「黒薮との関係は一切断ちます」朝日新聞、念書で口封じ
![]() |
口封じのための念書。「私、北川朋広の進退につきましては、一切お任せいたします。又、黒薮との関係は一切絶ちます。5月1日に黒薮に連絡いたします」と書いてある。 |
わたしの手元に新聞社の体質を象徴する一通の念書がある。これは内部告発の口封じ、あるいは言論弾圧の証拠でもある。
|
念書を作成したのは、当時、「ASA宮崎大塚」(宮崎市)の店主で、経営に行き詰まっていた北川朋広さんである。この念書と並行して、北川さんはもう一通の念書を作成している。それは未納になっている新聞代金の支払いを履行することを誓った上で、朝日新聞社に対して、「約束を履行できない場合は、廃業することを誓います」と述べたものだ。
![]() |
朝日新聞の「押し紙」。朝日新聞の販売会社の店舗で撮影。自社の販売会社の「押し紙」であるから、「知らなかった」とは言えないはず。![]() |
もちろんこれら2通の念書は、朝日の販売局員の指示に従って作成された可能性が高い。みずからを不利な状況に追い込む内容の念書を、販売店主がみずから作成するはずがないからだ。事実、北川さんは、念書を書かざるを得ない状況に追い込まれたと話している。
新聞社は公正や社会正義を基調としたジャーナリズムの上に成り立っている。実際、記者の中には少数ではあるが、真っ当な報道活動を展開している人もいる。
その一方で、新聞社は金銭欲を剥き出しにして利益を追求する企業としての側面も備えている。北川さんが作成を強いられた念書は、その一面を反映する典型例にほかならない。
◇悪質な口封じ初めて北川さんがわたしにコンタクトを取ってきたのは、2007年の暮れだった。自店の経営が悪化して、誰に相談すべきか悩んだ末に、ウエブサイト・新聞販売黒書で公開しているわたしの電話にアクセスしたのである。
販売店主は法的には経営者なので、労働相談の窓口を見つけるのはなかなか難しい。弁護士に相談するにしても、複雑な新聞の商取引を理解できる弁護士は限られている。そこで相談先として、新聞販売黒書の主催者であるわたしを選んだのだ。
北川さんと朝日の関係を過去にさかのぼると、新聞社の「2つの顔」が浮かびあがってくる。表向きはジャーナリズムの看板を掲げているが、中身は利己主義を剥き出して利潤を追求する企業である
この先は会員限定です。
会員の方は下記よりログインいただくとお読みいただけます。
ログインすると画像が拡大可能です。
- ・本文文字数:残り3,779字/全文4,731字
ASA宮崎大塚の部数内訳。「発証部数」は、読者に発行した領収証数。「S部数」はサービス紙。
朝日新聞社に対する筆者の質問状(上)と、朝日新聞社からの回答書(下)。
Twitterコメント
はてなブックマークコメント
facebookコメント
読者コメント
この記事には、多くの新聞販売に関わってる方がアクセスしています。一般の読者と違って切実な問題として捉えてる方々が評価を与えてるためだと推測されます。一般読者と販売関係者との感覚の違いだと思います。
今週号の週刊金曜日にも逆ギレ芸を見せる理不尽な会社=セブンイレブン、ゼンショー、ベルリッツ、KDDIエボルバ、阪急トラベルサポート、オリンパス等の記事がある。働く者を巧妙なシステムで絡め取り用意周到に追い詰めるならまだマシで、想像力の欠如した「子ども」が責任も取れないクセに人の人生を破壊している。怒りを忘れるほどの非道さだ。この念書を書かせた連中、ハダカにされたらPTSDという逃げを打つなよ。
以前、しばらくの間
ASAの主任として、勤めさせて頂きましたが、北川さんが、念書を書かされるのも、うなずけます。本当に新聞業界って汚い(他の新聞社は、わからないですけど)理不尽な事、北川さんがコメントしてる事等、ASAでは、そう思いました。店主様には、非常にお世話になりましたが自分は、辞めさせてもらいました。
北川さん頑張って下さい。
私も最近このブログを見るようになったんですが。
いろいろな書き込みを見ると、新聞社の連中はかなりたちの悪い連中ですね。
全国紙・地方紙の販売店に機械営業、修理等で訪店する社員に本社とか折込センター、他店の悪口は完全禁句です、地下では深く深く情報が交わされ常に改廃の店を企画され業者に前もって機械の買換え等含めて蜜に協同作戦を実行されて機械買換えの為、販売店主の首切りに加担しております。本社、担当と仲良しの営業には特に注意。
黒薮さん、全国の専業社員は、あなたの活動を心より支援し、期待しています。
次の国政選挙に立候補してください。そこでマイクを持って「押し紙」の実態を暴露してください。
九州では泥舟から沈む前に、脱出を図る販売店主が続出中です。北川さんの件は、九州のASAで知らない店はありません。福岡でも大物店主が廃業したし、長崎市及び近郊では店主から見切りをつける店が続いて、ついに個人経営店は1店のみになった。すべてを失う前に決断して良かったとの声。
念書まで作成させるとは。きっとこのような対応マニュアルがあるはず。公開されたらどう対応するのだろう? 奴隷扱いからパートナーへなる日は来るのだろうか。
拡材,拡張員の事は,取材しないの?バク,テンプラ,オキカン,カツカン,アトバク,ヒッカケ,てな~んだ。真面目にやってる専業がバカみてる.新聞店の苦情書き込みが目立っけど、本当は、誰が悪いと思います.専業は.配達中もそうだし、集金に行けばお客さんに会うんだから悪い事しないよ. 感謝される仕事に変えたいな.
通り何とかへ、
自分も毎日新聞社や担当員を非難しながら、しかし部数が減ったら従業員がかわいそうと言うのは女々しすぎる。
不買運動をされて反省や改善をして立ち直り、以前にもまして大きな企業になった例もある。何もしないで潰れてしまう会社なら誰も同情しない。
主婦連や市民団体あるいは被害者団体などが過去にさまざまな不買運動を展開してきた。国民はどちらを支持したか?
言うまでもない。告発者を守る法律も出来た。不買運動や内部告発をされる側にそれなりの問題と責任がある場合が圧倒的に多い。
押し紙のことも最近知りましたが、ここまでやるとは絶句です。押し紙さえも否定した朝日ですから、このことも真実だと思う。朝日は好きな新聞のひとつだったが、失望した。恥を知れ!!
ダブルスタンダードがここまで酷いとか思いませんでした。これははっきりとした人権の蹂躙です。
担当員のバカヤロー。
悲しいよ、偶々入った業界で真面目に専業をやって独立できたと喜ぶのもつかの間、王と家来のような、念書なんて書かされて、悔しいだろうな。
いい記事だと思いました。ジャーナリズムであり、それでいて余計な毒を感じない文章。黒藪さんの人柄でしょうか。
記者からの追加情報
会員登録をご希望の方は ここでご登録下さい
新着のお知らせをメールで受けたい方は ここでご登録下さい (無料)
企画「まだ新聞読んでるんですか?」トップページへ
企画「納税者の眼」トップページへ