坊主にする、稟議書を投げつける…

「これは事実ですから、お伝えしておきたいと思います。当時、同年代の親しい人たちの間では話題になった、有名な話です。新卒は、まず全国の支店に配属となりますが、当時『キツい支店は3K（神田、九段下、雷門）＋M（町田）』と恐れられていました。

いずれも都内ではありますが、商店や町工場など中小企業が多いといった地域特性もあって、大企業が多い東京基準のノルマが厳しく、ぜんぜん数字を達成できないのです。構造的にハードな支店だ、と言われていました。そのうちの１つの支店での話です」（元社員）

メガバンクは、1年かけてじっくり新人を教育する。

「その年は、男性3人が同期の新人として配属されました。まず、1階の個人向け窓口（BtoC）からOJTが始まって、半年後に2Fの法人担当（BtoB）に上がって、融資回収業務などのOJTを受けていました。

同期3人は、業務時間中に眠ってしまったり、書類をしまうロッカーの鍵を失くしたり、いろいろと、やらかしていました。その失くした鍵を同期3人で探していたら、その指導役の先輩への報告を怠ったということで共同責任になって、3人とも叱られることになったのです」（同）

積み重なったミスもあり、冒頭の、有無を言わさず美容院の予約を入れられた――という流れだ。男子高の部活のような、実に昭和な反省のさせ方なのである。これが2010年代、まあまあ最近の出来事である点が、時代錯誤な銀行業界のカルチャーをよく表している。

「3人ともスポーツ刈りくらいに短く刈られて、また1Fのロビー業務に戻され、事務の女性たちがたくさんいる前で、見せしめにあうことになりました。