My News Japan My News Japan ニュースの現場にいる誰もが発信者のメディアです

ニュースの現場にいる誰もが発信者のメディアです

偽造検便表、偽「パオ餃子」、偽装請負、異物混入販売…伊勢丹、大丸、西武、東急、イオン、ヨーカドー、JR駅ビル等で売られる中華『富貴包子楼』の嘘だらけな裏側を元販売員が告発

情報提供
ReportsIMG_J20150825203558.jpg
「富貴包子楼」のブランド名を冠して売られるエスプリ・小樽飯櫃のメイン商品「黒豚焼売」。毎日どこかの一流百貨店、有名スーパーで必ず売られている。
 大手百貨店やスーパーの一角で『富貴包子楼』のブランド名で中華惣菜を販売する催事業者エスプリ(小樽飯櫃)が、偽装表示、私文書偽造などの違法行為をしていたことが内部告発でわかった。同社は2014年6月、イオン幕張店から提出を義務付けられていた検便検査表を偽造し、無検査の販売員を売り場に配置。15年2月には全く別の餃子を主力商品『パオ餃子』と偽って販売した。同1月と7月には焼売から異物が見つかったが、同じ商品を販売中の販売員たちに翌日まで知らせず、たまたま知った告発者が追及すると、事故ロット商品の販売中止を命じるどころか、「通常通りの販売」を指示した。偽装請負で働かされ、違法行為に加担させられた末に一方的に契約を切られ、現在は同社を相手取り訴訟に備える告発者に、催事業のずさんな裏側とエスプリの悪事を、知っている限り暴露してもらった。
Digest
  • 「催事屋」というビジネス
  • 検便検査表を偽造
  • 商品名を偽装
  • 「兄貴」という裏技
  • 異物混入発覚後も告知せず
  • 異物混入の事実を取引先に報告したら契約解除
  • 名ばかりの請負契約

「催事屋」というビジネス

百貨店の地下食品売り場(いわゆる「デパ地下」)やスーパーの一角に場所を借り、試食品を食べてもらいながら食品を売る、「催事屋」と呼ばれる商売がある。

なかでも東京都北区西ヶ原にある食品メーカー兼販売会社「エスプリ」(須永寿紀代表取締役社長)は、1992年の設立ながら、新参企業では取引口座さえなかなか作らせてもらえない伊勢丹、松坂屋、大丸、西武、東急、阪急など一流百貨店やJR東日本の駅ビル、イオン(ダイエー含む)、イトーヨーカドー、オオゼキ、ザ・ガーデンなど大手スーパーマーケットなどに軒並み販路を構築。

さらに、ネクスコ中日本(中日本高速道路株式会社)が運営するサービスエリアやパーキングエリアにもテナントとして出店している。「特に百貨店の食品売場担当者なら、知らないやつはいない」(同業者)という業界では有力な一社となっている。

エスプリには、北海道小樽市にある「小樽飯櫃(おたるぼんき)」という会社のほか、横浜中華街にある中華惣菜店「富貴包子楼」(フウキパオズロウ)という2つの関連会社があり、3社で「エスプリグループ」を形成している。3社の役割分担は、「横浜中華街に出店」という富貴包子楼のブランドを前面に出し、店の名を冠した「黒豚焼売」「パオ餃子」「肉にら饅頭」などの惣菜をエスプリが製造。それを小樽飯櫃が販売する、というものだ。

長江康介さん(仮名、40代)は、2014年5月に小樽飯櫃と「請負」契約をかわして同社の販売員となり、それから約13ヶ月間、首都都圏各地のスーパー、百貨店、駅ビルの食品売り場でエスプリの惣菜を販売してきた。なお本稿後半で説明するが、長江さんが小樽飯櫃と結んだ契約は「請負」とは名ばかりの典型的な偽装請負だった。

ReportsIMG_I20150825203559.jpg
小樽飯櫃が偽造したと見られる検便検査表。検査を担当したBMIフードサイエンスは、同社が保管する「原本と異なる」と証言しており、偽造されたものであることを認めている。

検便検査表を偽造

実地研修を終え、その年の6月から一人で売り場に立つことになった長江さんが、最初に配置された店はイオンの幕張店だった。だが実際に同店に行く数日前になって、エスプリの社員が唐突に次のように告げてきたという。

「長江さん、イオンのスケジュールがもう入ってますけど、実はイオンって、検便検査の検査結果を提出しないと入れないんですよ。長江さん、まだ検査してませんよね?」

検便検査のことなどその時まで何も聞かされておらず、当然検体も提出していなかった長江さんが慌てると、小樽飯櫃の社員は、「じゃあこっちでなんとかします。事務所にある長江さん用のレターボックスに入れておくので、それをイオンに出してください」と答えたという。

それからしばらくして件のレターボックスに、長江さんが受けたこともない検便検査の検査表が入っていた。

上に示した画像はその偽造された検査報告書の写しである

この先は会員限定です。

会員の方は下記よりログインいただくとお読みいただけます。
ログインすると画像が拡大可能です。

  • ・本文文字数:残り5,714字/全文6,999字

【左】長江さんが撮影した、「パオ餃子」ではない全く別の餃子が入っていた箱。【右】表示偽装に関して、長江さんが配達記録郵便で須t永社長宛に出した質問状

長江さんが小樽飯櫃から買わされた、「黒豚焼売」がフジテレビの番組で紹介されたことを宣伝するPOP。

【左】15年1月に港北SAで販売中の焼売から異物が見つかった際の、長江さんと小樽飯櫃社員のやりとり。この時点では異物の正体も不明だったにもかかわらず、事故ロット商品の販売を止めるどころか、通常通り販売しろ指示としている。【左】同7月に異物が発覚した際のやりとり。「問題ない」と言いつつ、スーパー・オオゼキには全く知らせていなかった。

小樽飯櫃・エスプリを告発した同社の元販売員・長江康介さん(仮名)。

公式SNSはこちら

はてなブックマークコメント

もっと見る
閉じる

facebookコメント

読者コメント

サンタ2015/11/29 05:47
今日から2015/11/19 09:09
ICレコーダー2015/11/13 14:05
天照大神2015/11/12 22:01
傍聴マニア2015/10/29 09:59
傍聴マニア2015/10/14 13:03
プロ野球ファン2015/08/28 01:00
買い物客2015/08/27 12:56
通りすがり2015/08/27 12:46
口座貸し2015/08/26 18:30
催事屋2015/08/26 03:35
※. コメントは会員ユーザのみ受け付けております。
もっと見る
閉じる
※注意事項

記者からの追加情報

本文:全約7000字のうち約5800字が
会員登録をご希望の方はここでご登録下さい

新着のお知らせをメールで受けたい方はここでご登録下さい(無料)