三菱東京UFJ銀EXIT 出雲充「3人仲間がいれば起業せよ」
ユーグレナ代表取締役の出雲充氏 |
- Digest
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- 家族や上司が反対するのは当たり前
- 失敗したら3人で次を考えればいい
- 大学3年でユーグレナに出会う
- 全ページ差替えるほどの環境変化
- 「5回失敗した人向けのファンド」がある米国
- 設備投資資金など4千万円を準備
- 石垣島で大量培養に成功
- 2009年春から短月黒字化
- 環境分野は5~10年プラン
家族や上司が反対するのは当たり前
「何としても辞めさせないぞ、という上司だったので大変でした」と出雲充氏は当時を振り返る。配属されていたのは、神保町支店。三菱銀では1年目は研修期間という位置づけで、担当顧客も持たせず、研修に膨大なコストを投じる。学歴重視のメガバンクで東大卒に辞められては、支店長の評価にもかかわる。
しかも、2002年入社の総合職同期は、UFJとの統合前ということもあって200人だけ。2006年以降の4年間、550~620人ずつ採っているのに比べ、いかにも少ない。人事部としても、辞めてほしくない。
「銀行は引止め工作までマニュアル化されているのか、と思った」。飲みの席で説得され、異動希望を聞かれ、意志が固いと分かると、支店から本社の人事部へと引き継がれた。
だが出雲にとっては、親と上司の反対は予想通り、規定路線だった。そもそも最初の会社選びのときから、将来の起業を決めていたからだ。起業を内に秘めた就職だった。
「家族や上司が反対するのは当たり前。自分以外にあと2人、その事業でともに死んでくれる人がいれば、やるべきだ」。出雲は最近、銀行の後輩から独立の相談を受けると、そう諭している。
というのも、飛行機と同じで、そもそも向かい風がないと飛び上がれない。逆風が強いから止めます、というのなら、止めたほうがいい。それは本当にやるべき事業ではない、ということだ。いくら逆風が強くても、仲間3人がいれば、信じて進むべき。「1人でやっちゃ駄目だ、逆に3人でやるというなら、100万出してもいい、と言っているんです」
失敗したら3人で次を考えればいい
出雲が「3人」というのは、今や「100万出しても」と言えるくらいにまで成功した自分自身が当初、3人でスタートした成功体験による。18歳のときからの学友で研究者の鈴木健吾氏と、中国などで機能性食品事業を手がけていた福本拓元氏。3人が2005年の「株式会社ユーグレナ」設立メンバーである。
「もし失敗したら、3人で何か次を考えればいい、どこかで使って貰えるかもしれない」。とはいえ、具体的な案があったわけでもない。失敗したらやり直せばいい、という楽観主義的な発想だった。
その年の12月には、石垣島で、世界で初めて「ユーグレナ」という微生物の安全な大量培養に成功。これが決定的なブレークスルーだった。そこからは、わずか1年で軌道に乗り、ベンチャーキャピタルが出資させてくれと押し寄せ、2007年には東京大学からラボに入らないか、と声が掛かり、メディアも、どんどん取り上げてPRしてくれる。
東京大学アントレプレナープラザ7階(文京区本郷)に実験設備付きのオフィスを構える |
2009年の春には短月黒字化を果たし、2009年9月期の売上高実績は2億円強に。横並び体質で勝ち馬に乗りたがる日本では、成功しかけたベンチャーは楽ちんだ。VCは横並びでカネを出したがり、大学はオフィスを貸して「大学発ベンチャー」だと、あたかも自らの手柄であるかのようにPRしたがる。
問題は、スタートアップまでだ。出雲は、どうやって乗り切ったのか。
大学3年でユーグレナに出会う
そもそもの発端は、大学1年の夏に3週間滞在したバングラデシュの旅だった
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