過労死発生の企業名を非開示 厚労省「出すと会社の不利益になるから」
審議に時間がかかっているとのことで「30日間延長」となった |
- Digest
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- 14万円超もかかる手数料
- 「本省には処理経過簿を出している」と労働局
- 労災補償課と企画室で公開部分を検討
- 項目名の開示すら検討した
- 「個人が特定されるおそれがある」根拠
- 「企業名を出すと会社の不利益になる」
- 厚労省は事業場の数も把握してない
- 石綿と内定取消しは企業名を一部公表したのに
- 合法的な手段では行政から情報を得られない
- 「労災補償課長」が黒塗りの責任者
厚労省の最新の発表によれば、2007年度に業務上で過労死を認定された件数は142件、過労自殺は81件だが、具体的な企業名や事業所名は隠されている。遺族が会社の責任を問うため「過労死訴訟」を起こすと、大企業の場合は記事になることがある(電通や富士通など)が、それ以外の場合、つまり99%超は闇に葬られ、世間に知られることはない。年に何十人も亡くなったり、何年も続けて社員が亡くなるような会社であっても、まったく公表されない。
そこで今年1月中旬、2003年度~2007年度の5年間を対象に、「脳・心臓疾患等」「精神障害等」の労災認定のあった事業場名を開示するよう、厚生労働省に開示請求を提出した。「脳・心臓疾患等」というのが、いわゆる過労死につながるもので、「精神障害等」が、いわゆる過労自殺につながる疾患である。
すぐに電話で連絡があった。「本省には、事業場名まで報告は上がってきていません。労働基準監督署で個別の事業所名を管理していますが、個別の事業所名までは上がって来ません。監督署から記者発表のための数字だけ出してもらっている状況」(厚生労働省労働基準局労災補償部補償課職業病認定対策室クワバラさん、電03-5253-1111内線5569)だという。
労基署は厚労省内の組織なのに、省内もタテヨコに割られており、窓口として省内の文書を取りまとめてくれることもないことが分かった。本省への開示請求は取り下げるしかない。平成19年度に全国で労災認定(死亡含む)のあった「脳・心臓疾患等」は392件、「精神障害等」は268件と公表されているが、これらすべての具体名は厚労省本省には集約されていない、というのだ。
クワバラさんから、開示請求する機関は「各地の労働局」であるとの助言を受け、2009年1月16日付で、東京労働局に対して、同様の請求を出した。47都道府県の労働局から東京労働局を選んだのは、2007年度の労災認定件数が「脳・心臓疾患等」60件(2位は大阪府で46件)、「精神障害等」50件(2位は神奈川県で26件)とも全国最多だったからだ
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行政文書開示決定通知書。東京労働局労働基準部労災補償課のハマさんは「企業名を出すと会社の不利益になるので」と説明したが、この正式な通知書には別の理由がタテマエとして書かれており、胡散臭い。
いわゆる過労死の労災認定が一覧で記された文書
こちらは、いわゆる過労自殺の労災認定が一覧で記された文書
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読者コメント
厚生労働省を分割する案が出ているようですが、結果としてちゃんと過労死、過労自殺、自殺者数、労災件数、派遣切り、偽装請負が減っていけば良いですね。期待しています。
以前から弁護士、川人博さんが過労死、過労自殺、労働行政について著書で詳しく書かれています。
形だけはあっても、白書や資料のためにデータばかりが活用されているというのでは、〇〇生活センターと似ていますよね?企業側に有利なことが審議会でどんどん決まっていたり、官僚や省益に不利なことは骨抜きにされることがあるらしいし、企業献金や〇団連の影響もあっての現状ということではないでしょうか?(推測)
日本には雇用者や労働者の利益を守るための雇用政策とか労働行政とかといった行政分野はないのですね。これは官僚支配云々というよりも政治の問題ではないでしょうか。
過労死などは企業による殺人で、日本もいつのまにか蟹工船や女工哀史、ディケンズの描いた資本主義草創期のイギリスのような状況にもどっていsまったようですね。
省令や審議会の内容は国民にあまり伝わってこないのが現状ではないでしょうか。そして、企業や官僚に対する厳しい罰則などがあまり無いことこそが問題でしょう。
次の選挙で決めましょう。
もう こんなことで
フェアではないことはやめましょう。
社名の公表は当然だろう。
ただ それを知ってどう その会社と付き合うかは国民の判断にゆだねられるのが成熟した大人の社会だ。
国民の責任です。行政は法に則って動くのみです。法を作る政党を選ぶのが国民の責任です。全ては日本人が政治的に馬鹿だから、必要な法律を作る政党を選べないし、そういう政党も成長しない。
国民は馬鹿なのだろうか?
今まで自民党がなにをしてくれたのか?
金を摂取するだけして、やったこと、やろうとしてることは、これ以上の増税、介護の必要な人への支援切り、もう自民党はいらないだろ。
小沢代表の件で自民党に転んだ方、今まで自民党がなにをした?
なんとか還元水で自殺、酩酊会見、内閣総理大臣職の放棄。
政権を自分たちから放棄している政党に、政権を持たせる必要はない。
しかし行政はどこまでも企業の味方。一般国民のことを本当に考えているのか?
合法的に知ることが出来ないとは。
国会議員は是非動いて欲しい。過労死ってことは企業に責任があるわけで、人を死に追いやる企業を匿うこの国はいったい何だ?
自民党は世襲制なんてどうでもいいからこういう問題に着手すれば票が取れるだろうに・・・。
頚性神経筋症候群(けいせいしんけいきんしょうこうぐん)という病気の慢性化と重症化が多くの過労死や過労自殺の原因となっているかもしれません。
企業の不利益より、労働環境の整備が国にとっては重要なのですね。
厚生行政は昔から薬害、労災不認可色々と国民を苦しめる事が仕事です。企業あっての日本国ですから政策に抵抗する国民がいたら軽く流すし平穏に見せかけるだけです。政策等に特にマスコミなどが協力しますから。
郵便事業会社でも毎晩仕事で激務で、血圧とか精神とか悪くなってる人たくさんいます。民営化で仕事きつくなるばかりです。新入社員ははいってこないし、この10年
日本は本当に民主主義国家なのだろうか?税金を使っている組織の情報は出来る限りの公表をすべきである。企業は公器という意識がないのだろうか。このような情報まで非開示とは非常に残念である。
厚生省は悪質企業を叩くどころか、殺人を合法的に許可しているように感じる。誰かの生活を善くするために、誰かの人生を犠牲にするのは構わないんだろうか。
公務員に何かを期待しても無駄ですね。
それなりの対応をするのが一番です。
どうしてもという場合は頭を使いましょう。
公務員側も、ただでさえ世論から批判を浴びているのだから、隙を見せないように対応を改めるべきでしょう。
大手企業で病気や過労死になっても公表されないのは、このような慣習や仕組みがあったからなのですか。さらに、違法な労働やその契約は、子会社や派遣会社などでそれぞれの『個別の事案だから』とすることで公表もされないですね。そして企業側は、隠したい事(労災、過労死、偽装請負、ピンハネ率、いじめ、奴隷扱い、契約)を口止め署名させたり、社外秘にして隠そうとするわけです。
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