リコール改善措置未実施ランキング。ホンダの検討が光る。リコール台数王・トヨタは、ワースト3位。
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重症事故を発生させ2004年にリコールとなったトヨタのハイラックスは、33万台強のうち、改善措置を実施したのは、3年弱を経た2007年6月末時点でも16万7,485台と実施率50.7%で、残り16万台強が未だに市場に出回ったまま放置されていることが情報公開請求で分かった。ハンドルが操縦不能となる欠陥のため、深刻な事故を引き起こす可能性が高い。同社の人命軽視の姿勢が改めて明らかになった。人身事故がらみでないリコールも含めると、トヨタ全体で100万台超の欠陥車が改善未実施で、三菱ふそう、日産に続くワースト3だった。
【Digest】
◇欠陥車が普通に走っている
◇ユーザーアンフレンドリーな開示システム
◇重症事故モデル、改善未実施のまま16万台超
◇トヨタだけで100万台超が欠陥車のまま出回る
◇改善実施率9割超のホンダ
◇欠陥車が普通に走っている
私が10年以上前に乗っていた車が、実はリコール対象のモデルだった。その同一モデルは、熊本県の県道で正面衝突の事故を起こして、5人に対して全治50日などの重軽傷を負わせたもの。前輪のかじ取り装置である「リレーロッド」が強度不足で折れ、操縦できなくなるという恐ろしい欠陥車だった。
その危険性を96年に知りながらもリコールの届出を8年間も放置したことが問題とされ、2005年8月にはトヨタ本社に家宅捜索が入り、熊本県警は2006年7月、業務上過失傷害の容疑で、トヨタのお客様品質部長(55)、前・品質保証部長で現リコール監査室長(58)、前々任の同部長(62)の3人を、書類送検した。
トヨタは2004年10月26日、本件について、ハイラックスなど33万台強の膨大なリコールを届け出たが、71件のクレーム隠しまでやっていた事実が明らかになった。
マスコミは家宅捜索の事実も隠匿するほど巨大広告主・トヨタに気を使わざるを得ない構造だが、33万台のうちの1台を所有していた者として、運転中に操縦不能となったかもしれないことを考えると、再発防止のためにも問題を放置するわけにはいかない。いったい、この欠陥車は、どのくらい公道を走っているのか。
定期的に改修実施率が公開されれば、消費者の安全にとって有用な情報となるし、メーカーにもプレッシャーがかかって改修が進むはずだ。そこで昨夏、トヨタや国交省に情報公開を迫ったのが、前回までの経緯である。そのあたりも簡単におさらいしよう。
--それで今、その危険な車の回収は、どのくらい進んでいるんですか?
お客様相談センターのヨネザワさんが対応した。
「現在、新聞報道などを見た方々からお問合せをいただいておりまして、順次、回収をして修理しているところです」
--だから、最新のデータでは、何パーセントまで修理が終わったんですか?松下だって、石油温風器の回収率が未だに6割未満だということをちゃんと公表したうえで、100%を目指すといって、あれだけCMを打っていますよね?重症事故を引き起こしているんだから、同じように現状の回収率を発表して、注意を呼びかけるべきじゃないですか?
「一般的にはおよそ8~9割だとのことですが、個別には、公開していません」
--私自身が乗っていた車について、個別に知りたいんです。ハイラックスは33万台もリコールしたわけですが、今現在、修理されないまま公道を走っているのは何台ですか?知りたいのは当然ですよね?いつ操縦不能になって歩道に突っ込んでくるかも分からないんですよ?危険ですよね?
「回収率は、公開していないんです」
埒が明かないので、国交省の担当部署であるリコール対策室に尋ねる。欠陥車の回収率を、どうしても開示しないと言い張る。対応したのは、キウチという人である。
--開示しない理由は何ですか?
「理由は、メーカーから回収率をもらっているのは、メーカーを指導するためのものだからです」
--33万台のうちの半分しか修理してなかったら、16万台が危険な状態で公道を走っている訳ですよね?回収が99%なら、それほど注意する必要はないですが。情報を公開することで、注意を喚起できますよね?なぜWEB上で公開しないのですか?
「それは、公表すべきものではないからです」
社会党のごとく、ダメなものはダメ。お役所仕事の典型だ。国民の立場など考えない。こういう情報隠匿体質は、隠された犯罪が続々と出ている社保庁と同じである。
◇ユーザーアンフレンドリーな開示システム
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行政文書開示請求書。オンラインで出せる。文書も電子データでの提供を希望できるのは前進。
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そこで仕方なく、情報公開請求をすることにした。WEB上から請求でき、料金もpay-easyでオンライン振込みできるようになったのは大幅な前進だが、その情報システムがとてつもなく難解で、絶対に担当者に質問しなければ手続きを完了できない。
たとえばいちいち申請書に表紙を付ける仕組みで、その表紙は専用ソフトをインストールして、別ソフトで作成するのだ。その表紙と、別途作成したワード文書(行政文書開示請求書)に、同じように住所名前連絡先などを書かされる。その2重作業を、申請時、開示決定時、さらに開示方法決定時の計3回もやらせる。なんで6回も同じ住所を書かねばならないのか。国民をバカにしている。
こうした、民間ではありえないユーザーアンフレンドリーなやりとりは、なんとマニュアルが存在しないので、IT担当者にいちいち尋ねないと進まない。担当者はいつも電話口に出るほど暇な様子で、これは本来不要な人件費なので、.....この続きの文章、および全ての拡大画像は、会員のみに提供されております。
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情報公開で開示された文書の一部。10/26の「届出番号1281」が問題の人身事故車。前回2007年3月からも、わずか2%しか進んでいない。やる気のない表れ。 |
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全15社のデータ一覧。リコール対象台数、改善措置実施台数、実施率、未実施車台数。いすゞ、GM、スズキの改善実施率が低く、コンプライアンス上問題。 |
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