小室哲哉が東アジアで破滅した理由
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- 香港「ROJAM」の失敗
- 2年で空中分解していた「TK NEWS」
- 「夜郎自大」で失敗
- 東アジア市場を過大評価する傾向
香港「ROJAM」の失敗
今回は、なぜ小室が東アジア市場で失敗したのか、その背景を探ってみよう。(文中敬称略)
まず、基本的な事実をおさえておこう。小室が東アジアで失敗した転落の始まりとして、よく日本のマスメディアが報道するのは、こんな図式である。「香港に設立した会社の株価が暴落、借金を抱えて事業に行き詰まった」。
確かに、小室は1998年、香港に、総合音楽プロダクション会社である「ROJAM」(MAJORを逆さまに綴った社名)を設立している。これはエイベックスと決裂した翌年だ。小室はエイベックスという強力なパートナーを失い、日本市場に見切りをつけざるをえなかったのかもしれない。あるいは古巣を追われて「世界市場で勝負して見返してやる」と思ったのかもしれない。02年までまだ小室は高額納税者に名前を連ねているから、それだけの豊富な資金もあったはずだ。
小室哲哉が上海に開いたディスコは社名そのままに「ROJAM」と名付けられた。豪壮な内装が有名だったが、訪問客らのブログを見ると評判はあまりよくないようだ。 |
こうしてROJAMは2001年5月に香港のベンチャー株市場「GEM」に株を上場するが、わずか2週間で公開価格の半値を割り、さらに下落。02年決算は12億円の赤字だった。結局04年5月、小室は持ち株を売却し、経営から撤退した。この時に約70億円の借金を負った。日本経済、毎日新聞など、そんな報道が多い。
筆者がどうしても腑に落ちないのは「ではなぜ、小室は東アジアでの音楽ビジネスに失敗したのか」という疑問である。この答えがどの報道にも出てこないのだ。
念のため指摘しておくと「株価が暴落したから借金を負った」という説明は矛盾である。株を担保に借金でもしていない限り、株価の暴落で経営者が借金を負うはずはない。株価の下落で含み損が増し、ROJAMのバランスシートが悪化することはありえる。が、それでも本業の音楽事業が順調なら、上場からわずか3年で全株式を手放してしまうほど急激に経営が悪化するはずはない。
本当は「株価が暴落したから経営が悪化した」のではなく「本業が不調だから株価が暴落した」のではないか。つまり小室は東アジア市場=中国文化圏で人気を集めるような楽曲や歌手を送り出すことができなかったのではないか。そして業績の悪化していったROJAMに個人資産や借入金をつぎ込んで(例えば、株価暴落後の2001年、当時の富士銀行は小室に10億円を融資している)、借金地獄に落ちていったのではないか。
(注)ROJAM社は08年11月20日付のプレスリリースで、株価暴落で小室が損失を被ったという報道を否定し「小室氏は創業者として当社の株式を保有し、上場前及び上場後に当社の株式を複数の第三者に売却しており、小室氏は当社への投資からキャピタルゲインを得ていると認識しております」と発表している。
2年で空中分解していた「TK NEWS」
実は、小室の「海外進出」はROJAMが最初ではない。1996年12月、メディア王ルーパート•マードックの「ニューズ•コーポレーション」と100万ドルずつ出資して香港に設立したプロダクション会社「TK NEWS」が始まりだ。
マードックは、西はエジプトから東は日本まで、視聴者2億2000万人をカバーする衛星放送テレビ「スターTV」を、香港を拠点に1991年から始めていた。その中に「チャンネルV」というチャンネルがある。音楽、スポーツ、ドラマ、トークなど若者向けの内容で構成された24時間チャンネルだ。マードック版MTVと考えてもらえればいい。50%をマードック氏が出資し、残りをソニー•ミュージックエンタテインメント(日本)、EMI(英)、ワーナー(米)、BMG(独)と、当時の世界四大レコード会社が等分に出資していた。
筆者は、この「チャンネルV」の音楽部長で、小室とマードック側の橋渡しをしたジェフ•マーレーに香港でインタビューしたことがある
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TKNEWSの唯一の成果。台湾を中心に行われたオーディション番組「小室魔力」(『ASAYAN』の台湾版)から出てきた当時13歳の台湾人少女•林楡涵を「Ring」という芸名でプロデュース、日本•台湾で同時にデビューさせた
「日本のレコード産業」2008年版より。中国+韓国+香港+台湾を合算しても、実は神奈川県と同じ程度の市場規模しかない。7億2000万円規模の市場への50億円投資は合理的とは思えない
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読者コメント
日本のJポップは海外じゃアメリカだろうと東アジアだろうと全然売れないのは一緒だからでしょ。頭悪いな。
記事の中身と全く関係ないUtada、それも東アジアマーケットと全米を一緒くたに
語る意味あるんでしょうか?
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