「AI・ロボットの強み」が活かせる仕事の条件――10年後に食える仕事 食えない仕事 テクノロジー編
AIを業務に活かせる3つの条件 |
①業務に必要十分な情報を「デジタル形式」で取得できる
②AIが分析できる範囲内である(指数的爆発を起こさない)
③物理的に執行環境が整備されている
- Digest
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- 情報取得、分析、執行
- 執行環境がないAIは仕事ができない
- 「シンギュラリティー」という研究者バイアス
- ビジネス現場は「AI=推論」
- 「AIと人間が競合する業務」はあるのか
- “デジタル・ケンタウロス”という職業
- 職業=仕事=「業務の束」
- 人間もAIも不得意なエリアC業務の本質
- エリアCとAは紙一重
情報取得、分析、執行
AIが業務に用いられる際は、情報取得→分析→執行、というプロセスを必ずたどる。
まず情報取得(①)であるが、これは高精細カメラ・センサー・半導体・GPS・通信技術の進化により、低消費電力で大量の情報(テキスト、画像、音声…)をリアルタイムにデジタル形式で取得できるようになった。人間は五感(目=視覚、耳=聴覚、鼻=嗅覚、口=味覚、指=触覚)で情報を取得するが、機械はいずれも、個別でみれば、人間より正確に情報を取得し、デジタル化できる。特に視覚情報は、圧倒的な精度で人間をはるかに超えた。
②の分析プロセスは、いわゆるムーアの法則で情報処理能力は進化し続け、ディープラーニング(深層学習)による多変量解析で特徴量を自動抽出できるといったブレークスルーがあり、劇的に賢くなった。「組合せ爆発」を起こすような指数関数的な天文学的データの処理でなければ、人間を超える確率で、目的に沿った正しい答えを叩き出す。ただし、大量の情報を、前後の文脈や「人間界の常識」をもとに理解することについては、できるようになる見込みすら立っていない。
最後が、執行。知能面の進化で人間を上回る答えが出たところで、ある業務を遂行するには、物理的な体が必要である(③)。これは、無人レジのように、セルフサービスで顧客側が自ら実行できたり、ネット広告配信のように自動でプログラムが配信作業を行う場合は問題とならない。
ところが、たとえば群衆のなかにテロ容疑者がいることをAIが画像処理技術で特定できたとして、取り押さえて身柄を確保する業務は結局、人間にしかできない。「ロボコップ」は映画の世界だけ。知能より、むしろボディのほうが代替は難しい。ところがAI研究者らは、ロボティクスのほうの専門家ではないため、これを無視して、AIに支配される未来を憂いてみせる。論理の飛躍が甚だしすぎて話にならない
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「AI=推論」と言い切る孫正義社長
人間の強みとAIの強み
「計算する」という業務
上半身人間、下半身が機械の「デジタル・ケンタウロス」
人間にもAIにも不得意な分野はあるのか
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