“マンション補助金”違法献金ワーストランキング(2004~2007年の4年間計)
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国から補助金を受け取った企業は1年間、政治献金を行ってはならない。政党にワイロを送って補助金を貰う贈収賄行為は、政治資金規正法で禁じられている。だが国交省の補助金「21緊促」をめぐり、本来、受け取ってはならない“マンション補助金”で、税金が大企業に還流していることが情報公開請求で分かった。違法献金ランキングのトップは三井不動産で、2004~2007年の4年間で計14億7千万円。その見返りとして、自民党に2700万円の政治献金を行っていた。以下、阪急電鉄、近畿日本鉄道と続く。
【Digest】
◇国交省の補助金「21緊促」で違法献金
◇違法献金は3年以下の懲役か罰金
◇不正補助金額ワースト1位は三井不動産
◇“補助金漬け”の超高級タワーマンション
◇「利益を伴わない」と言い張る三井不動産
◇ワースト2、3位は阪急、近鉄
◇自民に1億7千万円還流、民主も違法献金
◇国交省の補助金「21緊促」で違法献金
2004年~2007年の間に国交省の「21世紀都市居住緊急促進事業補助金(略称21緊促)」という補助金を受けた企業のうち、大手企業12社が、自民党の政治資金団体「財団法人国民政治協会」などに「違法献金」していたことが情報公開請求文書で判明した。
不正の舞台となった国交省の補助金「21緊促」は1998年に「21世紀にふさわしい、ゆとりある生活空間の実現を図るため」つくられた。一言でいうと、高級マンション向けの補助金である。
民間ディベロッパーがこれを受給するにはいくつかの条件がある。まず、地方自治体が直接交付する「優良建築物等整備事業」「市街地再開発事業」「住宅市街地総合整備事業」など再開発系の7つの補助金のどれかを受給していなければならない。それらの補助金に「上乗せ」する形で21緊促という補助金が出る仕組みになっている。
たとえば、「優良建築物等整備事業(略称 優建)」というミニ開発用の補助金を受給した会社があるとする。「優建」は、マンションの建設費のうち階段やエレベーターなど「共用部分」に対する補助金であり、21緊促は、この優建にかかる共用部分「以外」に対して支出される補助金となる。(他の6つの補助金の上乗せの場合でも同様)
たとえるなら、21緊促の単純な計算式は、マンション建設費が仮に100万円として、優建にかかる共用部分は20万円とすると、21緊促にかかる部分は100万円-20万円=80万円であり、21緊促の補助金額は、80万円に対して3、5、7%のいずれかの金額と定められている。
3、5、7%の補助率がどうやって決まるかというと、省エネなどの「環境・資源問題」や「バリアフリー」、避難場所・避難地として活用可能な空地の整備などの「防災安全性」、「都市緑化対策」の4つのうち2つ以上要件を満たした上で、耐熱仕様、床暖房設備、浴室暖房設備、緊急通報装置、断熱仕様、高強度コンクリート使用といった細かい仕様毎にポイントがついていて、これらのポイント加算に応じて7%を上限に補助率が決まることになっている。
実にややこしい補助金だが、要するに「高級マンション」になればなるほど、もらいやすい補助金なのである。この補助金を出した企業名や、年度毎の補助金支出総額を知るため、国交省に取材しても、「公開していないので教えられない。知りたい場合は情報公開して下さい」の一点張りだった。
そこで過去4年分の情報公開請求をしたところ、文書がわんさか送られてきた。そこでわかったことは、まず、21緊促の総支出額は2004年~2007年度の4年間で、総額105億8078万7千円。問題は、そのうち、政治献金を行っている企業に対する補助金総額が、なんと3割以上にあたる36億932万3千円にもなることだ.....この続きの文章、および全ての拡大画像は、会員のみに提供されております。
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三井不動産の国民政治協会への違法献金明細(04~07年分) |
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三井不動産の21緊促の交付決定通知文書のうち東京都分の3枚
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三井不動産から送られてきた回答文書
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