内定取り消し企業名「事実上公表なし」 学生の立場無視、企業と癒着し権限拡大する厚労省
内定取り消し数。企業の立場で考える厚労省は、無意味な統計数値しか発表しない。数字遊びで税金無駄遣い |
- Digest
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- 172事業所の企業名隠す理由なし
- 「公開にかかわる法律がないから非公表」
- 茶番の政策決定
- 政治のリーダーシップゼロ
172事業所の企業名隠す理由なし
日本綜合地所が53人に対し100万円ずつ支払うことになるなど、内定取り消しが相次ぎ、行政も対応を迫られた。厚生労働省の調べでは、172事業所、769人が取り消しにあったという(2008年12月19日現在、上記)。
企業の立場でモノを考える厚労省は、相変わらず合計の人数と合計の事業所数など、数字しか公表していない。これでは生活者たる学生にとっては、まったく何の役にも立たない。具体的な企業名が分からないと対策の取りようがないのだ。
税金で集めた情報が、なぜ隠されねばならないのか。これでは税金の無駄遣いだ。一方、内定取り消しの事例を取り上げる週刊誌もあったが、広告がほしいために「一部上場企業」などと表記し、やはり企業名は隠されている。国全体として生活者より企業の視点でモノを考える仕組みが骨の髄まで染み付いている。
企業名が明らかになれば、日本綜合地所のように100万円を支払うなど、それなりの対応をせざるをえなくなるが、隠されているうちは1円も払わないだろう。国民や学生にとっては公表されたほうが利益になる。企業にとっては不祥事だから、公表されたくない。これは、生活者と企業で利害が反する場合に、どちらの立場で行政を運営するか、という「国のかたち」が明らかになる問題だ。
「公開にかかわる法律がないから非公表」
厚労省職業安定局に具体的な企業名を教えるよう電話で尋ねると(ナカヤという人物が対応)、予想どおりの返事であった。
――企業名を知ることができないと、学生としても対策の取りようがないと思うんですが。
「風評被害など、企業側の利益にかかわる問題もありますので」
――嘘を発表したら風評になりますが、これは事実ですから。なぜ企業ではなくて国民の立場で行政ができないんですか?
「一方的に公表することはしない、という決まりになっているんです」
――我々の税金で集めた情報なんだから、公開しないのなら税金の無駄遣いです。情報公開法の理念にも反します。公開しないなら、その法的な根拠を示してください。
「国家公務員法で、職員が職務上知りえた情報は勝手に公開できないですし、個人情報保護法もありますので」
――別にプライバシーにかかわる話を聞いているんではないです。企業名がなんで個人情報なの?法的根拠を教えてください。
「いま、公開にかかわる法律がないので、1月7日に審議会に諮って決めることになっています。労働政策審議会の職業安定分科会です。」
――法律がないのなら、情報公開法の理念に則って、原則公開が当然でしょう。なぜ勝手に原則非公開にしているのですか?
「ですから、公開する基準について審議会で議論していますから」
そして、ループが始まる。役所の人間と話していると、宗教が違うがごとくで、分かり合えない。国民・生活者の立場で考える正義は、企業・官僚の立場の利権とは、まったく折り合わない。役所は国民の立場では絶対に考えないのだ。
彼らの考えでは、1つ1つ、省令で公開の基準を作らない限り公開はしない、原則として行政情報は非公開だ、という。役所の情報隠匿体質はまったく昔から変わらない。情報を囲い込むことが役所の権限につながるからである。たとえば「うちの裁量次第で不祥事の情報を公開してもいいんだよ」と企業を脅して、天下りを受け入れさせることができる。
こんなもの「即日、全部公開」が当り前なのであって、ウェブサイトに172の企業名を載せれば、それでおしまい、という話だ。どうして税金を無駄遣いして審議会など開いているのか。こんな調子だから、財政が厳しくなるのだ。「行政情報は原則公開」を徹底すれば、税金の無駄遣いを減らせる。
茶番の政策決定
そして、審議会に諮るという1月7日。厚労省が作った草案は、職業安定分科会にて、何の修正もなく了承された。それはそうだ。厚労省が選んだメンバーなのだから、厚労省に反対するわけがない。茶番だ。修正しないのなら、彼らの役割はいったい何だったのか。だから「審議会は官僚の隠れ蓑」と言われるのである。
了承された厚労省の役人が作った職業安定法の改正案は、右下のとおり。公開の条件は、下記のどれかに該当した場合だそうである。
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そもそもの目的が公開なのに、厚労省が作って追認された案では完全に骨抜きにされ、事実上、公開しなくてよいばかりか役人の権限が拡大。いつものパターンだ |
「十分な説明」など、相変わらず役人の裁量権を残した内容で、ほとんど該当しないよう、基準を緩くしている。172の企業のうち、ほとんど当てはまらないか、または本当に悪質な一部のみ該当で、企業側が少し方便をつかえば公開を避けられる「事実上、公表なし」の内容といってよい。まったく学生にとっては役に立たない基準だ。
たとえば、「2年連続で取り消し」は1年ならやっても公表されない、ということだし、「10名以上」は、9人までなら取り消してもお咎めなし、というメッセージだ。「事業活動の縮小」など、内定を取り消すような会社では当り前。「十分な説明」「支援を行う」など曖昧な形容詞モノは、簡単にクリアできる。
しかもマスコミがこの骨抜き決定を無批判に垂れ流し、PRしている
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「妥当と認める」と役人の原案をそのまま無批判に何の意見もつけずに認めた分科会長の大橋勇雄氏。「妥当」と言うだけのラクな仕事だ。役人にとって都合のよい典型的な御用学者。
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厚労省職業安定局
相変わらず
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読者コメント
政府は企業から多くのお金をもらっているので企業のいいなりです。これが日本の政治です。私も過去に平の職員の時に沢山接待を受けました。これでお分かりになると思います。
もう特定の集団が情報を握って社会を操作する時代でもないのに相変わらずの年老いた老人が考えたような発想だ。
こういう一般市民社会に背を向けた集団は消えるべき
体験談です。
厚生労働省に公益通報した。
しかし、その後、連絡が無い。
本省窓口に出向いた。
それでも、担当部署職員は面会(当方の情報提供)に応じようとしない。
マスコミさんは記者クラブにおいて、『特落ち』というのをされることが怖いらしいですね。広告費削減、スポンサー降りなどのやり方とどこか似ているようですね。〇〇局も〇〇生活〇〇ターもどこか似た感じがしてしまうのはなぜだろうか。
そもそも企業は採用計画をたてて、採用活動をして最終的に内定を出すんです。
つまり、内定を取り消すというのは経営能力がない表れなんです。名前を公表すべきでしょうね。投資家から見てもそういう経営能力ない会社は投資する際の参考資料になる。
「さらば財務省!―官僚すべてを敵にした男の告白」
この本を読むと官僚がどのように自分の都合の良い意見を御用学者に出させているかわかる。所詮官僚だった人間にしか中のことがわからないというのがよくわかる、外にいるマスコミは中身がわからないから切り込むことができないという現実。
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