古川VS土井「愛知11区」献金ランキング。トヨタ労祖の政治団体「全トヨタ政治に参加する会」が2億4500万円と圧倒的に多い
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次期衆院選300選挙区のなかで労組を支持母体とする候補者といえば、トヨタの本拠地「愛知県第11区」のトヨタ労組出身、民主・古本伸一郎氏だ。03年衆院選では181,747票と全国最多得票を獲得し、05年の郵政選挙も逆風のなか約3万票差をつけ当選。通常、選挙に出るとなれば会社を退職するが、古本氏は今でも課長級の現役トヨタ自動車社員で、国会ではトヨタ経営陣の忠実な代弁をする「車のセールスマン」のような発言が目立つ。労組ビル内に事務所を構えながら「事務所費」として年2千万円超を支出するなどカネの流れも不透明だ。
◇トヨタの国会担当セールスマン
◇与党の景気対策を強力援護
◇トヨタのエージェント
◇労組ビル内なのに「事務所費」2000万円超
◇NHKを「料亭」接待
◇中部電力労組も接待
◇トヨタ下請け企業が土井氏に献金
◇トヨタの国会担当セールスマン
次の総選挙で古本氏は、05年と同じく自民の土井真樹氏と対決する予定。そこで有権者の判断材料の1つにするため、両陣営の勢力を政治資金面からチェックした。両候補の政治団体の過去3年分(05~07年)の献金とパー券金額をランキングしたのが上記の表である。
表のように古本氏はトヨタ労組の政治団体からの献金が2億4500万円とダントツ。一方の土井氏は、派閥やトヨタの下請け部品会社からの献金が多い。以下、古本氏から詳細に見てみよう。
「全トヨタ政治に参加する会」とは、トヨタグループの労組を束ねる「全トヨタ労働組合連合会」(組合員数は08年時点で30万6千人)の政治団体。古本氏は1987年にトヨタ自動車に入社し、1994年に労組に入り、03年から衆院議員になっている。民主党では国会対策副委員長、「次の内閣」金融担当副大臣、政策調査会副会長などの役職を務め、国会では国土交通委員会、財務金融委員会、などに所属してきた。
それにしても2億円以上もの献金をするトヨタ労組とは一体、どんな政策を要望しているのだろうか? 古本氏のHPを見たところ、労組の会合に出席という情報は頻繁に載せているが、肝心の労組の政治的要望と、それに応えてどのような議員活動をしているのかがよくわからない。
そこで古本議員事務所にその点を質問した。しかし、無回答だった。「全トヨタ政治に参加する会」は担当者不在の一点張りで、「全トヨタ労働組合連合会」に聞いても納得のいく説明はなかった。
2億円以上も献金する狙いが一向に見えてこない。そこで、古本氏の国会質疑を調べてみた。すると、随所でトヨタ経営陣の忠実な代弁をする車のセールスマンのような質疑をしていることがわかった。たとえば、今年2月20日の衆院予算委員会で、鳩山邦夫総務大臣(当時)に古本氏はこんなこと言っている。
「車を買ったときに取得税、車庫に置いているだけで重量税。それから、自動車税は、走らせたときにガソリン税、軽油引取税。これはもう大概にしてほしいというぐらいかかっているんですよ。(略)車が欲しくても買えないんです。(略)健全な物欲だと思いますよ。だけれども、先立つものがない中で買えないんですよ。そこで追い打ちをかけるように(略)自動車ユーザーという特定の人だけから取った税を一般財源化するということは、(略)ますます車が売れなくなりますよ」
要するに、車にかかる税金が高過ぎて車が売れない。ましてや、ガソリンの暫定税率を廃止もせず、その財源を自動車ユーザー以外のための一般財源にするなんていうのは「ますます車が売れなくなる」ので言語道断というわけである。
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古川VS土井「愛知11区」資金比較。 |
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◇与党の景気対策を強力援護
また、古本氏は今年4月8日の衆院財務金融委員会では、「エコカー減税」についてこんな発言を与謝野馨財務・金融担当大臣にしていた。
「けさの報道なんか見ていましても、事実上の自動車業界救済とか保護主義の懸念とか、いろいろな記事が躍っておりますけれども、実は(略)、車齢が十年以上のお車というのは、日本の道路を走っている中で大体四割ありまして、その車が仮に、今走っているような最新型のクリーンエネルギー(略)に代替をしていただいた場合には最大で、CO2の排出削減が一年間一千万トンできるという試算もあるんですね。(略)政府・与党の追加経済対策、この国会にも五月にお出しになる予定だと聞いておりますので(略)、必ずこのことはエンジンになると思いますので、またよろしくお願いをしたい」
要は、不景気でトヨタも赤字となったが、エコカー減税で車買い替えにインセンティブを働かせれば、温暖化防止にも役立つので一石二鳥。だから、政府、与党には何としても、トヨタのためにもこの政策を実現させるよう「よろしくお願いしたい」と国会で強く訴えているわけである。
このように車が売れるための政策をあらゆる機会を捉えて主張する様子は、まるでトヨタの国会担当セールスマンのようだ。
◇トヨタ経営陣のエージェント
あまりのセールスマンぶりに、古本氏は労働組合の代弁者というより、まるでトヨタ経営陣のエージェントにもみえる.....この続きの文章、および全ての拡大画像は、会員のみに提供されております。
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NHK名古屋放送局、中部電力労祖との料亭懇談会の支出明細 |
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07年の土井氏の政治資金パーティー券の購入業者。トヨタの下請けがズラリと並ぶ。 |
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