「人間の強み」が不可欠な仕事の条件――10年後に食える仕事 食えない仕事 テクノロジー編
オズボーン論文より。機械化する際のボトルネックとなるタスクと必要な能力要素。つまり、人間にしかできない仕事の要素を説明している部分。 |
それでは、人間にしかできない仕事とは何か。この分野で有名なオズボーン論文※では、以下3つを仮説として提示し、これをもとに分析を進めている。
非構造化作業環境に関連するタスクで、家事労働の大半がこれに該当する。「1日に何千回も繰り返される、1つのタスクに関する無数の小さなバリエーションに対して、ロボットの仕事は信頼できない」。
②Creative intelligence tasks(創造的知性が必要なタスク)
コンセプト、詩、作曲、科学理論、調理レシピ、ジョークなどを創り出す作業。「コンピュータに絶妙な冗談を言わせるためには、人間に匹敵する豊富な知識を持つデータベースとベンチマーク手法が必要」。「人間の創造性の根底にある心理的プロセスを特定するのは困難」としている。
③Social intelligence tasks(社会的知性が必要なタスク)
交渉、説得、介護など、幅広い業務において重要となるのが、人間の社会的知性である。「人間の自然な感情のリアルタイム認識は依然として困難な問題であり、そのような入力に知的に反応する能力は、さらに困難である」。なぜなら、「人間が持っている常識の情報が多く、それを明確にするのが困難」だからだとしている。
そのうえで、この3つは、「O*NET」(米国の職業データベース)上に記された能力変数でいうと、どれに該当するのかを定義した(※O*NETとは、日本に類似の仕組みがないためイメージしにくいが、職業を分類したうえで各職業に必要な能力を定義したものである)。それぞれ以下の通りで、能力変数は計9つである。
②創造的知性が必要なタスク=「Originality(独創性)」「Fine Arts(すばらしい芸術)」
③社会的知性が必要なタスク=「Social Perceptiveness(社会的知覚)」「Negotiation(交渉)」「Persuasion(説得)」「Assisting and Caring for Others(他者を助け気づかう)」
この9つの変数が、自動化におけるボトルネックであると定義し、あとは機械学習の研究者たちがワークショップを開き、主要な70職種について自動化可能か否かを印象論で決め、ボトルネック要素の含有度合いをパラメーターとして、900以上の職種全体に拡大推計したものが、オズボーン論文だ。
驚いたのは、なんと現場の働き手と全く接触することなく、その職種に対する研究者の頭の中のイメージだけで決めつけ、それを官製データベースと突き合わせて、机上でひたすら計算を重ねていることだ。頭でっかちな学者らしい手法である。現場取材に基づくボトムアップを徹底した私の手法とは正反対だ
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『変なホテル』宿泊者の書き込み
2007年1月9日の基調講演でiPhoneを発表するジョブズ
自走するオレンジ色のロボット「ドライブ」が、黄色い商品棚を持ち上げ、作業員の前まで運び、自動で戻っていく(アマゾンプレスリリースより)
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