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タバコ減本、低ニコチンで失敗、保険適用のニコチンパッチへ(禁煙苦闘ルポ1)

情報提供
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タバコ用品破棄。禁煙開始直前。タバコ、ライター、灰皿を廃棄する。こうするとスッキリしてやめやすい。
 「少しぐらい健康に悪いことも必要」と吹聴し、1日20本、27年間吸い続けてきたジャーナリストが、禁煙を決意した。タバコ代は年間およそ11万円の出費だったし、ベビースモーカーだった父を肺ガンで亡くした。禁煙方法として選んだのは、昨年から保険が適用となった病院での禁煙治療。「喫煙は脳の病気」「依存症だから保険が適用される」と医師から言われ、「禁煙宣言書」に記入。2007年10月18日に禁煙を開始した。
Digest
  • 突然の禁煙依頼メール
  • タバコ代年間11万円でできること
  • 腺ガンは発見1年後に死亡率60%
  • 低ニコチンタバコの罠
  • 吸気一酸化炭素濃度は14ppm
  • 喫煙は脳の病気
  • ニコチンパッチで禁煙開始

突然の禁煙依頼メール

 「林さん、禁煙してみない? 禁煙治療の病院に行って、ほんとにできるかどうか体験ルポしてみるのよ」

 編集者の山中登志子さんからメールが届いた。禁煙しなくても本数を減らせば、いつか禁煙できるかもしれないという程度の思いだった私の背中を、この言葉が押した。

 メールが届く2日前の10月3日、ふと禁煙ガム「ニコレット」(禁煙補助剤) を買ってみようと思った。3950円。こんな高いガムを買って禁煙できなかったら、バカみたいだ。山中さんに送った業務連絡用のメールの最後に、ニコレットのことをさらりと書いた。それに対する返信メールが、冒頭の言葉だったのである。

 私はブログで「健康オタクによる身体改造講座」などというものを書き続けているくらいだから、平均的な人よりも健康的な生活をしているはずだ。しかし、あまり健康的すぎる生活もよくない、少しぐらい健康に悪いことも必要じゃないか、と周囲に言いふらしてタバコを吸ってきた。

 しかし、できればタバコをやめてみたい、という思いはある。

 だから少しずつ本数を減らし、ニコチン濃度の薄いタバコに換えてみたりはしてきたのである。ところが、本数を減らしたのは大失敗だった(後述)。

タバコ代年間11万円でできること

 タバコをやめたいと思う理由は人それぞれだろうが、私の一番の理由はカネである。ここ2年ほど吸ってきたのはJTのマイルドセブン(8mg→6mg→3mg→1mg→3mg)である。ニコチン含有量を少しずつ減らす涙ぐましい努力しているのがおわかりいただけるだろうか。

 1日1箱20本。1日300円だから1カ月で約9000円だ。年間に、タバコへの出費がおよそ11万円にもなるではないか。ライターがなくてコンビニに駆け込めば、ついでに雑誌を買ってしまったり・・なんだかんだとプラスアルファがある。

 冗談ではない。私のよう人間にとっては大打撃なのだ。原稿を書くのが私の主な収入源だが、原稿で11万円稼ぐにはけっこう大変。とくに私のようにチェチェン戦争だの21世紀の日本自由民権運動などの超マイナーなテーマを取材して書くような者にとっては、重い11万円である。

 逆に言えば、禁煙した11万円プラスアルファで得られるものは多いはず。サラリーマンの収入が9年連続で下がっているなかで、禁煙しただけで実質的に11万円以上、年収が増える。何を買おうか。

 『週刊金曜日』を1年間定期購読(2万3000円)、『Days Japan』1年間定期購読(8000円)し、無料で送られてくる『ピースネットニュース』の購読料4000円も支払いたい。発行元のNGOは苦しいだろう。禁煙達成(3カ月の禁煙成功)を記念して家族で食事もいい。これには2万円遣う。

 ひとさまだけに協力するのはちょっと寂しいから自分自身のためにも遣いたい。最近、20年以上前に買ったスーツのズボンがきつくなっているので新しいものを買うことにしよう。気に入ったものは30万円もするので、5万5000円以下のスーツであきらめる。

 冷静に考えてみたのは、タバコを吸うメリットとデメリット。禁煙によるメリットとデメリットだ。食後の一服は美味いし、仕事が一段落したときの喫煙には充実感がある。その反面、激しいスポーツはつらくなるし、タバコが切れたときの焦燥感は不快だし、服は臭くなるし、中高年になると歯周病を誘発する(あるいは加速させる)原因のひとつでもある。

 最近は禁煙の場所が増えているからイライラするし、タバコを吸わない人の前では遠慮して、それがストレスになる。出来る限り非喫煙者とはつきあいたくない。仕事などではしかたないが、食事したり、喫茶店にいったり飲みに行きたくない。できるだけタバコを吸う人と、そういう所へ行きたいと思う。

 ということは、言うまでもなく、タバコを吸わない人は、我々スモーカーに対して同様かそれ以上のストレスを感じている。

腺ガンは発見1年後に死亡率60%

 多くの人が禁煙したいと思うのは、健康上の理由からではないだろうか。私はそれほど意識はしないのだが、最近は少し考えなければならないと思い始めている。というのは、私もすでに47歳で、体力の衰えを感じているからだ。スポーツをしたときや、毎日10階の事務所まで一段抜かしで階段を駆け上がるときに息が切れるし、疲労の回復が遅くなっている。

 タバコの害はいまさらいうまでもない。とくにガンを誘発するケースが多いが、2001年に67歳で亡くなった私の父も腺ガン(肺ガンの一種)で、発見後およそ6ヵ月後に死亡した。ベビースモーカーだった。

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「5日間でタバコをやめる本」の著者、佐々木温子医師(東京衛生病院健康医学科)に診てもらうことにした。この病院は、昭和初期から全館禁煙だったという。担当医に直接接し、その人の著書を参考にすれば、物の考えや治療方針・方法がわかるためいっそう効果的だろう。
 1994年以降、日本人の死因のトップはガン。特に男性では死亡原因のトップが肺ガンである。わけても最近増加している肺ガンの一種・腺ガンは、気管支から遠い場所にできる。だから早期発見がきわめてむずかしい。

 『5日間でタバコをやめる本』(佐々木温子著・日東書院)によると、腺ガンの増加は、低ニコチンタバコとフィルターつきタバコの普及との関連があるという。ニコチン濃度の低いタバコは、思い切り強く吸ってしまう。だから強く吸わなければフィルターを通過できないはずの細かな粒子が、肺の抹消に到達してしまう。またフィルターのタバコには腺ガンを起こす発ガン物質の量が多い。

 前掲書によると、肺ガンは、発見されてから1年後には60%が死ぬ。

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(上)吸気一酸化炭素濃度。ニコチンを含め有害物質をどのくらい体に取り入れているか目安になる。私は14PPM。4PPM以下なら、おおむね健康といえる。(下)身体測定。診察時には毎回、このような基礎データを計測する。

(上)禁煙宣言書。はっきりと日付を書いて明文化し、第三者に伝えることでやらざるを得なくなる。(中)禁煙に有効な補助財ニコチンパッチ。ノバルティス社製のニコチネルTTS。量が多いと感じたら、写真のように内側にテープを貼って接触面積を減らす。(下)タバコを吸うと200種類の有害物質も体内に取り込まれてしまう。ニコチンパッチによって体内にニコチンは入ってしまうが、タバコのように他の有害成分は体内に入らないという。

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驚きだね2008/02/01 02:51
禁煙10年目2008/02/01 02:51
禁煙5年目2008/02/01 02:51
禁煙8年目2008/02/01 02:51
喫煙者452008/02/01 02:51
喫煙者502008/02/01 02:51
さらば「キャスター」2008/02/01 02:51
むらしん2008/02/01 02:51
嫌煙者2008/02/01 02:51
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