A:優良企業
(仕事4.0、生活4.7、対価4.2)
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同社の特徴は、高めに設定された新卒社員の年俸だ。最低保証額が学卒で約470万円、院卒で約510万円。それに加え、業績にもよるが、初年度でも約20万円ほどのインセンティブボーナスが年2回支給される。
更に、2年後から行使可能となるストックオプションも、毎年100株ずつ貰える。業績次第で株数は増える可能性があるという。ただ、株価が下がり気味の昨今ではあまりインセンティブとして機能していない。1999年の株式公開前からオプションを得ていた社員のなかには億単位の資産を築いた者が続出したといわれているが、もはやその可能性はない。
(4.2:良い)
客観的な数値で評価しやすい営業系の社員については仕組みが少々異なり、基準額の8割が保証され、残りは個人業績の結果によって増減する。例えば期初目標を20%を超えれば、基準額の20%をプラスして貰える仕組みとなっているため、ハイリスクハイリターンといえる。
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年収推移 |
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初年度の年収が学卒で500万円程度というのは、全業種のなかで、かなり高めである。しかし、その後の「報酬カーブ」という点では、30歳くらいで不満を持つ社員が増え始めるという。一般的な大企業の同年齢社員に抜かれ始めるからだ。
大多数を占めるエンジニア系の場合、学卒5年目に一律で1つ職級が上がる。しかし、級が上がっても気づかない人がいるくらいの緩やかな上がり方で、平均的なインセンティブを含めても550万円強と、入社時と比べて1割くらいしか上がらない。同期社員の間での差もつかない。差はインセンティブボーナスで付くが、本部単位の業績にプラスして、個人の稼働率や上司の評価で決まる。
個人評価は、「OPMP」と呼ばれる評価制度の枠組みをもとに、ラインマネージャーと期初にゴールを設定。期末にどれだけ達成できたかで、A〜Eまでの5段階で評価を受ける。これがインセンティブボーナスの額に影響するが、個人評価では大差は付かない。所属している本部の業績の良し悪しが最もインパクトが大きい。このため、良い本部と悪い本部では、20代後半でも年間50万円以上の差がつくことも珍しくない。
5年目以降のキャリアパスとしては、プロジェクトマネージャー相当の役割を任される「プリンシパル」を目指すことになるが、その前にもう一段階、グループリーダー的な役割を担う職級がある。そこに上がる時期で数年の差は出るものの、30歳になる前には上がれるのが普通だ。
次の、プリンシパルへのハードルが高い。なれないケースもあり、なる人は30代前半が適齢期で、抜擢人事は少ない。また、プリンシパルは中途入社組も多い。いわゆるパートナー企業(日本ヒューレットパッカード、日本IBM…)からの転職組である。
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20代後半の給与明細 |
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プリンシパルになれたとしても年収は800万円程度のため、その1つ前の職級では、業績が悪くインセンティブが少ないと、大手メーカーのトップ昇進組と比べ、福利厚生が薄い分、待遇の見劣りを感じる人が増えてくる。なお、2003年11月中間決算データでは、従業員1,440名(平均32.7歳)の平均年収は779万円であった(会社四季報より)。
プリンシパルの上は、シニアプリンシパル、そして人事権を持つラインマネージャーとなる。確実に年収が1,000万円を超えるのはラインマネージャーからである。
ただ営業系では、70名のトップに立つ本部長が30代半ばと、年齢に関係ない成果主義の徹底が見られる。営業系は厳しく、成績が悪すぎると事実上の解雇通告もあるが、エンジニア系にはそのような空気はないという。
福利厚生としては、カフェテリア方式の「オラクルカフェ」がある。若手社員の例としては、年200ポイント(=8万円相当)与えられ、自分でメニューを選択して行使する。「リフレッシュ」「メディカル」「スキルアップ」などのカテゴリに分かれており、マッサージが5ポイントなどと設定されている。退職金は「前払い方式」と401Kの選択制だ。
休日出勤手当ては出るが、平日の残業代は一切出ない。しかし、DBを扱う仕事柄、DBの保守を担当するグループなどは、トラブルがあると毎日が終電帰りになってしまうため、多少の不公平感はある。エンジニア系では、入社5年目くらいまでは報酬水準でほとんど差がつかないため、働くほど時間単価は下がる。
2003年1月、同社は希望退職を募ることによって、全社員の1割を超える約200名の社員を削減した。1990年の営業開始以来、2002年5月期には初の減収減益となり、翌年度も減収減益が確実の見通しとなったためだ。「ネクストキャリアプログラム」と呼ばれる早期退職優遇制度は、年俸一年分の積み増しに加え、再就職先の斡旋を受けられる(外注サービス1年間など)というそれなりに手厚いものであったが、3年以上在籍している社員のみが対象で、更に、会社が認定した社員のみとされた。つまり、社員が応募しても、会社側に拒否権がある仕組みだった。
このプログラムに乗って辞めたのは高年齢層が中心。現在では、40代、50代の社員を同社で見かけることはほとんどなくなった。先代の佐野力社長は、新卒採用者を大事にする方針だったといわれ、いまだにその名残があるそうで、新卒入社組でクビになった、という話は聞かないという。
(4.0:良い)
同社では大まかに職種が6つに分かれる。「営業」「セールスコンサルタント(SC)」「コンサルティング」「サポート(DBの保守)」「エデュケ-ション(教育)」「COE(いわゆる製品検証部隊)」の6つだ。
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