「病む人もいる」威力抜群な360度評価

「えー、私はあなたがたの複数から『高圧的だ』と評価されていますが、どうしたら改善されるか、具体的に話し合いたいと思うので、教えて下さい」――。課長は、課内のメンバーを集めて会議を開き、直接、フィードバックを求め、その結果を上司（課長・室長ならば部長）に報告しなければいけない。

いわゆるクラッシャー上司のような人物である場合は集中砲火を浴びるが、なかでもインパクトが大きいのは、本人にとって想定外で、全く気付いていない場合だという。つまり、主観と客観のギャップが大きいケースだ。

「自分も経験がありますが、すごく落ち込むことがありますし、病む人もいます。リーダーシップがないとか、一見いい人に見えるけど何をやりたいのか全然わからないとか、けっこうはっきり言われますから…」（社員）

この360度評価は、15年くらい前から始まり、当初は、気付きを得るといった研修の一環だった。それが、データが蓄積されてくるなかで、分かってきたことがあったという。

「データを分析した結果、懲戒処分と正の相関関係があることがはっきり出ているので、評価が悪い人はマークしています――と人事部門から言われていて、みんなマークされると昇格や出世に影響してきますから、真剣に改善に取り組まざるを得なくなりました」（同）

面白いのは、海外との違いである。海外拠点でも同様に実施すると、同じ人物でも、明確に評価結果が異なる、というのだ。

「外国人社員は、匿名だからと説明しても、基本的に『最高だ、グレートだ』と無難に褒める内容を書いてきます。