「東進」運営会社ナガセが”訴訟テロ”最後通牒 どこが虚偽なのか、なぜ虚偽なのか、なお不明
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10月29日付でナガセ代理人の小原健・齋藤雄司弁護士からMNJに送られた「通知書」。記事削除に応じないとして、訴訟を起こす意思に変わりがない旨書いてある |
- Digest
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- 最後通牒届く
- ナガセの現代文教育は大丈夫か
- 「本件記述」の場所特定に3ヶ月
- 「本件記述」を検証する
- ゆがめられた「事実」
- 「示唆」ってどこに?
- 旧武富士と同体質か
最後通牒届く
「通知会社としても、貴社に対し訴訟を提起する方針に変更がないことを申し述べておきます」
10月29日付でMNJに送ってきた通知書で、株式会社ナガセはそう書いてきた。事実上の最後通牒である。
〈「東進」はワタミのような職場でした――ある新卒社員が半年で鬱病を発症、退職後1年半で公務員として社会復帰するまで〉という記事を削除し、謝罪せよと書かれた7月29日付内容証明郵便が同社より届いてから3ヶ月、ナガセから届いた手紙は、計5通。MNJ側は3度の返事を、株式会社ナガセとその代理人を名乗る小原健・齋藤雄司弁護士に送った。記事を削除しろというのはわかる。しかし、どこがどう虚偽だというのか、いまひとつはっきりしない。編集部としては少しでもナガセの言わんとすることを理解しようと試みた。質問に加え、代理人を通じて再三取材を申し込み、寄稿も依頼した。
ナガセは教育産業大手である。おそらくは、旧武富士のような、誰もが認めるブラック企業とは違うはずだ。存分に反論してください、記事を批判してください、という呼びかけに対して、きっと快く応じてもらえるだろう。編集部としては、高をくくっていた。建設的な議論を期待していた。
しかし、期待ははずれた。返ってきたのはこんな答えだ。
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「民事上の紛争状態」とは穏やかではない。漠然と抱いていた「東進」の知的なイメージは変わった。対話を求めても、響かない。高飛車な最後通牒で訴訟をちらつかす。「反知性」のにおいが漂ってくる。
ナガセの現代文教育は大丈夫か
「紛争状態」だから取材は拒否する。そう言いながら、ナガセはMNJに対して、逆に質問をしてきた。それがまた、よく意味がわからない代物なのだ。たとえばこうだ。
記事のどこが「真実」の事実で、どこが「真実相当性」のある事実なのか答えろというわけだ。虚偽だ、名誉棄損だ、と言ってきたのは、ナガセのほうである。ならば、ここの記述はウソだ、と自ら具体的に指摘すればよいだけのことである。
意味のよくわからないナガセの質問にいちいち反応すれば話が混乱する恐れがある。質問に対する回答は当面やめておいたほうが賢明だと編集部では判断した。なにせ、「紛争状態」なのだ。
それより、原点に戻ってナガセの主張内容を確かめる必要がある。ことの始まりは、ナガセの記事削除要請なのだが、その内容からしてはっきりしないのでは話にならない。
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「本件記述」の場所特定に3ヶ月
10月13日、編集部は、ナガセに次の質問を送った。
御社の当社に対する要望事項とは、以下の趣旨であると当社では理解しておりますが、間違いないでしょうか。
1 本件記事中、「本件記述①」~「同⑤」の5ヶ所の記述は虚偽であり、ナガセ社の信用を毀損するものである(見出しを含めて読んだ場合を含む)。よって記事全体、あるいは虚偽だと指摘した部分を削除し、謝罪せよ〉
2 虚偽である旨指摘をされている「本件記述①」~「同⑤」について、それぞれ厳密な記述ヶ所を具体的にお示しいただけないでしょうか。再度のお願いですが、貴社のご要望を正確に理解するため、なにとぞご回答願います。
これに対する回答が、冒頭で触れた10月29日付の手紙、「通知書5」だ。質問の2――「本件記述①」~「本件記述⑤」が具体的にどこを指すのかーーに対して答えてきた。ひとつ、疑問が解決した。
そして1の質問――つまり、ナガセの要求とは記事のうち5つの記述が嘘だから削除・謝罪しろということですね、という確認の問いについては、まずはこんな説明をしてきた。
「本件記述①」-「本件記述⑤」に虚偽の事実があるから削除を求めている、という理解は大筋で正しいようだ。ところが、そのあとに「ただし」としていささか長い説明が続く。
「記述」「適示」「適示事実」。筆者は一読して首をひねり、なんどか読み返した。やはり判然としない。まるで「適示事実」と「記述」というのが、別ものであるかのような言い方だ。「本件記述①~⑤のすべてではなく、この適示事実を直接裏付ける部分のみということもあり得ます」という表現にいたっては、日本語能力を疑う。「ここの記述は嘘の内容が書いているから削除せよ」と、どうしてはっきり言わないのか。言葉をこねくり回すような表現に、いらだちを禁じ得ない。
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◇記述にない「適示事実」
わかりにくい議論に対抗するには、用語や定義、前提事実、論理の流れについて、ひとつひとつ確かめていくのが効果的だ。筆者は、武富士から1億円の損害賠償請求訴訟を起こされた際の経験で、そう学んだ。
「本件記述①」〜「本件記述⑤」というのが記事のどの部分かわからないという問題は、先に触れたとおり、ナガセの回答によって解決した。その回答に基づき、各記述に関してナガセがどう言っているのか、どう解釈し、なぜ虚偽だというのかを、逐一検証していきたい。
まず、「本件記述①」からである。ナガセによれば、前文(リード)の部分すべてのことを指すらしい。
この「本件記述①」のうち、ナガセが虚偽だという「適示事実」は次のとおり。
しかし、上記事実は、虚偽であり、本件記事は、通知会社の信用をいちじるしく毀損しております。
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都内駅前の東進ハイスクール![]() |
訴訟テロ予告①および訴訟テロ予告②でも触れたが、やはり、ナガセの「適示事実」には、疑問がある。「通知会社(ナガセ社)が運営する東進ハイスクールや東進衛星予備校全体もしくはその多く」とあるが、そんな読み方がどうしてできるのか。記事のどこをみても理解できない。
「本件記述」を検証する
続いて、「本件記述②」である。これはナガセによれば、本文の冒頭部分、フランチャイズ会社に入社した男性の体験記の部分だ
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東京都武蔵野市吉祥寺のナガセ本社
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読者コメント
ナガセ側が恫喝訴訟を仕掛けて来た場合、虚偽告訴の罪でマイニュースジャパンは逆告訴してナガセ側を返り討ちにしてやれ。
弁護士はこの依頼人から着手金or顧問料貰うんだろ!イぃ~仕事だなぁ~!カネ出して 更に傷付く 依頼人(5・7・5笑)。○○不足!! さっ、勉強 勉強!
おもしろい会社(塾)だ(笑)。弁護士も大切なお客さんならスラップが通用する相手なのかどうかキチンと教えてあげればいいのに。
こんな伝える力のない塾、予備校で大丈夫なのかと心配になるが・・・まあ。出ている講師そのものはレベル高いのだろうが・・録画上の事だしなー。この予備校にしかない強みって何よって感じ。世間知らずでMNJを脅すことくらいか。先は見えている。
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