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ニュースのビジネス化-6 本格的なビジネスモデル構築

情報提供
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ウォールストリートジャーナルの価格設定。ウェブ版は一週間1.99ドル。私の大学時代からの友人(外資の資産運用会社で営業をやっている)はWSJを有料購読していた。日本の新聞には載っていない有用な情報が掲載されているそうだ。
 2003年の夏前、「マネージャー」に昇格した。一般の会社でいう課長のようなもので、リーダーとしての役割でプロジェクトを成功させた証明ができないと昇格できない。外資系コンサルティング会社ではマネージャーになって1人前と言われるので、1つの達成感があった。同時に、その上を目指すことは考えられなかった。自分がコンサルをやっている目的はスキルアップであり、自分が本当にやりたい仕事は、ここではない「次」にある、本来は社会全体に影響を及ぼせる仕事をしたいのだ、ということは明確だった。
Digest
  • 針の穴を通すビジネス設計
  • 広告でも、有料課金でも、イバラの道
  • プロフェッショナルに徹する
  • 影響力との両立の議論

針の穴を通すビジネス設計

となったら、これまで同志と研究を進めてきたニュースサイトで独立できるのが一番よい。

コンサルの仕事と並行して、ビジネスプランを作り始めた。事業は1人ではできない。会社を作るだけでも、ヒト(当時は取締役・監査役で計4人)が必要だったし、カネ(まとまった初期投資)も要る。幸い、これまでの活動の蓄積があった。「会社を作って独立するが、出資してくれないか」とゼミ同期でコンサルタントの井上に相談すると、「ああ、カネも出すけど、クチも出すよ」と2つ返事でOKしてくれ、取締役となり200万円も出資してくれた。このときは本当に嬉しかった。

その後、さらに増資で150万円を資本金に入れている。旧知の友人とはいえ、なかなか350万円も出せるものではないから、心底、感謝するほかない。井上は大学時代からの身近な相談相手で、政治の議論を交わした仲だ。私が海外を旅した際に書いた沢山の紀行文や記者時代のエッセイにも、逐一面白がって読んでくれ、すべてに感想を書いて送ってくれる。私のよき理解者であり、心強かった。

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2003年6月に作成したトップページ改善案

経営面では、井上のほか、やはり外資コンサル会社にいた中里基(監査役に就任)、そして佐藤裕一(現『日刊ベリタ』取締役)らで、ネットニュースのビジネス化を議論した。表参道の『ヤフーカフェ』などに毎週末集まり、PC画面を見ながら、必要な機能やビジネスモデルについて話し合った。

もちろん真剣だ。最初の設計でミスれば、レバレッジ効果で何倍にもなって跳ね返ってくる。自分と井上のカネをつぎ込むのだ。失敗はできない。

しかも、ジャーナリズムで成功しているメディアは1つもない。もともと儲かりにくい分野をビジネス化しようとしているのだから、針の穴を通すような細かいビジネス設計が求められる。それまでのキャリアを総動員して考えた。

広告でも、有料課金でも、イバラの道

まず、肝心の売上をどう立てるか。誰からお金を貰うのかを考えると、柱となり得るのは「広告を載せて企業から貰う」か「読者から購読料を貰う」かの2種類しかない。

当時、ニュースの「広告収入モデル」はasahi.comなど既存新聞社が運営するサイトでさえほとんど儲かっていなかった

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2003年当時のテスト版(佐藤裕一作成)

ジャーナリズムとコマーシャリズムは放っておくと反比例する運命(2003年当時作成)

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