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旭化成

情報提供
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A:優良企業
(仕事3.5、生活4.7、対価3.2)
 旭化成グループには、「アニバーサリー休暇」の制度がある。これは、社員が休暇を取り易いように半期で2日間を自ら設定できる制度で、その日が近づくと上司に連絡が行く仕組みになっている。ここまでされると、上司も休ませない訳にはいかなくなるから、社員は休みを取り易い。

(4.7 :非常に良い)

同社では、「子供の入学式や卒業式に出るから」という理由で会社を休むのは、男女を問わず、ごく普通の光景だ。休みを取りにくい雰囲気はない。夏が近づけば「連続5日以上の休みをとりましょう」という連絡が来るし、年末には「休暇取得促進日」が設定される。女性が産休をとって復帰するのも、当然とされている。

日経産業新聞(2003/7/23)の「働きやすい会社」調査では、「休暇」の項目で旭化成が首位となった。育児休暇が取得できる期間が3歳11カ月までと極めて長く、「年間で女性社員のほぼ1割に相当する120人が育児休暇を取得している」という。取得しきれない有休は、次年度にボランティア休暇や自己啓発休暇に転用できるといった制度まで整備されている。

育児休暇が充実している会社としては、日本IBM(2年間)、日本航空(3年間)などの例があるが、3年11ヶ月は異例の長さである。「キャリアウーマン系よりも、家庭派でなおかつ仕事も続けたい女性にとって、非常に居心地が良い会社」(30代社員)なのだそうだ。

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意思決定カルチャー等

こうした、社員の生活への配慮に労組が果たしている役割は大きい。労組の経営に対する追及が厳しく、監視機能が働くのだ。例えば「研修を土日にやる」という話が、ある職場で持ち上がってくると、組合員は気軽に組合に通報できる。組合員と組合の間を隔てる壁は低く、アプローチもし易いという。連絡を受けた組合は、管理職に対して事実確認を行い、土日に行う必要性を問いただす。どうしても必要であるならば、休日手当や代休の取得をしっかり行うように指導・監視する、といった具合だ。

そうかといって管理職も含めた職場の人間関係が悪化していることもなく、総じて良好で、部内旅行はあっても、参加を嫌がる社員は少ないという。上司にも文句を言い易い環境で、上下関係が厳しいということもない。

基本的に、部下が上司を呼ぶときも含め、社内では「さん付け」が奨励されている。フォーマルなメールで「○○部長殿」と使うことはあるが、面と向かって呼ぶ際はさん付け。上司が部下を呼ぶときは、君付けが多く、親しくなると愛称で「○○ちゃん」。人によっては呼び捨てもあるが、全体的に家族主義的なカルチャーだ。

    ◇    ◇    ◇

旭化成は、連結ベースで約2万5千人を超える巨大な総合化学グループ。2003年10月には、「分社・持株会社制」に移行した。持株会社である「旭化成」と、「旭化成ホームズ」「旭化成ファーマ」など7つの分社等によるグループ組織体制に再編したのだ。

分社化に伴い本社の人間が各事業部に籍を分ける必要があったが、住宅部門(旭化成ホームズ)は余り人気がなかった。まず、評価報酬制度が異なり、住宅部門は報酬に占める出来高の比率が高いため、プレッシャーが大きい。長時間労働のため時間外手当はつくものの、耐え切れずに逃亡した社員もいる。「ノルマの追及が厳しかったため」と言われている。

競争が激しい住宅業界に比べ、同社の強みが生きる繊維事業(「旭化成せんい」)は、新入社員の配属先としても、比較的人気が高い。社員の生活は、どの分社に配属されるかによって大きく左右されるのである。

「旭化成ファーマ」では、ノルマの精神的プレッシャーは小さいが、その多くを占めるMR(医薬営業)の場合、勤務地の希望が通りにくい。異動管理の権限が現場に任されており、慣例的な年数も決まっていないので、生活設計が難しい。入社以来7年間、希望を出していても受け入れられず、ずっと同じ場所で異動がない、といったケースも珍しくない。

一方、住宅(旭化成ホームズ)はそもそも販売エリアが限られており、関東と近畿でしか販売していないため、居住の場を覚悟することはできる。東北や九州で勤務するといったことは最初からありえない。

(3.2:普通)
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 年収推移

年収は、30歳で670万円程度が基本。ただ、事業領域が広い旭化成グループでは、各事業ごとの報酬水準の相場に合わせる形で、様々な手当その他が支給されている。

 住宅事業では、時間外手当が最も高いため、眼に見える額としては最も高い。 一方、眼に見えないところで多額の報酬を得ているのが医薬事業だ。MR(Medical Representative, 医薬情報担当者)は業界の報酬水準が高いため、繊維業界の産業別労組「UIゼンセン同盟」などに加盟する旭化成労組の賃金テーブルをそのまま適用していては、優秀な人材が逃げていってしまう事情もあるようだ。

医薬の場合、給与明細には出てこない報酬が、30歳前後のMRのケースで、毎月11~12万円ある。「出張手当」や「借り上げ車費」(自家用車で営業を行う場合)などで、支給額と実費との差額が生まれるためだ。なかでも一番大きいのは「借り上げ住宅手当」。社員が自由に選んだ物件を会社契約とするもので、東京在住の独身者では月額約8万円(地方では約5万円弱)、配偶者ありの場合は12万円程度(地方では8万円弱)の補助が出る計算となり、残りを自己負担する。

医薬業界に特有なのが、経費の多さ。営業先が、自他共に「偉い」ということになっているドクターなので、付き合うのは大変だ。5~6人の課に振り分けられた純粋な交際費は、地方でも、半期(6ヶ月)で200万円位の予算が組まれている。

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30歳前後の給与明細

交際費の他に、会議費(1人5,000円未満の飲食費)として半期で20万円程度、ほかに販促材料費(サランラップなど社品を使う場合の宣伝材料費を含む)がある。また、これら課に振り分けられた直下経費以外に、申請制の本部経費(=医師会講演会を実施する場合や、本部指定の病院対策に使用する場合、製剤別の対策費等)も潤沢にある。

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編集部2021/08/09 12:34会員
おれ2014/05/21 22:59
ママ2008/02/01 02:49
2008/02/01 02:49
ケミー2008/02/01 02:49
会社広報の話??2008/02/01 02:49
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