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香川・平井卓也自民党候補の親族企業に多額の政治資金が“還流” 過去5年で1億1000万円超

情報提供
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安倍晋三自民党総裁(衆議院議員候補)が選挙運動のために高松市を訪れたことを1面のトップニュースで報じる2017年10月15日付『四国新聞』朝刊。四国新聞社は地元の自民党候補平井卓也氏の母親が社主をする平井家の親族企業で、身内の政治家を露骨に応援することで有名。
 香川県選出の前衆議院議員(自民党推薦、本稿発表時点では衆議院議員候補)である平井卓也氏の親族企業に、過去5年間で1億1000万円を超える政治資金が、「会場運営費」などさまざまな名目で支出されていることが、政治資金収支報告書の調査でわかった。1億1000万円のうち約3400万円は政党交付金――つまり税金だ。支出を受けた親族会社は、四国新聞社や同社の関連企業、そのグループ企業である西日本放送の関連企業など、7社。平井氏自身が過去に役員をしていたり、または現在も役員をしている会社が含まれており、それらの会社から報酬も受け取っている(つまり税金や政治資金が自身の報酬に化けている)。「政治資金の還流」として問題視せざるを得ないが、四国新聞は今回の衆院選で自民党に好意的な報道をしており、地元メディアを私物化して公正な選挙をゆがめている疑いが濃厚だ。
Digest
  • 安倍政権絶賛する四国新聞の「選挙報道」
  • 平井氏が代表をする自民党支部
  • 平井氏はネクサスの顧問
  • 平井親族企業への政治資金支出状況
  • 政治資金流入の親族企業から報酬
  • 西日本放送の玄関には平井氏の政治ポスター

安倍政権絶賛する四国新聞の「選挙報道」

10月15日の四国新聞朝刊1面は「北朝鮮に圧力 国民守る・高松で首相 経済政策の成果強調」の大見出しで、安倍晋三氏が高松にきて自民党候補の選挙応援をしたことを派手に伝えている。

自民党の選挙スローガンは「この国を、守り抜く…北朝鮮の脅威から、あなたの家族を守る…アベノミクス加速! 景気回復で経済の好循環を」(朝日新聞の広告より)となっていて、見出しの内容はこれと酷似している。自民党総裁で自身も衆議院候補である安倍氏が選挙運動のために高松にきて選挙スローガンどおりのことをしゃべった話を、トップニュースとしで報じている。まるで自民党の機関紙同然といってよいだろう。

香川1区は自民党から平井卓也氏が立候補している。前述の安倍氏来訪の記事は、もちろん、平井氏の激烈な応援でもある。なぜ四国新聞はそこまで露骨に平井候補を応援するのか。両者の関係をみると、さもありなんと納得できる。

社主は母親。平井氏も過去に取締役をしていた。7900株を保有している。つまり家業、ファミリー企業なのだ。

新聞社が独自の政治的意見を持つこと自体は自由だ。ただし、利害がない上での自由な意見ならばという前提だ。経済的その他の利害関係があるなかで、特定の政治家や政党を応援するとなると話は別である。

新聞社は県庁や警察などの役所から多大な便宜供与を受けている。これは「公益企業」だからという建前からだが、そこに利害が絡んでいるのであれば、公益企業の政治利用、または私物化とのそしりを受けても仕方ないだろう。

 新聞経営に深く関与している政治家を紙面で応援するのは、利益誘導以外の何者でもない。

そして問題はそこにとどまらない。平井氏が代表をする自民党支部や自民党本部の政治資金収支報告書を調べたところ、四国新聞や西日本放送の関連企業を含む平井家の親族企業に多額の政治資金が「備品費」や「会合代」などさまざまな名目で流れ込んでいることがわかったのだ。その金額は、2011年から15年の5年間で1億1000万円を越す。政治資金の還流である。

しかも、そのうち3分の1強にあたる約3400万円が、政党交付金という税金だった。

濃厚な利害関係にある親族企業である香川県の有力新聞社が、文字どおり「身内」の候補や所属政党に好意的な選挙報道をするばかりか、政治資金を親族企業に流している。政治活動と選挙の公正さを損なう重大問題というほかない。

四国の有権者は、四国新聞や西日本放送の報道に接する際、これらの会社や関連企業と平井氏との関係を知っておく必要があるだろう。

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平井卓也氏(自民党衆議院議員候補)が代表をする自民党香川県支部連合会。西日本放送サービス社など平井家の親族会社に政治資金から頻繁に支出をしている。平井卓也氏も株を保有しているほか、以前は取締役をしていた。

平井氏が代表をする自民党支部

平井卓也氏(前衆議院議員、現在は同候補)が代表をする自民党支部は次の2つである。

 ・「自民党香川県支部連合会」

・「自民党香川県第1選挙区支部」

いずれも高松市に主たる事務所をおき、香川県選挙管理委員会に政治団体としての届出をしている。

この2団体について、2011年分から2015年まで5年分の政治資金収支報告書を調査した。すると、支払い先として以下の各企業の名が浮かび上がった。

 ・ 四国新聞
 ・ 西日本放送サービス
 ・ アドサービスセンター
 ・ アールシーエス
 ・ モトリス
 ・ ネクサス

・ シコクサービス

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四国新聞の子会社である株式会社ネクサスにも、自民党香川県連や自民党香川県第1選挙区支部(いずれも代表者は平井卓也氏)から政治資金の支出がなされている。平井氏は現在もネクサス社の顧問をしている。

平井氏はネクサスの顧問

後段でも触れるが、いずれも平井氏の親族企業だ。ネクサスは現在も平井氏自身が顧問をしている。平井氏の親族企業には、自民党本部からも支払いがなされている。この6社に対する「自民党香川県連」と「自民党香川県第1支部」の支払い状況を以下に列記する。ただし、自民党本部からの支払いについては、古いものについて公開が終わっているため、2013年~15年分のみの調査となった。

【2011年】

・四国新聞 1件 計10万5684円(倉庫使用料など)

・西日本放送サービス 31件 計1040万6511円(備品、ポスター印刷代など)

・アドサービスセンター 5件 計19万0260円(のぼり代など)

・アールシーエス 1件 計15万8550円(メール配信システム料)

・ネクサス 5件 計 217万2496円(講演会運営費など)

・モトリス 12件 計63万円(ホームページ管理料)

(合計 55件 1366万3501円)

※ 支払元はおおむね自民党香川県第1支部。1件9万4500円は自民党香川県連分

【2012年】

・四国新聞 1件 計7万3500円(広告料)

・西日本放送サービス 32件 計1127万1683円(備品、ポスター印刷代など)

・アドサービスセンター 3件 計3万5790円(看板作成費など)

・アールシーエス 1件 計15万8550円(メール配信システム料)

・ネクサス 15件 計 1420万0142円(講演会運営費など)

・モトリス 20件 計343万2631円(ホームページ管理料など)

・シコクサービス 1件 計63万4092円(倉庫使用料)

(合計 74件 合計3000万5580円)

※ 自民党香川県連=11件389万0250円。自民党香川県第1支部=63件2611万5338円

【2013年】

・西日本放送サービス 26件 計637万8562円(備品、のぼり作成費など)

・アドサービスセンター 5件 計8万0850円(掲示板設置代など)

・アールシーエス 2件 計6万3000円(メール配信システム料)

・ネクサス 9件 計236万7757円 (印刷費、運営費など)

・モトリス 39件 計1696万6920円(ホームページ管理、筆耕翻訳料ほか)

・シコクサービス 1件 計63万4092円(倉庫使用料)

(合計82件2649万1201円)

※ 自民党香川県連=12件556万1650円、自民党香川県第1支部=44件467万9256円、自民党本部=26件1625万0295円 

2012年12月には衆議院選挙があった。選挙をはさんだ2年間は3000万円前後と支出額が大きくなっている。

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平井卓也氏の親族企業のひとつアドサービスセンター。

平井親族企業への政治資金支出状況

ひきつづき、平井親族企業への政治資金支出状況を紹介する。2014年も衆議院選挙があった年で、金額も3000万円近い。この年から母親への家賃支払いが計上されている

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RNC西日本放送も平井一族のオーナー企業だ。玄関には平井卓也氏の政治ポスターが常に掲げられている。同放送局の子会社である日本放送サービス(住所は同一)に、平井氏が代表をする自民党支部から多額の支出がなされている。

西日本放送(西日本放送サービス)の敷地に置かれた拡声器などの備品。備品代として自民党支部から頻繁な支出がされている。

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 2017/10/29 22:48
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