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つくば“尿路結石”エクスプレスは鉄道素人の100%天下り漬け経営 労組もなく、病気でも休めない冷たいカルチャー
上:TX身分証明書
下:変形労働時間制につき、残業は1日「10時間」まで可能。ほぼ無法地帯で無意味な36協定。「自分は年400時間以上、残業しています。4時間の仮眠になる泊りが月11回あって休日が4日だけの月も。眠気との戦いです」(運転士)

 総合指令所に腹痛を訴え出た尿路結石の運転士に30分以上も運転を続けさせ救急搬送されてニュースになった、つくばエクスプレス(TX)。報道されていないが、そのわずか12日後の11月15日午前にも、今度は、つくば駅で助役に腹痛を訴え出た20代女性駅員を、24時間後の翌朝9時まで通常の泊まり勤務をさせて症状が悪化、自力で帰れなくなり守谷駅まで親が迎えに来て、そのまま入院する事態に至ったことがわかった。「11月30日まで2週間ほど休んでいましたが、胃腸に異常が見つかったそうです。うつ伏せになって苦しそうなのに代理を呼ばなかった当務駅長のI助役は、もともと副所長でしたがセクハラで降格となった人物。そういう他社出身の問題社員が多い点と、経営陣が全員、鉄道事業未経験な天下りの役人なので現場の実情を無視して意思決定されるのが、ウチの特徴だと思います」(駅員)。お役所的な、事なかれ主義的体質を持つ “天下りエクスプレス”の実情を、現役の運転士と駅員が語った。

【Digest】
◇役員全員が鉄道の素人
◇中堅・ベテランは鉄道経験者で不祥事発生源
◇幅を効かせる西武・近鉄からの出向&嘱託
◇2年だけ形式的に駅にやってくる総合職
◇監督官庁が自ら経営しちゃう“利害相反”、労基署は是正勧告
◇24時間拘束で泊りが基本!駅員の長~い1日
◇13日連続勤務も…24時間&15時間拘束、最小人員で回す駅員
◇運転士の勤務シフト実態「生活リズムぐちゃぐちゃになる」
◇運転士「泊り5時間挟んで連続22時間勤務」が普通、12連勤も
◇表向き142日、実際は「年84日しか休んでいない」カラクリ
◇眠気との戦いも眠気防止ガムすら禁止
◇乗客が知っておきたい「ホームに非常停止ボタンはありません」
◇労組がない珍しい鉄道会社「組合作らないで」


◇役員全員が鉄道の素人
 TXを経営するのは、資本の89%を沿線自治体で保有する第三セクター・首都圏新都市鉄道(本社・秋葉原)。大株主は、終点・つくば駅がある茨城県(18.05%)と、始点・秋葉原駅がある東京都(17.65%)で、国交省OBの柚木浩一社長をはじめ14人の役員全員が、許認可権を持つ中央官庁と自治体の出身者で占める典型的な“天下り漬け鉄道”だ。内訳は、国交省4人、総務省1人、東京都3人、千葉県3人、茨城県2人、埼玉県1人で、全員が新卒ファーストキャリアからの公務員。現役時代に鉄道事業のキャリアを積んだ者は、なんと1人もいない。

14人の経歴。全員が新卒から公務員で役所務め。役員の平均年収は1500万円、監査役は1300万円だが、社長をはじめ短期の任期で退職金を繰り返し貰う「渡り鳥」役員もいる
 技術職出身者がいないから安全面で不安だ――といったレベルの話ではなく(もちろんいない)、そもそも「鉄道のプロ」が事務系も技術系も含め1人もおらず、単に役員報酬と退職金で余生を送る“役所の植民地”としてポストが利権化している。

 そんな素人経営者が電車を走らせているだけでも恐ろしいが、鉄道事業の経営とは、これほど舐め腐った体制がまかり通るほど、お気楽で簡単なものなのか。建設費約9千億円の約8割を国と沿線自治体が無利子融資したため、いわば、借金のカタにポストをよこせという“銀行管理になった倒産会社”みたいな経営体制が続いているのである。

「鉄道の専門知識も現場経験も、何もない人たちが経営している会社なんです。だから現場で働く人の実情を理解できるわけがない」(駅員)。その結果、冒頭のような労働安全衛生上どうなのか、という事件が頻発している。

 「運転士が指令に腹痛で連絡するって、普段はまずないことで、大変な事態なんです。本人に『乗務可能』と言わせたことになっていますが、可能かどうか聞き返すこと自体がおかしい。人繰りに余裕がないから、現場では言いにくい空気があります」(運転士)。尿路結石は、かなりの激痛で知られる。

 TXは路線の場所がら、強風で農業用ビニールハウスが飛んできたり、マンションのベランダから布団やビニールプールが線路に飛んでくることが実際に起きており、見落とすと脱線事故につながりかねない。現状、自動感知するセンサーやカメラは存在せず、運転士のアナログ目視による緊急停止発令だけが頼りだ。乗客が危険にさらされていたことになる。

懲戒処分は社報にて氏名を伏せて公表され、社員の口コミで伝わる(※これは本文とは関係ない別件)
 女性駅員の件も、「セクハラ加害歴がある助役なので、怖くて強く言える関係性でないことは、傍から見てもわかります。朝の時点で病人だったのに、翌朝まで24時間拘束で泊り勤務させたわけですが、会社は、この助役を、かばっているように見えます。処分してしまうと問題を認めたことになりますから」(駅員)

 実に、お役所的で冷酷。どちらも社員本人の病状申告に対して上司が状況判断できず、初期対応を誤った結果、勤務中に病状が悪化して病院送りにされたケースだ。少なくとも結果責任はあるが、処分には至っていないため、今後も同じことが繰り返される。そうした現場管理でよしとする、人に冷たいカルチャーが形成されている。

◇中堅・ベテランは鉄道経験者で不祥事発生源
 取締役だけでなく、本社部門の重要ポスト、たとえば経営企画部長や総務部長といった部長クラスも、代々、中央官庁や沿線自治体からの天下りが多い。一方で、実際の運行にかかわる現業部門のベテラン~中堅クラスは、他の鉄道会社でキャリアを積んだ経験者が中心となっている。これは、TXが2005年に新規の鉄道会社として開業するにあたって、新卒の若者だけでは全く戦力にならないため、必然的に①鉄道経験者採用 ②他の鉄道会社からの出向および嘱託の受け入れ ③非鉄道会社からの社会人採用、という3つのルートから社員の大半を調達したためだ。

 ところが、特に①に、問題を起こす社員が目立つという。

 「セクハラで降格となった助役のIさん(前述)は、秩父鉄道出身でした。違法ドラッグ所持の疑いで逮捕され諭旨解雇となった40代運転士(2016年8月)は東京モノレール出身ですし、秋葉原駅の男性トイレ首つり自殺(2017年2月)が発生した日に構内巡回をサボって虚偽の申告をしていた駅責任者は東急電鉄出身です。親ぼく会費360万円を着服して懲戒解雇になった助役(2009年12月)は、JR東日本出身でした。去年、茨城県のパチンコ屋で入り口の扉を蹴ってガラスを割って逮捕された40代運転士(2020年8月)も、上毛電鉄出身で、2週間の停職処分となっています」(駅員)

 なぜ鉄道会社で経験を積んだ中堅~ベテランに不祥事が多いのかというと、もともと人材の流動性が低いなかで、新興の1路線しか持たない鉄道会社に転職する理由となると、前の会社で問題を起こして居づらくなった「ワケあり人材」なケースが、どうしても多くなるからだ。日本のマスコミは逮捕時点で実名報道を原則とするが、逆にいえば、逮捕されない程度の不祥事であれば、個人情報として守られ、転職の障害にはならない。

 「たとえば東急電鉄に勤務していた時代に、駅で客を殴って怪我をさせた社員も、TXに転職してきています。逆もあって、痴漢行為で逮捕され諭旨解雇となったTX社員が小田急電鉄に転職した例もあります。こうした情報は、鉄道業界には同じ高校の出身者(鉄道コースがある上野の岩倉高等学校や池袋の昭和鉄道高校など)が各社にいて同期のネットワークなどの口コミで伝わるので、あとからバレることが多いのです」(駅員)

 トラブルが多かったためか、鉄道経験者採用は、開業5年ほどで停止されたという。

◇幅を効かせる西武・近鉄からの出向&嘱託
 ②の「出向および嘱託」社員は、より指導的な立場で、開業前からの会社間の協定に基づいて、他の鉄道会社からTXに出向し、そのまま働いていたり、入れ替わってまた新たな社員が出向してきたり、元会社を退職したベテラン鉄道マンが嘱託社員として勤務していたりする。

就業規則抜粋(開業当初)
 これは、初期の就業規則(右記)でも、「社員の定義」のなかで、「(2)会社が派遣協定または出向協定に基づき受け入れた者」「(3)会社が特別な事情により採用した者」と明記されている。

 出向や嘱託社員の大部分は、開業前より、技術支援や教育という形で、関東地方の鉄道会社(JR東日本、関東鉄道…)から集められた。最も多かったのが西武鉄道で、鉄道営業のノウハウや技術の伝承が目的だった。従って、部署の名称も、西武鉄道とほとんど同じだという。

 TXは全20駅あるが、駅員の組織を4つの区間に分けて、管理所を置いている。秋葉原(4駅を管理)、北千住(6駅)、守谷(5駅)、つくば(5駅)である。開業当初は、その4つの管理所のうち、3つの管理所の長が西武鉄道からの出向者で、1つが東京メトロからだったという。

 西武とのつながりが最も深く、鉄道の運転をするための国家資格(動免=動力車操縦者運転免許)を取得するための養成所も、TXは自社施設を保有しないため、現在でも西武の施設を中心に、利用している。

 近鉄は、関西の鉄道会社であるが、現在でも定期的に2人が出向で送り込まれ、約2年で入れ替わる。TXにそのまま移籍する者もいる。関東に基盤がない近鉄にとって、今となっては、たとえば女性社員が夫の転勤で関東へ、となっても辞めずにTXへ出向するといった働き方改革の意味合いはありそうだが、当初の狙いは不明。ただ、教えてもらっている、指導を受けている――という手前、出向元の立場は強い。

 「近鉄の乗務員出身のF社員は、出向でやってきてTXに転籍し、駅に勤務していたとき、親睦会の旅行で訪れた気仙沼の宿で、一般客の女性風呂を覗き見して、当時の所属長と謝罪に行った、という社内では有名な不祥事がありました。会社は特に問題とせず、その後は本社に異動して人事課長、運輸部次長兼営業課長と、出世していきました」(駅員)

 近鉄からの出向者たちへの連絡等は、このF氏を通して行われるという。開業からの経緯や協定によって、近鉄出身組のキーマンとして、なかば出世が約束された出向だった、ということだろう。

◇2年だけ形式的に駅にやってくる総合職
 同じく転籍組で、本社の人事担当課長という人事報酬制度の変更に関わる重要ポストにまで就いたのが、開業前から在籍し、JR西日本では新幹線の車掌をしていたという、稲垣氏である。「これは社内では知っている人が多い話ですが、親父が国交省の官僚だと自ら吹聴している人物です.....この続きの文章、および全ての拡大画像は、会員のみに提供されております。



労基署から是正勧告が出ても謝罪コメントは出さなかった(読売新聞、2015年3月24日)。役人らしい無謬性である。
駅員のタイムテーブル。24時間拘束が基本。
乗務員(運転士)の勤務シフト表は「秒」単位でびっしり。この月は休日が4日だけで、11回も泊り勤務が入っていた。

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