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人気の中小企業診断士 独立で「仕事選ばなければ食える」収入環境、いつまで続くかは政権のバラマキ次第

情報提供
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中小企業診断士登録証を提示するインタビュイー
 2015年11月実施の日経「取得したいビジネス関連資格」で1位となった中小企業診断士。2001年に10,025人にとどまっていた一次試験の申込者数も伸び続け、2009年には2万人越え。2015年も18,361人と、7年間、18000超をキープする人気ぶりだ。“骨となる経験とネットワーク”を築いている人にとっては独立の有力な手段の1つではあるが、多くの診断士が収入を国策に依存せざるをえない、という根本的な構造もある。実際に、どれだけ仕事上で役立ち、どのような人に向いていて、どれだけ「食える」資格なのか――。数年前に診断士の資格を取得したアラフォーの2人(資格取得後独立のAさん、公務員のBさん)に、その実情を率直に語ってもらった。
Digest
  • 民間IT企業勤務→独立のケース
  • MAX1000万円補助の「ものづくり補助金」
  • 時給5千円で派遣される「ミラサポ」
  • 地方なら、まだ仕事多い
  • TACのテキスト14冊、2年で受かった
  • 何重にも保険かけて独立、見えていた受注
  • 「お勉強大好き」な人には向かない
  • 診断士の収入構造とは
  • 価格破壊「年金診断士」との戦い
  • 自由を手に入れたが、休みもなくなった
  • 公務員にとっての診断士資格
  • 信金や商工会議所の組織内診断士も多い
  • LEC使い通勤時間の勉強だけで合格
  • 「○○総研」が相手にしない層が顧客
  • 現場を知ってる=中小企業診断士、でなければ…
  • 「6次産業プランナー」「買い物弱者対策」にも関わる
  • 成功しやすい診断士の特徴
  • “100年企業”を支える仕事

中小企業診断士は、中小企業支援法を根拠とする、国営の経営コンサルタント資格。だが、税理士や公認会計士等とは異なり、独占業務ではない点に特徴がある。つまり、この資格がなくても経営コンサルティング業務はやってよい。

ただ、診断士を持っていると、「国(経産省・中小企業庁)が中小企業政策を円滑に実行していく際に、国の手足となって、中小企業との間に入って予算執行手続きを代行し、手数料を得る」というビジネスをしやすくなる。すなわち、明示的ではないが運用として、国策遂行の際の「あっ旋」業務等で有利になるのが実態である。

毎年、どれだけの効果があるかは検証されぬまま、商店街の小売店やモノづくり下請け企業といった、中小企業に対してばら撒かれる税金。ざっくり言えば、そのうちの5~20%ほどが、診断士の手数料収入となりうる。

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2015年二次試験合格者の属性。年齢は30代、勤務先は民間企業が一番多い。

もちろん、別途、純粋に民間の仕事を手掛けるのも自由だが、国の財政および時の政権のバラマキ度に収入が左右されるという点で、公共事業依存度が高いゼネコン(およびITゼネコン)のような職種ともいえる。

民間IT企業勤務→独立のケース

中小企業診断士(診断士)の資格取得者は、民間企業が多く、二次試験合格者数ベースで65%を占める。年齢では30代が42%と、もっとも多い。そんな典型的な合格者像(30代民間企業勤務)の1人で、数年前に資格取得し、独立を果たしたのが、Aさんである(以下、Aさん談)。

診断士は、国の予算で食うのが王道です(※他に、セミナーなどで食えている人もいますが、ごく少数です)。現在は、アベノミクスの恩恵で仕事が増えているのは確か。現場の感覚としても、今は、国がめちゃくちゃカネ使ってるので景気がよいのですが、いつまでこのバラマキが続くかわからない、という不安があります。

診断士の資格をとると、「中小企業診断士協会」(一般社団法人)に所属することができます。年会費は、年6万円ほど。この協会は、たとえば「中小企業診断協会神奈川県支部」というように、都道府県ごとに支部があり、さらに「研究会」や「商品グループ」もあって、組織化されています。

国が中小企業政策を実行する際には、この診断士協会から、補助金政策の情報が来ることがあり、そこで発生する仕事を貰って、食っていきます。国の仕事を、診断士協会として受託して、それが配分されるケースもあります。

昨今の代表的な政策は「ものづくり補助金」。直近でも、経産省が2015年度補正予算で、中小企業の設備投資を促す政策として、前年度とほぼ同額の「1021億円」を計上しました。

 ものづくり補助金は例年、補正予算で1千億円超が措置されています(2012年度1,007億円、2013年度1,400億円、2014年度1,020億円)。

MAX1000万円補助の「ものづくり補助金」

ものづくり補助金では、中小企業が、最大で「1500万円投資すると1000万円の補助」が受けられますが、誰でも受けられるわけではなく、審査があります。通りやすい申請書と、通りにくい申請書があり、診断士が、この申請の代行業務を請け負うと、素人が書くよりも、通りやすくなります。

2015年実施の「ものづくり補助金」二次公募では、全国の採択率が44%とそれなりに競争が激しく、ほとんどプロが書いているので、採択をめぐる競争は既に「プロ同士の戦い」です。

結局、どれを通すかは、役人が雇った診断士等が、一次的な判断にあたっています。採点基準としては、まず、求められていることがどこに書いてあるのかよくわ からないものは×。通るものには、ストーリーと実現可能性があります。

補助金申請=事業計画を作る、ということ。資金繰り、売り上げ計画、今後5年分のPL(損益計算書)、事業内容、調達、 スケジュール、収益性、リスク、課題。だいたい15~16ページになります。

この申請業務は、1件やるのに、写真をとって、ヒアリングして、書類にまとめ て、申請の事務作業して…と積み上げていくと、私の場合、24時間以上かかることもあります。

 手数料は、たとえば1000万円の補助金を申請する場合は、まず着手金として

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中小企業診断士の年収分布(中小企業診断士協会アンケート結果より)

中小企業診断士が、診断士以外に保有している資格ランキング

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