今回計測したのは日本の「六甲のおいしい水」「南アルプスの天然水」「富士山のバナジウム天然水」、アメリカの「CRYSTAL GEYSER」、フランスの「Vittel」「Contrex」「evian」「Volvic」。
|
8銘柄のミネラルウオーターを購入し、水質基準項目で基準値が定められている「硝酸性窒素」及び「亜硝酸態窒素」「硬度」「有機物」「pH値」などを計測した。銘柄はセブン‐イレブンで売られていた、おなじみの8本のミネラルウオーター。純水にどれだけ近いかを評価基準とし、各項目で1~8位のランキングをつけたところ、総合で日本の軟水が上位を占め、イメージがいいフランスの硬水は下位となった。いろいろ混ざった水で商品を多様化し商売にしたいのはメーカー側の論理。専門家は「ミネラルは日々の食事から摂るのが健康的で、ミネラルで汚れていない水がよい水」と言う。
【Digest】
◇8本のミネラルウオーターを計測
◇そもそもミネラルとは何か?
◇できるだけ純水に近いミネラルウオーター
◇硬度はボイラーマンだけが必要な数値
◇ランキング上位は日本の軟水、下位はフランスの硬水
◇ミネラルの少ないアラスカ「グレーシャーキャップ」がおすすめ
◇8本のミネラルウオーターを計測
昨夏は、セブン-イレブンで販売していたミネラルウオーター6本+ボトルドウォーター1本の水を計測して報告した。
■六甲のおいしい水、volvic、evianは硝酸性窒素入り 幼児は注意
そのときは、簡易水質検査試験紙「クリスタルチェック」(硝酸性窒素、亜硝酸性窒素、総硬度、総アルカリ度、pHを検査するキット)とTDSテスター(Total Dissolved Solid=全蒸発残留物、水中にある不純物の濃度を測定)を使った検査だった。
それ以来、わたし自身、アメリカのCRYSTAL GEY SERを買うようにしてきた。
今回は、社内の研究室で水の詳細調査機器を持つニューメディカ・テック株式会社の協力の下、上記を詳細に計測し、また2005年の水道法改正から新たに採用された「全有機炭素の量」(TOC、有機物による汚濁の指標)を追加した。
今回の調査銘柄は同じくセブン-イレブンで販売されていた8本のミネラルウオーター。日本の「六甲のおいしい水」「南アルプスの天然水」「富士山のバナジウム天然水」、アメリカの「CRYSTAL GEYSER」、フランスの「Vittel」「Contrex」「evian」「Volvic」である。
|
村田徳治さん
1934年生まれ。日本化学産業株式会社研究所長を経て(株)循環資源研究所所長。技術士(化学部門)。元淑徳短期大学兼任講師。主な著書に『新訂 廃棄物のやさしい化学全3巻』(日報出版)、『正しい水の話』(はまの出版)、『化学はなぜ環境を汚染するのか』環境コミュニケーションズなど。
ミネラルウオーターについて、「まさに"水商売"だと思います。ネームバリューを何かにひっつけて、いかに人を騙すかのビジネスで、消費者が騙されないようにするということしかありません」と語る。
「(8本のうち)好き嫌いがあるでしょうけど、でも、ぜったい飲みたくないのはコントレックス。まずい。ミネラルがたくさん入っていますから」と言う。
|
|
◇そもそもミネラルとは何か?
ミネラルはからだにいいイメージで、ミネラルウオーターでそれが摂取できる感じがしてならないのだが、そもそもそのミネラルとは何なのか?
水の専門家としてメーカーと利害関係のない立場で研究を続けている、循環資源研究所所長・村田徳治さんに聞いてみた。
村田「ミネラルとは鉱物(無機物)のことです。有機物ではないもので、人体に必要な成分もあれば、水銀や鉛のように有害な成分もあります。
カルシウム・マグネシウム・ナトリウム・カリウム・鉄・亜鉛・銅・リン酸塩などが人体に必要なミネラルです。鉄は血や酸化酵素の原料です。ビタミンB12のなかにはコバルトが含まれています。たとえば、必須元素である亜鉛が少なくなると味覚を感じなくなったり、肌ががさがさになります。
ナトリウム・カリウムなどのミネラル類は、細胞の内側や外側に存在し、新陳代謝をつかさどっています。カルシウムも神経伝達に重要な働きをしています。血液中のミネラル成分と濃度は、生物が地球上に発生した頃の海水の成分に近いといわれています。
カルシウム・マグネシウム・リン酸塩は骨や歯の成分であり、ミネラルとして重要な物質です」
◇できるだけ純水に近いミネラルウオーター
|
「ミネラルウオーター ランキング」調査結果(協力:ニューメディカ・テック株式会社)
|
|
今回の8本のミネラルウオーターの計測では、水質基準項目(全50)で基準値が定められ検査が義務づけられている項目として、硝酸態窒素及び亜硝酸態窒素、カルシウム、マグネシウム等(硬度)、有機物(TOCの量)、pH値が含まれている。計測結果は、左記画像「ミネラルウオーター ランキング」調査結果を参照されたい。
健康に特に重要となる指標は、亜硝酸性窒素(発がん物質へ変化)、硝酸性窒素(発がん物質へ変化)、TOC(水質汚染の指標、水の腐りやすさ)。総硬度と総アルカリ度は水の性質を表し、数値が高いと健康影響を受けると言われている。
TDS(水の電気伝導度、水の中にとけ込んでいる不純物の濃度の総計)の数値は基本的には低いほど不純物、有害物質が少ない。ただし、ミネラル分もこれに含まれるので、数値が高いものがよくないとも一概には言えない。水の味もTDSが高い低いだけでは評価できない。前出の村田徳治著『正しい水の話』では、環境庁が決めた快適水質項目には30~200mg/Lとある。
検査項目の詳細は、
六甲のおいしい水、volvic、evianは硝酸性窒素入り 幼児は注意 記事中下方の「参考1:検査項目の詳細説明」参照。
これらの数値から、どうやってランキングづけしていくかがポイントになってくる。村田さんに、水の評価について聞いてみた。
村田「ミネラルウオーターのランキングをつくるのなら、純水に近いものになるといいです。測定できる塩類や有機物などの数値は、なるべく0に近いものがいい。
山頂に降った雨は、山間部からだんだん下流にいくに従って、いろんなミネラルや有機物を溶かして、悪くなっていき
.....この続きの文章、および全ての拡大画像は、会員のみに提供されております。
|
上から、
富士山のバナジウム天然水
南アルプスの天然水
CRYSTAL GEYSER
Vittel
六甲のおいしい水
evian
Volvic
Contrex
それぞれの数値は、2005年の水道法改正から新たに採用された「全有機炭素の量」(TOC、有機物による汚濁の指標)。
|
|
