中越沖地震でトヨタが労基法違反の疑い 労基署「会社に迷惑かかる」とトヨタべったり
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若月忠夫「全トヨタ労働組合」委員長(写真撮影:林克明)。 |
- Digest
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- 操業停止、自宅待機が休日扱いに
- 交渉中に出された一方的な通達
- 組合員に該当者なしと門前払い
- まともな調査もしない豊田労基署
- 「会社に迷惑がかかる」と答えた監督署課長
操業停止、自宅待機が休日扱いに
7月16日に起きた新潟県中越沖地震によって自動車部品メーカーのリケン柏崎事業所が被災し、在庫を極力持たない「かんばん方式」を採用しているトヨタ自動車では、国内の全工場で7月19日(木)・20日(金)・23日(月)が操業停止となった。ここで、働く側から見ると、以下3点の問題が発生した。
1.自宅待機となった労働者は出勤取りやめとなり、その日を休日扱いとされた結果、もとは休日だった土・日・祝日に振替出勤させられることとなった。にもかかわらず割増手当てもつかなかった。
2.24日(火)も引き続き操業停止が続いた一部の事業所では、有給休暇を取らされた労働者も出た。
3.7月19日(木)・20日(金)・23日(月)のいずれかの日に事前に有給休暇を取得申請していた労働者が、会社により有給休暇の取り消しを受けた(会社が定める休日には有休を取得できないため、と考えられる)。
これらの一方的な措置に対して、昨年結成された闘う労組「全トヨタ労働組合」は会社側に措置の撤回を申し入れ、労働基準監督署にも労働基準法違反を申告した。
「全トヨタ労働組合」委員長である若月忠夫氏にその経緯を聞いた。
会社はこれまでに何度も、日本坂トンネル事故、台風災害、神戸震災、アイシン工場火災などで、休日と稼働日の振替えを繰り返してきました。
振替えという形のために、必ず土曜日か祝日の休みの日に出勤しなければいけない。心情的にそれが嫌だ、という人が圧倒的に多い。
また、金銭面でいえば、休日の土曜日に出勤するのに、なぜ臨時出勤手当てを払わないのか。割増賃金がつかないのは、私たち従業員にとっては大きな損失です。
操業停止の原因はリスク管理、再発防止を怠って「かんばん方式」という生産方式を続けてきた会社の施策にあるのはあきらかです。こうしたリスクや負担は、従業員ではなくて会社が責任を負うべきです。
今までも職場の同僚たちはこのような疑問を持っていましたが、これまで既存の労働組合(トヨタ自動車労働組合:組合員約6万人)は会社と交渉することもなくて、会社の意向で自由に変更されてきました。
私たち全トヨタ労働組合の存在意義として、この問題は法律的に問題ないのか、ということを含めて問題提起したいと考え、操業が一部で再開された7月24日付で「中越沖地震による生産中止による出勤取りやめの対応」について、会社側に申し入れをしました。
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(上から)
■トヨタ自動車の社員就業規則。
これまでの事例では、社員就業規則の第34条に基づいて休日振替を行ってきたが、若月さんたちの申し入れにより、今回から、第33条(会社休日)第3項を適用してきたという。
■7月24日に社内の現場幹部に配布されたという文書。
伝達・連絡項目の(1)に、「強制はできませんが年休で対応ください」と記されている。24日に有給休暇を取得したのは、従業員の自由意志ではなく、事実上の強制に近いものだった。若月さんたちはこの文書を資料として豊田労働基準監督署に提出した。
■8月2日に通達された社達。
「会社カレンダーの一部変更の件」と題して、中越沖地震による操業停止の際に出勤を取りやめさせた替わりの稼働日を通達している。今までの事例どおり、稼働日は全て休日の土曜日及び祝日で、振替手当・休日勤務手当も支給されない。
ここでの申し入れは、
1)生産中止による出勤取りやめの理由を組合および組合員に明らかにすること。2)これまでも自然災害を始め何回か生産中止による出勤取りやめが発生しているが、その教訓がどのように活かされているのか。
3)23日の段階で出勤取りやめになっている労働者への対応について明らかにすること。
この3点についてでした。
交渉中に出された一方的な通達
ところが会社は、7月31日の回答期限を過ぎた8月6日付でようやく回答を出してきましたが、その間の8月2日付で、『2007年度会社カレンダーの一部変更の件』という社達(社内への通達)を発行しました。
その内容は、「1.出勤取りやめ日(変更元)を休日とし、振替日(変更先)を稼働日とする。2.カレンダー変更の為、振替手当・休日勤務手当は支給しない」というもので、振替日の出勤日はやはり、9月から11月にかけての土曜日または祝日となっていました。
また、8月6日付の回答も、私たちの申し入れに正面から答えるものではなく、休日の変更についても、「当社の社員就業規則第33条(会社休日)第3項『前2項により定めた年間の休日は、原則として前年度末までに通達等で交付する。ただし、再度変更することがある』との規定に基づき『再度変更』を行ったものであり、問題ないものと考えております」という内容でした
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■「全トヨタ労働組合からトヨタ自動車株式会社に送った申入書及び要求書。7月24日付の申入書に対する会社側からの回答書が遅れて8月7日に届いたため、8月7日の労組側の要求書には、会社側からは8月6日現在回答がない、と書かれている。その後も、8月23日付の会社側からの回答が納得できるものではなかったため、8月31日、9月18日にも、8月7日付の要求内容を再要求している。
■全トヨタ労働組合が豊田労働基準監督署に提出した申告書2通。7月26日の申告書では、有給休暇を強要された件を調査するよう要請している。8月29日の申告書、7月26日申告書の回答が出ないために、監督署に直接聞きに行った際に追加で出したもの。これを出した際に、監督署の課長が若月さんに「このように次から次へと申告されると、その都度会社に行ってやらにゃいかんので、会社に迷惑をかける」という言葉を発したという。
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読者コメント
下記とは対照的ですね。ドライビングに対する情熱が欠けているのではないか?と思えたりもしますが、楽ちんな運転設計は安全運転に繋がりそうですし、一概にどちらがよいとは言えない気もします。しかし、どの車も似たような乗り味だったりするのは金太郎飴的だとして批判されている点でしょう。合理性の追求だけでは、フェラーリには敵いませんよ。
プラットフォームを共用しているなら、カローラの名称を使ってもよいでしょうが、カローラUを含め、あまり関心出来ない話ですね。取り敢えずの品揃えも、消費者にとってはあまり歓迎出来ないやり方ですよ。
トヨタだけでなく下請け子会社、孫会社の実態はあまり知られていませんねもっと取り上げてほしいたとえばゴミ親会社から来る部品入れる箱ほとんどゴミだらけです古新聞、古ビニール、そして見かけぬコンビニ会社の袋に弁当の食べかけ、お茶の飲みかけまるでゴミ処分の押し付けです
カローラのプラットホームで作った車ですから、本来カローラの名前がつくのが妥当です。カローラのブランドとしての信頼などと言うなら、過去の、スターレットのプラットホームを使ったカローラUなどはどうなるのですか?そもそも、カローラにブランドとしての信頼なんてあるんですか?国内で本気で売るつもりのない車である事位、誰でもわかる事でしょ。
北米bBをカローラとして売るなんて、カローラのブランドとしての信頼を損ないかねないのではないですか?スパシオの購入者層が買う種類の車ではないですし、日本ではまああまり売れませんよ。最近のトヨタは、海外市場を重視している為か、国内では安易なやり方が見受けられますね。もっと動力性能や乗り味等のプラスアルファ面にも力を入れて頂かないと、トヨタ車への評価が下がりますよ。
私の勤めているトヨタの協力工場の場合はリケンの事故の情報は朝礼で言い仕方なく休みなしの先行生産トヨタの代替出勤の10月20日、11月三連休のどちらか通常出勤日です
北米使用のホンモノの2世代目bBの右ハンドルバージョンですが?国内はダイハツQooのOEM車をbBとして売ってますんで、bBの名前使えないから、カローラの名前使っただけですけど。だから、北米で売れればいいの。国内はついでに作ってるだけ。
トヨタは国の法令や施策と関係なく、自らの裁量で企業統治が出来る、いわば日本国内の特別自治区ですね。業績が良いから、それが可能なわけで逆説的に考えると、そういう会社が存在する事は素晴らしいといえると思います。しかしそういう事が今後も続けられるのか?
カローラルミオン。なんですか?あれは。遊びを知らないトヨタが無理して造って外してしまった車だと思います。
明らかに可笑しいですね。地元豊田の労基署が駄目なら、厚生労働省本体など上位組織にも相談されるとよいかもしれませんね。
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