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富士通辞めたら年収1.5倍に 20代年俸1千万円の文系出身元SEが語る「キャリアアップの踏み台として、よい会社だと思います」

情報提供
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2010年代、文系学部出身、プログラミング未経験で富士通にSE枠で入社。数年前にコンサル会社に転職し、年収は今年、大台に乗った。右は在籍当時の名刺の一部。
「長時間労働と、その割に安い給料が不満で、転職しました。今では残業も半減し、給料は1.5倍になったので、両方とも解消されました」――。システムエンジニア(SE)というと一見、難しい技術を理解するため理系のバックグラウンドが必要だと誤解されがち。だが、実際には文系学部出身でプログラミング経験なしでも、新卒なら普通にIT系(NEC、日立、NTTデータ…)でSE職としてポテンシャル採用され、ゼロから教育研修を受け、数年後には労働市場で引く手あまたなIT系職種の一員として市場価値を急伸させることも可能だ。富士通に新卒SE職で入社して4~5年で転職、現在まだ20代ながら年俸1千万円で大手コンサル会社に勤務する元社員に、富士通で働く上での、よいところも悪いところもフラットに語って貰った。
Digest
  • IT系にシフトする高年収職種
  • 「残業は美学」で“泥臭い鉄人”が模範
  • 5段階の基本給グレードとコンピテンシー
  • 成果主義じゃなくて「残業時間主義」に落ち着く
  • 「残業しないと稼げないので、成果主義ではない」
  • ショボい福利厚生

IT系にシフトする高年収職種

2000年前後まで長らく、「トップ昇進組が30歳で年収1千万円の大台に乗る」という分かりやすさから、旧都銀(現メガバンク)への就職がエリートサラリーマンの象徴とみられていた時代があった。2002年(金融再生プログラム)からの国費投入による不良債権処理と合併による支店減・ポスト減で、銀行の高給は抑制ぎみとなり、実際、みずほ銀で東大卒・入社8年目のトップ昇進組でも、840万円にとどまった(2005年時点)。

20年を経た現在、その地位はIT・コンサル系職種へと移っている(グーグルはじめテック企業エンジニアや、技術を理解し事業のデジタル化を提案&遂行できるITコンサルタントなど)。グローバルで遅れをとる日本企業・日本政府のIT導入は不可避で、今後もSI(システムインテグレーション)の人材ニーズが衰える理由は見当たらない。

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インタビュイー(20代)の現在の給与改定通知書。抜擢人事のない富士通でこの年収を得るには、あと十数年は待って管理職登用試験に受かる必要がある。

文系出身でも、SEの職に就くうえで難解な数学(微積分)の知識や物理・化学の素養は不要であり、実は門戸が広い。「富士通のSEは手厚い初期研修のほか、入社2~3年目まで協力会社の人にOJTでプログラミングを教えて貰うのが一般的ですが、全くプログラミングできない先輩社員も実際にいます。求められる役割が、多数の協力会社の人たちを管理するプロマネという別スキルだから、それでも勤まるんです」(元社員、以下同)

いったんSEになって経験を積んでしまえば、その後のキャリアは大きく開ける。

もし営業職からスタートしてしまうとSE職へのキャリアチェンジは不可能に近いが、その逆は高い付加価値になる。「SE出身の営業」、「SE出身のコンサル」は、より高い年収で処遇されやすい。20代で年収1千万円はまだまだ珍しいが、イケイケな会社では、その採用方針と個人の成果次第で、現実に可能となっていることがわかる。

「残業は美学」で“泥臭い鉄人”が模範

富士通は日本の法人向けITサービスでシェアトップ企業。資本と経営が「日本企業」である強みを生かし、安全保障上の理由や、顧客とズブズブな関係を築いてきた経緯と安心感から、官公庁や特殊法人・地方自治体・金融・証券・病院など、広い意味での公共インフラ系を中心に顧客を維持している。

その労働環境はやはり日本的で、長時間労働が定番だった。21世紀に入ってもなお、28歳SEが1か月に210時間を超える残業を強いられ過労自殺した労災事件も起こしている。「働き方改革」の昨今、改善されたのか。

「長時間労働の割に給与は高くない、というのが一般的な富士通若手社員の不満だろうと思います。残業しないと稼げないので、“生活残業”になっているのが実態。コスパが悪いんです」――。今も毎月のように富士通時代の同期と情報交換する元社員は、そう解説する。企業カルチャーは変わらないものである。

国会では、2018年の働き方関連法案成立によって、2019年4月から、労使合意の36協定を結んでも残業時間は年720時間までが上限、と規制がかかった(それまでは青天井だった)。

「同期の人たちを見ていると、年720時間の上限に到達する人が多かったです。自分もピーク時は月120時間の残業をつけたことがありますが、平均すれば月40時間くらいと、少ないほう。富士通には“残業は美学”のカルチャーがあり、“鉄人”として長時間働いてきた上の世代の人たちが模範とされます。顧客の要望に泥臭く応えるところが特徴だから、残業していると『頑張ってるな』と上司に声をかけられることが多かったです」

サービス残業を強制することはなく、ちゃんと申請して、長時間働いたうえで残業代をしっかり貰え、というのが富士通の流儀。この点は、サビ残が常態化し過労自殺がいまだに発生している三菱電機や、過労死事件前の電通とは異なるポイントだ。残業720時間といえば、新入社員でも年収100万円相当が残業代として支給されるため、1回のボーナスよりも断然、多い。仕事の成果ではなく、長い労働時間で報われるのが実情となっている。

5段階の基本給グレードとコンピテンシー

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富士通社員のグレード分けと、そのコンピテンシー要件

基本給のほうは現在、組合員で5段階のグレードに分かれている(左記の通り)。13年前の時点から変わった点は、「SP」という「一般社員の最高位」のランクが新設されたことだけ。当時から「G4」(旧6級)には20代~50代まで大量の社員が溜まり、課長になれない高齢社員が消化試合となり、そのモチベーション管理が課題だった。

そこで、

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富士通のコンピテンシー評価と給与テーブル

上:富士通の総合評価ランクの定義下:富士通の2020年度賞与とその内訳構成

富士通のキャリアパスと報酬水準

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50歳以上3031人2022/03/09 17:44会員
  2020/10/31 17:48
   2020/08/31 00:57
  2020/08/31 00:53
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