三井不動産、自民に2千7百万の違法献金、見返りとして補助金14億不正受給
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“マンション補助金”違法献金ワーストランキング(2004~2007年の4年間計) |
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- 国交省の補助金「21緊促」で違法献金
- 違法献金は3年以下の懲役か罰金
- 不正補助金額ワースト1位は三井不動産
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国交省の補助金「21緊促」で違法献金
2004年~2007年の間に国交省の「21世紀都市居住緊急促進事業補助金(略称21緊促)」という補助金を受けた企業のうち、大手企業12社が、自民党の政治資金団体「財団法人国民政治協会」などに「違法献金」していたことが情報公開請求文書で判明した。
不正の舞台となった国交省の補助金「21緊促」は1998年に「21世紀にふさわしい、ゆとりある生活空間の実現を図るため」つくられた。一言でいうと、高級マンション向けの補助金である。
民間ディベロッパーがこれを受給するにはいくつかの条件がある。まず、地方自治体が直接交付する「優良建築物等整備事業」「市街地再開発事業」「住宅市街地総合整備事業」など再開発系の7つの補助金のどれかを受給していなければならない。それらの補助金に「上乗せ」する形で21緊促という補助金が出る仕組みになっている。
たとえば、「優良建築物等整備事業(略称 優建)」というミニ開発用の補助金を受給した会社があるとする。「優建」は、マンションの建設費のうち階段やエレベーターなど「共用部分」に対する補助金であり、21緊促は、この優建にかかる共用部分「以外」に対して支出される補助金となる。(他の6つの補助金の上乗せの場合でも同様)
たとえるなら、21緊促の単純な計算式は、マンション建設費が仮に100万円として、優建にかかる共用部分は20万円とすると、21緊促にかかる部分は100万円-20万円=80万円であり、21緊促の補助金額は、80万円に対して3、5、7%のいずれかの金額と定められている。
3、5、7%の補助率がどうやって決まるかというと、省エネなどの「環境・資源問題」や「バリアフリー」、避難場所・避難地として活用可能な空地の整備などの「防災安全性」、「都市緑化対策」の4つのうち2つ以上要件を満たした上で、耐熱仕様、床暖房設備、浴室暖房設備、緊急通報装置、断熱仕様、高強度コンクリート使用といった細かい仕様毎にポイントがついていて、これらのポイント加算に応じて7%を上限に補助率が決まることになっている。
実にややこしい補助金だが、要するに「高級マンション」になればなるほど、もらいやすい補助金なのである。この補助金を出した企業名や、年度毎の補助金支出総額を知るため、国交省に取材しても、「公開していないので教えられない。知りたい場合は情報公開して下さい」の一点張りだった。
そこで過去4年分の情報公開請求をしたところ、文書がわんさか送られてきた。そこでわかったことは、まず、21緊促の総支出額は2004年~2007年度の4年間で、総額105億8078万7千円。問題は、そのうち、政治献金を行っている企業に対する補助金総額が、なんと3割以上にあたる36億932万3千円にもなることだ
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三井不動産の国民政治協会への違法献金明細(04~07年分)
三井不動産の21緊促の交付決定通知文書のうち東京都分の3枚
三井不動産から送られてきた回答文書
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読者コメント
補助金を受けた三井不動産の政治献金は違法性が問われるべき、でいいと思った。
見返りという言葉は法律に対して記者が解釈を与える場合に使うのがいいと思った。
良い規範に反していることを強調するため、法律に解釈や説明がもっとあっても良かったと思う。
手間とカネのかかる情報公開をされて事実を発掘された筆者の労に敬意を表します。それにしても国民の税金がどう使われているかを知るのに「情報公開せよ」と一点張りで突き放すとは職務怠慢、不届き千万です。
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