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オリコンうがや訴訟7 JR「革マル派」告発の西岡研介氏、48件の“訴訟テロ”に反訴へ

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西岡研介さんプロフィール:
1967年大阪市生まれ。1990年、同志社大学法学部卒業。1991年、神戸新聞社入社、阪神淡路大震災、神戸連続児童殺傷事件などを取材する。1998年3月から2001年7月までスキャンダル雑誌『噂の眞相』に在籍し、「則定衛東京高検検事長の女性スキャンダル」など数々のスクープをとばす。2001年10月から『週刊文春』記者。2006年4月から『週刊現代』記者。2007年「テロリストに乗っ取られたJR東日本の真実」で編集者が選ぶ雑誌ジャーナリズム賞を受賞。著書に『スキャンダルを追え!「噂の眞相」』トップ屋稼業』(講談社)、『マングローブテロリストに乗っ取られたJR東日本の真実』(講談社)
 JR東日本の陰の勢力「革マル派」の無法ぶりを『週刊現代』で告発した西岡研介氏は、JR革マル派から全国各地で計50件の名誉毀損訴訟を同時多発的に起こされ、講談社と応戦中だ。うち48件の原告は記事にもしていない知らない人たちで、反訴で対抗する予定。1ライターが50件もの訴訟を起こされているのに、JRをタブーにする新聞は一切このニュースを取り上げない。西岡氏はオリコン訴訟について「メディア業界全体でとりくまなあかん問題や。オリコンの小池社長にスキャンダルが出たら地の果てまで追いかけたる」と烏賀陽氏にエールを送った。
Digest
  • ジャニーズとの関係記事は抗議せず
  • JR東日本に巣くう革マル派を告発
  • 札幌~山口まで同時多発“訴訟テロ”
  • 裁判所名さえ間違ういい加減な訴状
  • 新聞は1ライターが50訴えられて無視
  • 訴えてきた知らない人たちをまとめて反訴する

ジャニーズとの関係記事は抗議せず

 7月31日、第4回を迎えた「オリコンうがや訴訟」(綿引穣裁判長、東京地裁民事709号法廷)。ジャーナリスト烏賀陽弘道氏とオリコンとの法廷闘争も4回になり、傍聴席に座る支援者とジャーナリストたちにも、落ち着きが出てきた。

 今回の法廷では、ひとつ小さな事件があった。

 烏賀陽氏の代理人のひとり三上理弁護士が、問題となっている『サイゾー』(2006年4月号)の記事『ジャニーズは超VIP待遇!? 事務所とオリコンの蜜月関係』のなかで、烏賀陽氏が20行ほどのコメントをしたことについて「意見表明」をしたのである。

 「なぜ、オリコン側は、烏賀陽氏のコメントだけを問題にしたのか。記事の地の文について明らかな誤認がないのか確認したい。なぜ取材対象者の烏賀陽氏だけを訴えたのか?」

 これを聞いたオリコン側代理人は、顔色を変えた。

 「それは法的主張と言うことですか? どういう主旨で発言をしたのか。撤回してもらいたい!」

 裁判長が「裁判所としては意見として聞いている」と間に入ったため、オリコン側の代理人は平静さを取り戻した。

 たしかに三上弁護士の言う通りだ。『サイゾー』編集部は、ジャニーズに対してオリコンはランキング操作をしている、という主旨の記事を執筆したにもかかわらず、これに対してオリコンは一切の抗議をしていない。サイゾーは真実を書いたのではないか。その真実性についての議論を避け、烏賀陽氏のコメントだけを問題にしているのは不可解だ。

 この「オリコンうがや訴訟」が、オリコンという上場企業が、ジャーナリスト烏賀陽氏をねらい打ちにした「SLAPP(スラップ)=StrategicLawsuit Against Public Participation (公衆の言論を抑圧する戦略的訴訟)」であることが再確認できた象徴的な一瞬だったと言えるだろう。

JR東日本に巣くう革マル派を告発

 オリコンに訴えられた烏賀陽氏のように、企業から恫喝訴訟「SLAPP」を受けてきたジャーナリストは少なくない。一般のメディアがあまり報じないだけで、実は、多くのジャーナリストたちがその執筆した記事によって名誉毀損訴訟をおこされ戦っている。

 前回の連載では消費者金融大手、武富士から名誉毀損で訴えられた経験を持つジャーナリストの山岡俊介氏を紹介した。

 「オリコンうがや訴訟」よりもひどいとしか言いようがない名誉毀損訴訟の渦中にいるのが西岡研介氏だ。世界最大級の公共交通機関JR東日本を陰から支配している、「革マル派」と名誉毀損訴訟で戦っているジャーナリストである。

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『JR東海労ニュース』。西岡さんの名前とともに、「『週刊現代』を追いつめろ!」と書かれている。
 昨年『週刊現代』記者として連載した「テロリストに乗っ取られたJR東日本の真実」に対して、JR関係者から50件もの名誉毀損訴訟を立て続けに起こされているのだ。

 問題になった『週刊現代』記事とは、JR東日本が新左翼セクト「日本革命的共産主義者同盟革命的マルクス主義派」、略称「革マル派」によって乗っ取られていることを、さまざまな事実と証言によって証明したものだった。革マル派は、対立セクト「中核派」、「革労協」と血で血を洗う内ゲバを繰り返した歴史をもち、警視庁公安部によって徹底マークされてきた。

 西岡氏が「過去に内ゲバという名の殺人を繰り返し、盗聴や盗撮、住居侵入や拉致監禁などの非合法な手段で自らと主義主張の違う人を恐怖に陥れてきた彼らを、『テロリスト』と呼ぶことに私は、なんら躊躇を覚えない」(『マングローブ』講談社より)と書いたのも頷ける。

 その革マル派の最高幹部、松崎明が、JR東日本の労組、JR東労組会長などの要職に就いていた事実。その立場を利用して、組合費を着服して別荘などを購入していた事実を暴いた。そしてJRに浸透した革マル派のメンバーが、一般のJR社員に対して行った人権侵害の数々をも明らかにしたのである。

 革マル派は、名誉毀損訴訟という方法で、西岡氏と講談社に反撃しているのだ。

 ところが、マスコミはこの西岡氏に対する「訴訟テロ」を詳細に報じていない。当時多発的に名誉毀損で訴えられた西岡氏に、被告になること、ジャーナリストの連帯についてお話を伺った。

札幌~山口まで同時多発“訴訟テロ”

 2006年4月から『週刊現代』でスタートした、「テロリストに乗っ取られたJR東日本の真実」では、連載中から西岡研介氏と発行元の講談社を相手取ってJR革マル派からの提訴が続いた。

 この7月の時点で、50件の訴訟が起こされている。

 そのうち48件が本人訴訟である。その「本人」とは、JR東日本最大の主要労組「JR東労組」と、その上部団体「JR総連」の組合員。

 2006年9月から2007年5月まで、『週刊現代』の連載によって精神的苦痛を被ったという48人が、連続的に同時多発的に、同じような文面の訴状を西岡氏と講談社にむけて送りつけていたのである。

 2件については、JR革マルの陰の支配者と目される、松崎明、JR東労組、JR総連が弁護士をつけて訴えている。これについては、西岡氏も予想をしており対応をしている。

--50件もの名誉毀損訴訟が来るとはすごいですね。

 「カルト問題に詳しいジャーナリストの有田芳生さんが、オウム真理教、統一協会、創価学会でもこんなことはなかった、と言ってました。

 僕は、この原告の人達、まったく知りません。記事にもしていない。名前の読み方も知らないような人に訴えられているわけです。たまりませんよ」

--これは、本当に本人訴訟なんですか?

 「これを見てください。JR総連の内部資料です(右下画像参照)。これを見るとわかるように、

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50件訴えられた訴状のうち45通の訴状。札幌から山口まで全国の裁判所で提訴された。

■『週刊現代』訴訟一覧。上は、JR総連の内部資料。「2006年11月1日JR総連」と書かれていて、日付と名前が記入されている。この人たちのことは記事にも書いていない。名前も知らない人たちから西岡氏は訴えられた。下は、単行本『マングローブ』より。

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■オリコン訴訟の詳細は、うがやジャーナル
■第5回口頭弁論期日:2007年10月2日(火)14時~。東京地裁709号法廷