバー」(14年8月11日撮影)

看板を観た新美氏は、伊勢丹の店員を呼び、著作権侵害である点を指摘し、看板は撤去せず、猫の写真が隠れるようにした状態で残しておいて欲しい、と伝えた。

翌1月30日、伊勢丹側は白地のパネルで看板を覆った。

2月19日、新美氏は弁護士と共に伊勢丹新宿店3階に赴き、看板の写真を撮った。その写真を精査した結果、新美氏の写真集5冊、延べ156匹の猫が使用されていたことが判明した。写真集と、使われた猫の延べ数は以下の通り。

「化け猫のつくり方」(00年/雷鳥社刊)、43匹(看板に使われた猫の延べ数、以下同)

「猫を旅する」(01年/河出書房新社刊)、30匹

「猫っ旅」(04年/文春ネスコ刊)、28匹

「Cat Trip Vol.1 世界の旅ネコ編」(05年/ぴあ刊)、18匹

「Cat Trip Vol.2 世界の子ネコ編」(05年/ぴあ刊)、37匹

ReportsIMG_H20140814152458.jpg
著作権侵害プラス猫虐待の看板に使われた猫写真家・新美敬子氏の写真集五冊。(上から三番目はヤフーショッピング、それ以外はアマゾンより)

この先は会員限定です。

会員の方は下記よりログインいただくとお読みいただけます。
ログインすると画像が拡大可能です。

  • ・本文文字数:残り5,299字/全文6,624字

アンダーカバー代表取締役社長兼デザイナーの高橋盾氏(2012年2月7日付EYESCREAM.JPより)

三越伊勢丹代表取締役社長の大西洋氏(同社HPより)

公式SNSはこちら

はてなブックマークコメント

プロフィール画像
ilya2014/09/23 00:46

2014/08/14 平成25(ワ)13369 http://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail7?id=84243

プロフィール画像
comuchi2014/08/14 19:45

著作権侵害はまだしも、「虐待」呼ばわりにはジョニオさんもびっくりだろう・・・ でも動物好きや飼い主からしたら屈辱だよなー ううむ。

もっと見る
閉じる

facebookコメント

読者コメント

四海2014/08/20 23:07会員
※. コメントは会員ユーザのみ受け付けております。
もっと見る
閉じる
※注意事項

記者からの追加情報

本文:全約6900字のうち約5600字が
会員登録をご希望の方はここでご登録下さい

新着のお知らせをメールで受けたい方はここでご登録下さい(無料)

企画「CMリテラシー」トップページへ
本企画趣旨に賛同いただき、取材協力いただけるかたは、info@mynewsjapan.comまでご連絡下さい。会員ID(1年分)進呈します。