日清オイリオのごま油。「コレステロール0ゼロ」の表示のあるもの(右)とないもの(左)の2種類がある。
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米国厚生省と農務省が設置する「食事ガイドライン諮問委員会」が2月19日に公表した2015年度報告書で、コレステロール摂取量の上限値が撤廃されることがわかった。日本でも厚労省が定める「食事摂取基準」で2015年度版より上限値が撤廃された。健康な人の場合、食事からのコレステロールを気にする必要はないことがわかったためだ。食品の「コレステロールゼロ」表示も無意味だが、ナタネ油やサラダ油に「ゼロ」表示が多く、オリーブ油やごま油などには表示がない。日清オイリオのごま油にいたっては、ゼロ表示のある商品とない商品が2種類あった。消費者は表示のない商品にはコレステロールが含まれていると誤解してしまうが、実はごま油を含む植物油には、そもそもコレステロールは含まれていない。誤解を招く表示の原因は、植物油業界にとって都合良く決められた消費者庁の栄養表示基準にあった。
【Digest】
◇アメリカと日本で食事からのコレステロール上限撤廃
◇健康な人では体内のコレステロール値は一定
◇コレステロールの多い卵を制限しても心臓疾患リスクは減らない
◇誤解を招く植物油の「コレステロールゼロ」表示
◇混ぜ物で「コレステロールゼロ」表示の日清「ヘルシーゴマ香油」
◇アメリカと日本で食事からのコレステロール上限撤廃
肥満大国アメリカで、食事でのコレステロール摂取の制限は必要ないという見解が示された。
アメリカ厚生省と農務省が設置する「食事ガイドライン諮問委員会」により2月19日に公表された2015年度報告書に示されたもので、「コレステロールは過剰摂取を心配する栄養素ではない」と明言している。
2月20日の時事通信記事などでも報道されている。
これまで、コレステロールの摂りすぎは、血液中のLDL(通称悪玉)コレステロールを増加させ、動脈硬化の原因となり、心臓疾患などのリスクを上げると言われていた。アメリカは1日当たりを300㎎を上限とし、日本は男性で750㎎、女性で600㎎と定めていた。
しかし新たな研究データで、食事からのコレステロール摂取量と、これら生活習慣病の発症率には相関がみられず、上限値を設定することはできないと判断された。
アメリカのこの決定は評判をよび、2月26日のNHKの「あさイチ」でも取り上げられたほどだ。
アメリカほど明示されていないが、日本でも厚生労働省が設定する食事摂取基準で2015年度版からは、コレステロールの摂取上限目安量は削除されている。
◇健康な人では体内のコレステロール値は一定
そもそも食事からのコレステロール摂取量が、直接血液中のコレステロール量に反映されるわけではない。
悪者扱いされることが多いが、体内のコレステロールは細胞膜の主成分であり、
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スーパーの食用油売り場。サラダ油など安い油の方に「コレステロールゼロ」の表示が多い。 |
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主な食用油に含まれるコレステロールと飽和脂肪酸の量 |
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消費者庁のコレステロールゼロ表示の基準。食用油を意識した例外措置ががある。 |
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