わが子の将来を考えるとき、親がよくする勘違い
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10年後、収入格差社会の厳しい現実 |
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■お父さんお母さんの「会社選び」の勘違い
親が入れたい会社、入れたい業界
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本稿は、『プレジデントファミリー』9/18発売号
に計12ページ書いたものの原文である![]() |
グローバル規模での市場化を進めねば日本経済は国際競争で勝ち残れないので、産業保護政策はますます緩和される。その結果、既にキーワードとなっている「格差社会」がさらに進み、一部の「勝ち組」と、大多数の「負け組」に分かれていく。
その先行指標となるのが、最先端のIT業界である。
「子供が入って欲しい業界」は、アンケートの選択肢で一番上に配置されていたために「医療・医薬品」が一位になっているが、そのバイアスを除くと実質一位は「IT・情報」だ。
その代表格ともいえる楽天やライブドアでは、創業者ら株式を持つ取締役陣がIPOで数十億円超の資産を築き、十数人の執行役員クラスが年収2千万円程度。残り9割超のサラリーマン社員らの平均給与は、手取り500万円ほどだ。サラリーマンの働きで獲得された会社の利益は、配当や株価上昇という形で株主の不労所得となり、格差を拡大させる。これは客観的に見ると搾取の構造といえなくもない。
さらに、資産を持つ者は私募ファンド(村上ファンドの類)など利回りのよい投資を行い毎年10~30%ずつ不労所得を得て資産を拡大し、さらに富んでゆく。一方、少ない収入を日々の生活費に回すほかないサラリーマン層は、わずかな貯金もゼロコンマの利率でメガバンクに預けるしかなく、格差は拡大してゆく。
これは何もIT企業だけの現象ではなく、市場原理に忠実な形として、他の業界でも同じことが起きる。このように、一部の勝ち組と、大多数の負け組の格差は拡大するばかりで、それを是正する再配分政策は、国会議員の間で、真面目に議論されていない。そればかりか、逆進性(みなに等しい比率で税をかける)のある消費税の増税だけが、規定路線となっている。
国の借金が800兆円を超えているので増税は不可避だが、日本では残念ながら、金持ち層に高負担を求める政策を唱えるグループ(社民党・共産党)は政治力が圧倒的に弱い。よって、富裕税の導入や資産課税の強化などは実現せず、政府は税金を取りやすいサラリーマン層から所得税・消費税の実質増税を行う可能性がきわめて高い。この流れは変化の兆しがなく、政界再編も不透明で、そうこうしている間に、格差は拡大の一途をたどりつつ、10年は過ぎるだろう。
10年後の所得階層別の人数を描いたイメージ図は、右上のとおりだ。
既にサラリーマンの給与所得はデータ上でも減りつつあるが、サラリーマンは、そのほとんどが中下層(ロウアーミドル)に落ち着く。「一億総中流」の古き良き時代は、完全に終わるのだ。無限の可能性を秘めた子供たちに、負け組を目指せ、搾取される側になれ、とはなかなか言いがたいものがある
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