My News Japan My News Japan ニュースの現場にいる誰もが発信者のメディアです

ニュースの現場にいる誰もが発信者のメディアです

カリフォルニア州のコーヒー発がん警告表示 日本で発がん物質の少ない豆を選べるチェーンはスターバックスだけ

情報提供
ReportsIMG_J20180417223153.jpg
スターバックではアクリルアミドの少ない深煎り豆を選択できる
 米カリフォルニア州で3月28日、州裁判所がコーヒー販売事業者に対して「コーヒーには発がん物質が含まれている」との警告表示をすべきという判決を下した。発がん性が問題とされている物質『アクリルアミド』は、コーヒー豆を焙煎する過程で発生するため、多かれ少なかれ全てのコーヒーに含まれる。少しでもこの物質が少ないコーヒーを選ぶ方法はないか調査したところ、風味に影響が及ぶため、味の好みは分かれるだろうが、第一に「焙煎の度合」、第二に「豆の種類」を適切に選ぶことで、発がん物質の摂取量を大幅に減らせることがわかった。日本の大手チェーンでは、焙煎度も豆の種類も客が選べない店が圧倒的に多いが、スターバックスだけは、店頭で16種類の豆から選んで注文できるサービスが裏メニュー的に提供されていることも判明した。タリーズ、ブルーボトル、コメダ、ドトールはどう答えたのか。さらに自宅でドリップパックで飲む際は何を選ぶべきか――健康的なコーヒー生活を送りたい人向けにリポートする。
Digest
  • コーヒーを飲む以上、ゼロにするは難しい
  • コーヒー豆の種類を選べるのはスターバックス
  • 第三の波ブルーボトルコーヒーは?
  • 発がん物質削減のポイントは豆の種類と焙煎度
  • 浅煎り豆の発がん物質は深煎り豆の4倍以上
  • アラビカ種のアクリルアミドはロブスタ種の半分
  • エスプレッソはドリップコーヒーより若干少な目
  • コーヒーから摂るアクリルアミドはどの程度危険なのか?
店頭で16種類の豆から選べるサービスを提供するスターバックス

まずは東京・池袋のスターバックスへ。スタバ&タリーズは「アラビカ種のみ使用」と宣伝しているため、「豆の種類」は聞くまでもない。「焙煎の度合」は選べるのだろうか。

店頭に表示されているメニューを見る限りは、コーヒーのメニューは「本日のコーヒー」くらいしかなかった。

――「あの、深煎り豆のコーヒーを選ぶことはできますか?」

店員「あっ、はい、コーヒープレスで淹れるもので、お時間が10分くらいかかるんですがよろしいですか?」

――「あ、選べるんですか。どうやって選べばいいですか?」

「そうですね。メニューには載っていないんですけど、こちらの店頭で販売している豆の中からであれば、どれでも選んでいただけます」

と言って、店内の販売用の豆が並んでいるケースの前へ連れて行かれた。16種類の豆が並んでいる。

――「この中で、一番深煎りの豆はどれですか?」

「一番深煎りなのはスターバックスだとフレンチローストですね、結構スモーキーな風味になりますが」

――「ではフレンチローストでお願いします。」

陳列ケースから客が選んだ豆の袋を開封し、その場で豆を挽いてコーヒーを淹れてくれる。

――「これ、開封して残った豆はどうするんですか?」

「お店で出したり、サンプル用にお客様に提供したりして使います」とのこと。

以外にあっさりと目的が達成できてしまった。この調子で、こだわりのコーヒーをうたうサードウェーブコーヒーや、タリーズ、コメダなども選べるのかと思ったが、その後の調査ではこうはいかなかった。

コーヒーを飲む以上、ゼロにするは難しい

コーヒーを飲むたびに、カップに「このコーヒーには発がん物質が含まれています」と書かれていたら、正直うんざりするだろう。

米カリフォルニア州の裁判所の決定については、日本でも報道されている。

カリフォルニア州の制度については、2013年にMyNewsJapanでも紹介した。

過去には、コーラの着色料や、シャンプーの配合成分で発がん性が見つかり、裁判が起きている。

しかし添加物などと違い、今回のコーヒー中のアクリルアミドは、コーヒー豆を焙煎する段階で、否応なく発生してしまうものであるため、ゼロにすることは難しい。警告表示を義務付けても、削減効果があるのかは、正直、疑問だ。

ただ、日米を含めた世界各国で、コーヒーをはじめとする食品中のアクリルアミドを減らすことは必要だ、と考えられていることは確かだ。そこで現在わかっている範囲で、どうしたら発がん物質の少ないコーヒーを選ぶことができるか調べてみることにした。

コーヒー豆の種類を選べるのはスターバックス

コーヒーの風味に影響を与えずにアクリルアミドだけを減らす技術を開発しようと、世界中のコーヒー業界が努力しているが、現在のところ実用化されたものは存在しない。

しかし風味に影響が出る事を我慢すれば、消費者がアクリルアミドの比較的少ないコーヒーを選ぶことは可能で、一番大きな違いが出るのは豆の焙煎度合だと言われている。

その根拠となる詳細な研究については後述するが、深煎りの真っ黒なコーヒー豆では、浅煎りの茶色の豆よりも、アクリルアミドの量が少ない、という研究結果がある。アクリルアミドの発生は焙煎の前半でピークに達して、焙煎時間が長くなると揮発・分解すると考えられているためだ。

ただ、深煎り豆は苦みが強くなり、浅煎り豆の方は酸味が強いなど、コーヒーの風味に大きな影響を与える。苦いコーヒーが好きな人にとっては朗報だが、コーヒーの酸味が好きという人には残念なことである。

しかし問題は、大手のコーヒーチェーンでは通常、店頭で、お客が豆を選ぶことはできない。毎日店側が提供する豆を選んで「本日のコーヒー」として提供している。お店でコーヒーを注文するときに、豆の焙煎度合を細かく注文できる所はないのか?

日本でも今や最大のコーヒーチェーンとなった「スターバックス」で試してみた結果が、冒頭のやりとりである。

ReportsIMG_I20180417141708.jpg
コーヒープレス。選んだ豆をその場で挽いてプレス器に入れ熱湯で4分で、客のテーブルまで運んでくれる。ランジャーという棒を押し下げて、カップに注ぐと出来上がり。

あとでスターバックスのホームページを調べたところ、「コーヒープレス」というメニューがあり、「店舗でお取り扱いしている全コーヒー豆の中から、その日の気分に応じて、お好きなコーヒー豆をお選びいただけます」と書いてある。「本日のコーヒー」のトールサイズと同程度の量で価格は370円(+税)。50円ほど高いだけだ。

ブロンドロースト(浅煎り)2種、ミディアムロースト(中間煎り)7種、ダークロースト(深煎り)7種の16種類の豆の中で選ぶことができる。

ただ店頭のメニューには書いていないので、知る人ぞ知る裏メニュー的なものになっている。

お店のスタッフに聞いてみた。

――「これって店頭のメニューに載っていないのは、裏メニューというかスペシャルサービスなんですか?」

「そうですね

この先は会員限定です。

会員の方は下記よりログインいただくとお読みいただけます。
ログインすると画像が拡大可能です。

  • ・本文文字数:残り3,336字/全文5,603字

ブルーボトルコーヒー。目の前で焙煎してから48時間以内の豆をひいてコーヒーを淹れてくれるのだが、コーヒー豆は選ぶことができない。

コーヒー豆の焙煎度合によるアクリルアミドの量の変化

豆の種類(アラビカ種とロブスタ種)によるアクリルアミドの量の違い

ザ・ガーデンのアラビア種100%のドリップパックコーヒー。

公式SNSはこちら

はてなブックマークコメント

もっと見る
閉じる

facebookコメント

読者コメント

愛好家2018/11/26 12:55
匿名2018/04/18 19:06
※. コメントは会員ユーザのみ受け付けております。
もっと見る
閉じる
※注意事項

記者からの追加情報

本文:全約5900字のうち約3600字が
会員登録をご希望の方はここでご登録下さい

新着のお知らせをメールで受けたい方はここでご登録下さい(無料)