警察によって割られたYC水呑(読売新聞販売店)店舗の窓ガラス。警察を呼んだのは、読売関係者である。
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2008年4月、読売の販売店であるYC水呑(広島県福山市)の窓ガラスが割られ、顧客情報が持ち去られたとみられる事件が発生した。情報管理者である店主に無断で侵入したのは、なんと読売側と結託した警察官だった。真相を解明すべく元店主が情報公開を求めたところ、大半が黒塗りになった書類が出てきた。後ろめたいものがなければ公開できるはず。背景を探ると、警察と新聞社の癒着関係が見えてきた。
【Digest】
◇黒塗りの書類
◇窓ガラスを割ってYC店舗の中へ
◇読売関係者が警察を呼んだ理由
◇警察と読売新聞の協力関係
◇礼節と品位に欠ける警察
◇黒塗りの書類
最初に窓ガラスを割ってロックを解除し、窓からYC(読売新聞販売店)の店舗に入ったのは、派出所の警官であるという複数の証言がある。これが事実だとしたら、警官と読売の共犯だ。その警官は、店舗の内側からドアの鍵を外し、表で待ちかまえていた読売関係者を、中へ入れたという。
しかし、この事件についての情報を福山西警察署(広島県)が開示しないため、この件に関する警察の公式記録は分からない。窓を壊された元販売店主が警察署に対して行った情報公開で入手した書類も、その大半が黒塗りになっていた。従って書類から、警察の対応はほとんど読み取れない。
改めて言うまでもなく公共機関に対して情報公開を請求することは、住民の権利として認められている。しかも情報公開を求めたのは、被害者のYC店主本人である。
「Yahoo!百科辞典」は、情報公開制度を次のように説明している。
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広義では、行政機関などが保有する情報を外部に公にするすべての制度をいい、狭義では、行政機関などが保有する情報を請求に応じて開示することを行政機関などに義務づける制度である。
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◇窓ガラスを割ってYC店舗の中へ
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警察により黒塗りにされた情報公開資料の一部。これでは情報公開の意味がない。
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このYC水呑の事件には、日本の権力構造が影を落としている。一般的に新聞は権力を監視する役割を担っていると考えられてきたが、現実には権力を持った機関の広報部として機能している。だから権力とも原則としては敵対関係にはならない。それどころか新聞社が権力の広報部として機能し、その見返りとして、さまざまな便宜を受ける構図があるようだ。
たとえば住民が非常な迷惑を被っていた新聞の暴力拡販になかなかメスが入らなかった理由として、警察と新聞社の間にある「情交関係」が一因だという仮説もある。
そもそも広島の事件はどのような性質のものだったのだろうか。関係者の証言をもとに概要をたどってみよう。
事件は2008年4月17日に広島県東部にあるYC水呑(福山市)で起こった。発端はYCを経営していた女性店主・門田由美子さんが、経営に行き詰まって朝刊の配達拒否を決行したことである。販売店経営を断念したのである。
当時、同店で門田さんのもとで店長を務めていた武田彰(仮名)さんがストライキの前夜について話す。
「門田さんが、明日は朝刊を配達しないと言うので、わたしは配達スタッフに意思を確認しました。スタッフたちも同意して、翌日の朝刊の配達を拒否することにしたのです」
門田さんはドアに鍵を掛けて店舗を後にした.....この続きの文章、および全ての拡大画像は、会員のみに提供されております。
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鍵をこじ開け、壊された机の引き出し。中にはMOが保管されていた。
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店舗の内部の様子。印刷したデータ用紙が散らばっている。机の上にも書類が雑然とある。
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