参院議員3人に1人が兼業 違法企業に税金還流…不正報酬の実態
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画像1:参院〝不適切〟兼業議員 ワースト5の面々。違法で摘発された企業や、税金還流が疑われる企業から兼業報酬を得ている。 |
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- 参院職員がヒマそうに読書…閲覧室の実態
- 閲覧室の根拠法
- 「3人に1人」が兼業、〝不適切〟17人
- 公表義務〝無視〟自民・石井準一氏
- 脱税企業から報酬、民主・石井一氏
- 役員就任中に法律違反も
- 亀田興毅にベンツを送るタニマチの一面
- 「キレイな会社ばかりではない」
- 補助金相談に乗る〝経産族〟
- 社民は労組〝迂回〟報酬
- 自民長老級がズラリ
◇参院職員がヒマそうに読書…閲覧室の実態
◇閲覧室の根拠法
◇「3人に1人」が兼業、〝不適切〟17人
◇公表義務〝無視〟自民・石井準一氏
◇脱税企業から報酬、民主・石井一氏
◇役員就任中に法律違反も
◇亀田興にベンツを送るタニマチの一面
◇「キレイな会社ばかりではない」
◇補助金相談に乗る〝経産族〟
◇社民は労組〝迂回〟報酬
◇自民長老級がズラリ
◇調査方法詳細
2010年に改選を迎える不適切な議員8人は、以下のとおり。直嶋正行(民主)、松田岩夫(自民)、野村哲郎(自民)、渕上貞雄(社民)、増子輝彦(民主)、市川一朗(自民)、河合常則(自民)、山崎正昭(自民)。なかでも金額が一番多い直嶋正行・経済産業大臣は、この兼業収入475万円に加え、今年2月にも報告したとおり、公設秘書までがトヨタ労組から2人派遣され年1236万円の給与提供を公費に追加して受けとっており、まさに1企業の代弁者。投票には注意が必要だ。
参院職員がヒマそうに読書…閲覧室の実態
きたる参院選を前に、全参院議員の活動を「兼業」という角度から調べてみた。
調査方法は、まず、議員の所得を記載した「所得報告書」と、兼業先の社名、住所、役職を載せた「関連会社等報告書」をチェック。所得の対象年は、現時点で最新の数値である、「08年分」とした。
昨年5月の記事で書いたように、国会議員の所得等報告書は、永田町の参院第2別館で閲覧する以外に国民に知るすべはない。閲覧は次のようにして行われる。
まず、1階の受付で、所得報告書を閲覧しに来たことを伝える。すると、受付の人が、参院職員を電話で呼びだす。それから5~10分後、参院職員が一人やってきくる。その職員に同行して、エレベーターで6階に上がり、職員が閲覧室のカギを開けて、中に入る。
閲覧室のスペースは大体30㎡程度。部屋の中には閲覧文書がしまってある本棚と、閲覧用の机と椅子が約10人分置いてある。部屋の入口付近には受付台があり、ここに参院職員が座る。閲覧者の見張り役のようだ。が、あまりにもやることがないためか、大抵の職員は暇そうに読書をしている。シーンとして息が詰りそうな空間だ。その中で、こちらは、ひたすら閲覧して文書を書き写すのである。
閲覧室に入れる時間帯は、平日午前9時30分~正午と、午後1時~午後5時30分まで。昼は「いったん外に出てください」と職員に言われて、部屋から追い出されてしまう。
そもそも、文書はネットで公開すれば済む話である。それをわざわざ、この一室でしか見れないようにして、コピーも禁止する。さらには、税金で賄っている参院職員を動員させている。そんな二重、三重のムダを重ねているのが、この閲覧室なのだ。
閲覧室の根拠法
こんなムダがまかり通るのも、根拠法に次のように書いてあるためだ。
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さらに同法には、こう記されている。
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こうして、両院議長の協議により以下の規程が定められている。(規定全文は記事下よりPDFダウンロード可)
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以上の法文により、あのような閲覧室なるものがまかり通っている。もちろん、立法府の国会議員が法律を改正すればすぐに改善できる話だが、自公政権しかり、政権交代からわずか8か月あまりで総理の「表紙」を代える事態となった民主党しかり、万年野党の共産や、その座に早くも返り咲いた社民党もしかり、その他の政党もしかり、一向に制度を改める気配は見せない。よほどやましいことがあるのだろうか…。
「3人に1人」が兼業、〝不適切〟17人
筆者はこの閲覧室に、延べ数日間通いつめて、参院の兼業議員のリストを作成した。その結果、全参院議員242人のうち実に76人、およそ「3人に1人」もの議員が兼業していたことがわかった。(参院兼業76議員全リストは記事一番下のエクセルよりダウンロード可)
そして、この76人のうち、「職務上、税金還流、違法企業などの不適切な兼業をしている参院議員」を抽出したところ、17議員がリストアップされた。これぞ選りすぐりの〝悪質〟兼業議員である。各議員には、ファックスで、兼業先に就いた理由や報酬額などを問い合わせた質問状を送り、その回答結果を反映させた(詳細は記事下の「◇調査方法詳細」の通り)。こうして〝不適切〟な兼業先からの報酬金額の高い順にランキングしたものが画像1、3、4の「参院〝不適切〟兼業議員ワーストランキング」だ。上位から順にみてみよう。
公表義務〝無視〟自民・石井準一氏
まず、ワースト第1位は、自民党の石井準一氏。報告書によると、同氏は地元選挙区の土建業者「アルプス産業㈱」の取締役をしている。兼業所得は763万円。同議員は、元千葉県議。土木常任委員会副委員長等を経て、07年の参院選の前までは自民党千葉県連・総務会長の要職にも就任していた。つまり、選挙区内で権勢をふるう立場に長年いた国会議員が、その地の土建業者から役員報酬を得ている。これは〝不適切〟な兼業といえる。
そこで石井準一議員事務所にファックスで質問状を送ったところ、石井準一議員から直接電話があり、次のようなやりとりをした。
「佐々木さんですか?」
――はい。
「石井ですが、ファックスがきたのですが、今よろしいですか」
――ありがとうございます。お願いします。
「まず、質問の一『兼業先は、どういったことをしている会社でしょうか』。これは、
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画像2:上から1、2枚目がスギヤマホールディングス、3枚目がトータルエネルギーの会社登記。各ページの左上に記載の通り住所が同一であり、事実上、両社は一体といっても過言ではない状態。03年に脱税で起訴された二名も、両法人の役員として名を連ねている。石井一議員の名は上から1枚目にあり。4、5枚目は、トータルエネルギーが石井一議員が役員就任中の08年11月14日に、経産省の関東東北保安監督部に、法律違反で厳重注意を受けたことを示す行政文書
画像3:参院〝不適切〟「兼業」議員ワースト6~10、社民党や民主党議員の労組〝迂回〟報酬もあり
画像4:参院〝不適切〟「兼業」議員ワースト11~17。自民党長老級がズラリ
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読者コメント
この問題も事業仕分けして頂きたい。自民党も民主党も関係ない。なぜ兼業(おそらくきっちりとこなせないはず)の兼業をさせるのか、これは悪質な団体献金と言って良い。
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