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【オリコンうがや訴訟11】POSも説明できない元社員、“チャート偽装”否定する説明なし

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「オリコンうがや訴訟」第6回口頭弁論が12月11日(火)、東京地裁で開かれた。
 「オリコン恫喝訴訟」が最大の山場を迎えた12月11日、烏賀陽氏とオリコンの元社員が証人尋問を受けた。烏賀陽氏の取材に答えた元社員はチャート集計で重要なPOSの説明もできなかった。データの質問は「担当部署にまわす」と答え、新しい情報は出てこなかった。オリコン側からの反対尋問では「ノートの字が不自然」「記憶が鮮明すぎ」と指摘、「取材ノートは偽造」「記憶も曖昧で信用できない」とでも言いたげなねちねちした尋問を繰り返した。烏賀陽氏が人間、ジャーナリスト失格であるイメージを刷り込ませようとする裁判手法だった。
Digest
  • 発端は浜崎あゆみチャートのズレ
  • POSが説明できない元社員
  • オリコンVS.サウンドスキャン
  • オリコン恫喝訴訟後、年収400万円ダウン
  • サウンドスキャンの質問を繰り返す
  • メモの字の大きさ、字体が違う
  • ジャーナリスト失格を伝えるのが目的
  • オリコンが誰を呼べなかったかが重要

 オリコン(小池恒社長)が、『サイゾー』にコメントを寄せたジャーナリスト烏賀陽弘道氏個人に、5千万円を請求する恫喝訴訟(SLAPP)を起こして1年。「オリコンうがや訴訟」最大の山場を迎えた「第6回口頭弁論」が12月11日(火)、東京地裁709号法廷にて開かれた。

 今回、烏賀陽氏本人、2003年1月に烏賀陽氏の電話取材を受けた元オリコン社員が証言台に立ち、それぞれが烏賀陽氏側弁護団(3人)、オリコン側弁護団(3人)の尋問を受けた。

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裁判当日のメモ。

発端は浜崎あゆみチャートのズレ

 午後1時半に開廷後、元オリコン社員の広野麻里子氏の証人尋問がはじまった。女性が証言台に立ったことに驚いた。烏賀陽氏の陳述書で、広野氏は男性だと記憶していたからだ。

 30代前後と思われる広野氏は、上は白いジャケット、下は黒のパンツ。ベルト、靴、鞄がヒョウ柄だったのが印象的だった。法廷には場違いな印象を受けた。尋問中、終始、声が小さく、聞き取りづらかった。

 まずオリコン側弁護団から広野氏への尋問が始まった。

 広野氏は、オリコンに1999年3月に入社、2005年10月に退社している。烏賀陽氏から取材を受けた2003年当時は広報企画部の社員として、ウェブサイトランキングの校正、請求書の作成、ヒットチャートの問い合わせなどを担当していた。月2~3回あったヒットチャートの問い合わせに、部署の6~7人全員で対応していたという。対応で録音をすることはなく、机に置いてある回答の手本を見ながら説明していた。

 烏賀陽氏がオリコンに取材申し込みをした2003年1月14日のことを聞かれると、「日付は覚えていない」。だが、烏賀陽氏に送ったFAXに「15:37」の記録が残っているから、「その日であると思う」と答えた。烏賀陽氏のことは、不信感を持っていたので覚えているという。

広野「烏賀陽さんは、名前を最初、名乗りませんでした。途中から名前を(私から)尋ねました。オリコンの集計方法を何度も繰り返し説明しましたが、烏賀陽さんは納得しませんでした。

 (浜崎あゆみの売上げでオリコンとサウンドスキャンで差があるのはなぜかと質問されたので)集計方法で1週間の売上げの差ではないかと答えました。他社は他社、オリコンはオリコンですと思いつくままに答えました。烏賀陽さんは満足していませんでした。

 何を知りたいのかFAXで送ってほしいと依頼したら、FAXを送ってきました。(わたしは)回答はしていません。15分くらい会話をしました。部長の内記さんに変わってもらったので、やりとりは知りません」

 烏賀陽氏から「予約もカウントされているのか?」と聞かれた広野氏は、「ありません」と答えた。そのように答えたのは、部内でそのように教わっていたからだという。

POSが説明できない元社員

 ここまでのオリコン弁護人による尋問の応答は練習をしていたとみえ、広野氏はすらすらスムーズに答えていた。次に、烏賀陽氏側の三上理弁護士からの質問に変わった。

三上「オンラインによるPOSデータについて説明してください」

広野「・・・・」

三上「説明できないのですか?」
 
 しばらく沈黙になった。

三上「レジ、バーコードによる機械と説明しているバーコードがPOSですか?」

 三上弁護士が答えを出してくれたが、また沈黙になった。オリコンのチャート集計で必要なPOSのことが説明できなかった広野氏は、「くわしいことについては、マーケティング集計に問い合わせをまわしていました」「くわしい部署ではありませんから」と続けた。POSでのデータ、FAXでのデータは別物であるかの質問にも、曖昧な答えだった。

三上「買い占める、商品をまとめ買いすると聞いたことがありますか?」

広野「聞いたことはあります」

三上「オリコン独自の係数はどういうものですか?」

広野「わかりません。専門部署が行っていて、詳しい部署ではないので私にはわかりません」

 また広野氏は、烏賀陽氏と「電話で話したのは1度。FAXを送った日。内記さんと電話を変わったのも同じ日」と言った。

三上「(烏賀陽氏から1月22日)、改めて(電話が)ありましたか?」

広野「あったとしても、わたしはとっていません」

三上「予約について質問されたことは?」

広野「記憶にありません。過って答えてはいけないので、しかるべき部署に・・・」

三上「あなたではわからないのですか?」

広野「・・・」

 POSデータのことを再度聞かれ、しどろもどろになっていると、綿引譲裁判長が「POSデータを通したということでしょ」と発言。次に、釜井英法弁護士が質問を続けた。

釜井「烏賀陽氏から、予約枚数をカウントされたか質問されましたか?」

広野「覚えていません

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烏賀陽氏がオリコンに取材申し込みをした2003年1月14日、FAXで送信されてきた「オリコン・チャートについて」の文書。「広報企画部:広野」とある。

閉廷後、弁護士会館で烏賀陽氏側の報告会が開かれた。

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■オリコン訴訟の詳細は、うがやジャーナル
■次回裁判期日:2008年2月19日(火)11時~。東京地裁