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ロッテ、“森永化”するカルチャーへの危機感

情報提供
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B 不良企業予備軍
    【人生丸預け型】
(仕事2.5、生活2.7、対価2.8)
 お菓子業界で総合トップのロッテ。だがその実態は、非上場ということもあり、謎に包まれている。在日韓国人・重光武雄(辛格浩)氏が1948年に創業して以来、一族で日韓のロッテグループを支配してきたが、87歳になる今年7月、ついに社長の座を明け渡した。2代目社長は、長男でも次男でもなく、住友銀行出身でロイヤルホテル会長だった佃孝之氏。自身は会長として支配を続ける。現在、新社長が、全国の営業拠点をまわり、主要顧客にあいさつ回りをしている。「はじめて自分の会社の社長を見て、声を聞きました。前社長は入社式にすら現れないんですから」(若手社員)
Digest
  • 重光会長の肖像崇拝
  • 森永みたいになっている
  • 支店が変われば別会社
  • 女性も営業に配属されるように
  • 「陳列はメーカーの仕事」が常識
  • 文系10人中9人は営業へ
  • 終身雇用を疑っていない
  • どっちの道も用意されている
  • 安定性の高い業界
  • 「ただ売っているだけ」
  • 労組もなく突然決まるカット
  • ボーナス比率が高い
  • 「主任でいいや」も普通


【Digest】
◇重光会長の肖像崇拝
◇森永みたいになっている
◇支店が変われば別会社
◇女性も営業に配属されるように
◇「陳列はメーカーの仕事」が常識
◇文系10人中9人は営業へ
◇終身雇用を疑っていない
◇どっちの道も用意されている
◇安定性の高い業界
◇「ただ売っているだけ」
◇労組もなく突然決まるカット
◇ボーナス比率が高い
◇「主任でいいや」も普通



重光会長の肖像崇拝

なにしろ重光会長は、社員の前に姿を現さない。「実物の重光会長を見たことがあるのは、商品化前に社長プレゼンが必須となっている商品企画の人くらいではないか」(社員)

その代わり、肖像崇拝は続いている。各エリアの事務所には必ず左記のような重光氏の写真が飾られ、毎日の朝礼では、そのエリアのメンバー30人ほどのうち前に1人が出て、3つの「行動指針」を読み上げ、残りの皆で、写真に向かって音読する。

「一.私たちは、常にお客様の視点に立った、魅力ある売場を作ります」

「一.私たちは、店頭で学び、…」

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「行動指針」と「企業理念」。見開きで1枚になっている。支店では毎日、皆で行動指針を音読。

月1の全体朝礼では、「企業理念」のほうも唱和。こちらも3つある。

「お客様の立場になって考えます。『ユーザーオリエンテッド』。まず第一に、お客さまにとって何が大切なのかを考え抜きます。そして、皆様の豊かな生活に貢献できる商品や…」と続く。

「社長が吉田美和のファンだからガーナチョコレートのCMで起用した」「3月に発売した『フィッツ』がヒットするや、狭山工場(埼玉県)の製造ラインが社長の一声で1本増えた」など、いまだトップダウンは健在だ。

森永みたいになっている

だが、複数の社員によると、「生きてるか死んでるかもわからない」「年初の挨拶が社内報に載るくらい」「10年20年と同じ写真だけ使ってる」・・・と存在感は薄れつつあり、地方のエリアによっては毎朝の音読をやらずに済ます拠点も出てきて、その崇拝にも陰りがみられているという。

そこで、佃社長の就任である。早稲田実業出身の重光氏が、早稲田人脈から連れてきた。「部長クラスは感覚的に8割以上が早大卒。採用部門のトップも早大卒。新卒採用も例年、早稲田が最多で、あとは日大、明治など」(社員)というように、ロッテは早稲田閥の会社で、かつ体育会系の社風なのだ。

「昔はガツガツしてましたが、大阪で労基署が入って残業管理が厳しくなってから変わったんです。昔は『できるまで帰ってくるな』でしたが、今は無理に売上をつくるようなことはしない。ノルマはエリア全体ではありますが、厳しくない」(社員)

営業に数字のプレッシャーはつきもの。だが、まず非上場なので、半期決算のドタバタがない。「他社やスーパーを見ていると9月末で半期決算だ、と騒いでいますが、ウチはそういうのはない」(社員)。あるのは毎月のゆるい目標だけ。「月末は卸会社に買ってもらってなるべく数字を目標値に近づけます。月末のロッテ営業マンのケータイ発信履歴は卸の番号ばかりになっている。でも、数字が行かなくて叱責されることもない」(社員)

ある社員によれば、“ロッテの森永化”が進んでいる。業界内では、明治は殿様商売、森永はまったりしたおぼっちゃま風。ロッテは、ガツガツした体育会系の営業力を強みとし人間関係で売り上げを伸ばしてきた会社であり、明治のようなブランド力もない。CMも下手だ。

それなのに昨今は甘くなり、おっとりしている人が増えてきた、ロッテが森永みたいになっているから不安だ、というのだ。佃新社長が出身の住友銀は、バリバリ体育会系の社風で有名。社長交代は、その危機感の表れ、と見ることもできる。

支店が変われば別会社

 甘くなったとはいえ、休みをとらない慣習は昔から変わっていない。

「基本として病気にならないと有休はとれません、と研修で言われたのを覚えています。自分は去年、1日だけとりました」(社員)。さすがに土日に出れば振り替え休日はとれるが、「有休は病気のためにある」という考え方は社内に浸透している。

無理やりとるにも、空気を読む必要がある。エリアで売上目標に達していないのに休むのは、まず無理だ。「支店長のキャラ次第で休める場合がありますが、個人の売上が達成していても、エリア全体がダメなら休めない空気があります」(社員)

日々のサービス残業もそれなりにある。ある社員は、実際の残業時間が40~50時間だが、申請するのは30時間まで、と指導されているという。

「ロッテ商事は、支店が変われば別会社」。社内でそう言われるように、支店長の方針に振り回され

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