障害者雇用、最悪企業は日本郵政 ニッセイ、損保ジャパン…保険会社上位に
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障害者雇用不足数ランキング ワースト30社 |
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- 「企業名を公開する必要性がない」と厚労省
- ワースト1位は日本郵政
- ワースト2位は富国生命、保険会社が上位に並ぶ
- ワースト3位は介護のニチイ学館
- 日経平均銘柄の3分の1が違法
「企業名を公開する必要性がない」と厚労省
不況の波が押し寄せる中で「派遣切り」や「内定取り消し」「正社員リストラ」など「雇用悪化」が問題になっているが、障害者の人々は不況以前から、ずっと高い失業率に見舞われている。
こうした最底辺の社会的弱者と位置づけられる側の視線に立って労働環境を変えていかない限り、多くの人々が抱く「雇用不安」の根本的な解決は不可能だろう。雇用のセーフフィーネットを含め、今よりも人に優しい雇用環境にしていくためには、障害者の雇用の実情を知る必要がある。
障害者の雇用は、民間企業では、法定雇用率1.8%が基準とされ、未達成の企業にはペナルティとして1名につき1カ月5万円(常用労働者数が301人以上の企業)の“罰金”が課せられる。
厚労省は法定雇用率の状況を毎年11月下旬頃に公開するが、統計データのみで、企業名は伏せられており、雇用率が低い企業に対しては裏で行政指導をする。企業名を公開するか否かは役人の胸先三寸とすることで権力の源とする、という裁量行政だ。障害者雇用を促進するためには、厚労省のWEBに全て企業名と数字を載せるのが最良の方法であることは言うまでもない。
厚労省が個別企業の実態を公表しないことについて、筆者は厚生労働省の担当課に「個別の企業ごとの法定雇用率の未達成状況を教えてほしいのですが、よろしいですか?」と聞いたところ、「情報公開請求をしてください」と言われた。
--税金を使って調査しているデータなのだから、情報公開ではなく、ふつうに公開すべき情報ではないですか?「企業名を公開する必要性がないと考えているから、どうしても知りたいなら情報公開してください」(厚労省担当者)
役人は、障害者雇用の促進よりも、自らの裁量権を保持するほうを優先する生き物だ。「公開の必要性がない」の一点張りで埒があかないので、「情報公開」を請求することにした。
法定雇用率の未達成率の情報公開は、厚労省の出先機関である各都道府県の労働局に、情報公開請求しなければならない。これだと、全国の情報を知りたい場合、49都道府県に請求しなければならない。
政府に対して情報公開請求をする場合は、一件の請求につき、300円の収入印紙をつけて80円切手を貼って郵送しなければならない。つまり、請求するだけで2万円近くかかってしまう。その後の文書の公開手数料や郵送料などの追加料金を合わせると、少なく見積もっても5万円、多い場合は10万円以上かかる可能性も出てくる事態だ。
そこで、政令都市を抱える自治体と東京都の計14都道府県に本社を置く企業の障害者雇用の実態を情報公開請求して取り寄せ、表のような「悪質ランキング」を作成した。
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ワースト第1位の日本郵政について記載されている、東京都の情報公開請求文書。![]() |
ワースト1位は日本郵政
集計し作成した「障害者の雇用不足人数の多い企業のワースト10」が上記の表である。ワースト第1位は、日本郵政だった。
日本郵政がトップになった理由としては、雇用している労働者数の母数が36,872人と、情報公開請求で出てきた他の会社と比べ、とてつもなく人数が多いことが挙げられる。民間企業の障害者雇用の法定雇用率は一律1.8%と決まっているので、雇用する労働者が多い企業ほど、多くを雇い入れなければならない。
だが日本郵政は雇用率1.63%と低調なため、結果的に466人も雇用が不足するという事態になっている。
しかも日本郵政(株)は、少し前まで省庁の一部で、今も政府が株式をすべて保有する、政府の100%子会社である。にもかかわらず、他の追随を許さぬダントツの雇用人数不足という点で、通常の民間企業に比べ、二重に悪質といえる。政府は自分で作った法律を、自ら破っているということだ。まさにワースト1位にふさわしい悪質な企業といえよう
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上:障害者雇用悪質ランキングワースト100社下:人材派遣業界の悪質ランキング
日経平均銘柄障害者雇用ワーストランキング。ワースト企業は損保ジャパンだった。
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読者コメント
障害者雇用率のマジック
障害者雇用率とは「1事業所の常用労働者数の対して2%」。
分母が大きいほど障害者の雇用数が多く必要となります。
全国に事業所のある会社で登録が一括していると障害者の雇用必要数が飛躍的に大きくなります。
日本郵政の労働者数33万6千人はおそらく田舎の郵便局の職員も含めた数です。
その集計で1.63%はむしろ健闘していると思います。
確かにマスゴミに社会的弱者のことを言う資格ないですね。日本の新聞・テレビは笑わせるのもいい加減にしてほしいです
水増し報告している企業もあると思います。偽装している会社も調べてほしいです。ハローワークでよく見かける企業ですが、実際は採用してなかったのですね。ハローワークももっと指導してほしいです。
「障害者の利権に甘んじ業務の意味すら分らず就労」というのは業務の意味を教えずに働かせているということか。21:38 04/03 2009よ、君は同じ障害者として傍観していただけか。それともハナシまるごとウソか。ウソなら、投稿者は小心者のクセにたまの発言が人の怒りをピンポイントで買う損な奴なのか。幸い、現実からの跳ね返りはないだろうから、笑えないいたずらはせめてここだけ、今回だけにしておけ。
下記の「障害者」様はどのような事業所で就労なさっていますか。郵政の温情を強調し、他にもひどい企業があると免罪する一方、就労上の困難を抱えていると思しき障害者を利権に甘んじているなどと非難する言い草は、単なる言葉のアヤか、障害者への侮蔑か。怒りをスタンバイさせつつ、でも私の誤解の可能性に一縷の望みも託しながら、貴殿のファクトご提供を待ちます。文末の読点に、フリー公務員の書き捨てでないことを祈りつつ。
障害者を雇用するのは本当に大変なことです。障害者として、障害者を雇用している事業者には頭が下がります、中には障害者の利権に甘んじ業務の意味すら分らず就労している者も多いと感じます。ここでは郵政を叩いていますが、雇用率はかなり高いのです、本来ならば郵政に目を向ける前に雇用率の低い=障害者雇用をする気の無い事業者を調査し批判すべきではないでしょうか?
日本郵政の社員は大体元公務員ではありませんか? 国の省庁はほとんど雇用率は満たしていたはずで、民営化のどさくさまぎれに障害者を狙い撃ちにしてリストラした、ということも考えられます。民営化前後の雇用率や雇用人数の変化を調べてみてください。
エコだ、社会貢献だとええ格好しても、「人」のことを考えない企業がこんなにもいるとは。ひどいもんです。
それにしても日本郵政、いったい何を考えているのか。雇うより罰金払った方が安いんだろうけど、こういう所で働いている人は、自分の職場に誇りを持てるんだろうか?
例えばですが、派遣会社のピンハネ率、偽装請負していた企業名を、同じように情報公開請求をすれば資料が出てくるしょうか。
障害者の雇用が数値目標も含めて法で定められているとは知りませんでした。その上で、運用に関してはいつもと同じ、”よきにはからえ”で都合の悪いことは流さない。誰のための制度!?
貴重な知識をいただけて感謝します。
罰金は一人に付き公務員の平均月収にすればいい。
労働行政は現状追認が多いようですね。大企業側にただただ都合の良い仕組み(現状)ができてしまっていることは、労働者にとって不利益なことでしょう。あまり知られていない労働行政に関する記事を書いてくださった記者の方に、感謝します。
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